は?勝手に召喚しといてそれですか?

Saeko

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第1章 召喚

え?どゆこと?

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家へと早足で向かう途中、目の前を歩く不思議な格好の人を見た。

フラフラした足取りが危なっかしい。

私は思わず
「貴方お腹すいてるの?」
と尋ねたが、どうやら日本語が通じないらしい。

「Are you hungry?」

「……」

英語も通じないならどうしょーもない。

私は、その男性(と思われる)をコンビニ前迄手を引いて連れてくると、身振り手振りで『ここに居て。』と伝え、急いでサンドイッチと紅茶を買って表に出た。のにも関わらず、その人はまたフラフラと歩き、交差点へと向かっていた。

「ちょっと貴方、待ちなさいよ!」

交差点の手前まで追いかけていって捕まえようと手を伸ばしたその時。

けたたましいクラクションとタイヤが軋む音が聞こえたかと思うと、ヘッドライトがこちらに向かって突っ込んできた。

「危ない!!」

私は無我夢中でその人を突き飛ばす。が時すでに遅し。

私は真っ白な光に包まれてしまったのだった。


✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†


「陛下。召喚しょうかん完了致しました。」

「おお。ご苦労であった。」

「父上。私の妻は何処どこですか?」

「アルベルトか。そなたの嫁はまだ別室にて眠っておる。起きたら謁見えっけんの間まで呼び寄せる。それまで自室で待つがよいぞ。」

「承知しましてございます。」



こんなやり取りが行われているとは知らない私は、酷い頭痛にさいなまれ目を覚ます。視線だけで見渡すと、そこは見たことも無い部屋だった。

「え?どゆこと?私、事故にあったのよね?てかココ何処よ!意味不なんですけど!!」

と痛む頭を抱えながら体を起こして考える。

う~ん…病院では無さそうね。だって点滴も無ければ酸素マスクもしてないし…体に包帯とかも無いもんね。

てことはココは天国とやらで、私はイベントもしないで死んじゃったわけか

「はぁ~ 推しのイベやりたかったな。通知で見たスチルめっちゃ良かったのに。」

項垂れうなだていると、コンコンと扉をノックする音が聞こえたのだった。


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