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奈倉萌佳(徹底された態度)
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「はじめまして~KIRAで~す。よろしくお願いしま~す。」
1回渡した事がある二条さんや榛葉さん達にも名刺を渡して売り込み開始。
お酒の注文を取ったり、お料理やおつまみの注文を纏めてたり、さり気ない気遣いが出来る女の子をアピール。
でも、いざお酒やお料理が届いても、その後の事をやらせて貰うことが出来なかったの。
「あぁ、キミはいいや。僕はアヤさんにやって貰いたいから。」
「僕も、僕の好みをちゃんと分かってるユイナさんにお願いしたいから。」
と言って、萌佳が何かをしようとすると、全部断られてしまった。
お客からの印象が悪くなるのはまずいから、ここは素直に
「はい。分かりました~。」
と言って笑顔で引き下がるのが一番なんだけど、ユイナやアヤからの憐れむ様な視線が突き刺さって頭に来てしまう。
ライラが来る前に、どうにかしてアピールしないといけない!と焦る気持ちと裏腹に、それぞれのお気に入りの女の子との時間を楽しむ二条さん達。
私の存在は、いつしか無視され、その場に放置されていたわ。
「お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。」
そう言ってVIPルームに入って来たライラ。
「ライラさん!来てくれてありがとう。さぁ、此処に座って?」
そう言って吉良さんは笑顔で自身の横のスペースにライラを呼んだ。
「吉良さんってば、いつもありがとうございます。」
ライラは吉良さんに指定された場所に座ると、
「あら?吉良さんのお酒、誰も作ってないと?」
ライラはお酒に酔うと、少しだけお国言葉が出るんだけど、それが可愛いと評判の方言キャバ嬢なの。
萌佳からしたら、ただの田舎モンなのにさ。
「俺は、ライラさんが作ってくれるお酒が好きなんだよ。だからキミが来るのを待ってたんだ。」
「え~。そりゃほんなこつね?
ばり嬉しか。」
ライラが嬉しそうに吉良さんに笑顔を向けると、吉良さんは大喜びしていた。
なによ~。私だって教えてくれたら好みのお酒ぐらい作れるのに~!
「ライラさん。私にもお酒作ら「あぁ。キミ。何だっけ名前?」え?」
「名前だよ、キミの名前。」
幡谷さんに源氏名を聞かれ、
「KIRAです~。(さっき名刺渡したのに……てか、コースターの下になってるし、萌佳の名刺!)」
と咄嗟に笑顔を貼り付けて答えた。
すると、
「ライラさんが来てくれたからキミはもう出て行ってくれるかな?」
「は?」
笑顔で萌佳に退室を促す言葉を口にする二条さん。
「だからヘルプは必要ないと言ってるんだ。キミには別の客が待ってるだろう?早く行きたまえ。」
静かに、でも文句を言わせない雰囲気を体に纏わせ萌佳に出ていく様に言う二条さん。
こ、怖い……。
こんな二条さん、萌佳は知らない。
逃げないと殺されちゃいそう。
「はい、分かりました~。じゃ楽しんで下さいね~。」
そそくさとVIPルームから出ようとする私の背中に、
「ヘルプありがとうございました、KIRAさん。あとは私達におまかせ下さ~い。」
とメイがクスクス笑いながら言う言葉が突き刺さった。
こんな風に、キャバ嬢達からもお客からも徹底された無視や馬鹿にされた態度を取られた事なんて無かった。
ううん。こんな事、今迄生きてきて初めての事だと思う。
だって萌佳は、お嬢様だったんだよ。
パパからもママからも愛されて、何でも買って貰えたんだもん。
お姉ちゃんが生きていた頃、お姉ちゃんがばぁばから貰った物だって、萌佳が欲しい!と言えば、ママがお姉ちゃんから取ってくれたし。
萌佳は可愛いから、馬鹿にされるなんて事一度も無かったの。
馬鹿にされるのはお姉ちゃんの役だったのに!
泣きながら控え室に戻ると、オーナーから
「暇ならお客に連絡取れよ。このままだとお前、トップ10に入れなくなるぞ。」
って慰められるどころか脅されちゃったの。
もぉ!最悪!!
1回渡した事がある二条さんや榛葉さん達にも名刺を渡して売り込み開始。
お酒の注文を取ったり、お料理やおつまみの注文を纏めてたり、さり気ない気遣いが出来る女の子をアピール。
でも、いざお酒やお料理が届いても、その後の事をやらせて貰うことが出来なかったの。
「あぁ、キミはいいや。僕はアヤさんにやって貰いたいから。」
「僕も、僕の好みをちゃんと分かってるユイナさんにお願いしたいから。」
と言って、萌佳が何かをしようとすると、全部断られてしまった。
お客からの印象が悪くなるのはまずいから、ここは素直に
「はい。分かりました~。」
と言って笑顔で引き下がるのが一番なんだけど、ユイナやアヤからの憐れむ様な視線が突き刺さって頭に来てしまう。
ライラが来る前に、どうにかしてアピールしないといけない!と焦る気持ちと裏腹に、それぞれのお気に入りの女の子との時間を楽しむ二条さん達。
私の存在は、いつしか無視され、その場に放置されていたわ。
「お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでした。」
そう言ってVIPルームに入って来たライラ。
「ライラさん!来てくれてありがとう。さぁ、此処に座って?」
そう言って吉良さんは笑顔で自身の横のスペースにライラを呼んだ。
「吉良さんってば、いつもありがとうございます。」
ライラは吉良さんに指定された場所に座ると、
「あら?吉良さんのお酒、誰も作ってないと?」
ライラはお酒に酔うと、少しだけお国言葉が出るんだけど、それが可愛いと評判の方言キャバ嬢なの。
萌佳からしたら、ただの田舎モンなのにさ。
「俺は、ライラさんが作ってくれるお酒が好きなんだよ。だからキミが来るのを待ってたんだ。」
「え~。そりゃほんなこつね?
ばり嬉しか。」
ライラが嬉しそうに吉良さんに笑顔を向けると、吉良さんは大喜びしていた。
なによ~。私だって教えてくれたら好みのお酒ぐらい作れるのに~!
「ライラさん。私にもお酒作ら「あぁ。キミ。何だっけ名前?」え?」
「名前だよ、キミの名前。」
幡谷さんに源氏名を聞かれ、
「KIRAです~。(さっき名刺渡したのに……てか、コースターの下になってるし、萌佳の名刺!)」
と咄嗟に笑顔を貼り付けて答えた。
すると、
「ライラさんが来てくれたからキミはもう出て行ってくれるかな?」
「は?」
笑顔で萌佳に退室を促す言葉を口にする二条さん。
「だからヘルプは必要ないと言ってるんだ。キミには別の客が待ってるだろう?早く行きたまえ。」
静かに、でも文句を言わせない雰囲気を体に纏わせ萌佳に出ていく様に言う二条さん。
こ、怖い……。
こんな二条さん、萌佳は知らない。
逃げないと殺されちゃいそう。
「はい、分かりました~。じゃ楽しんで下さいね~。」
そそくさとVIPルームから出ようとする私の背中に、
「ヘルプありがとうございました、KIRAさん。あとは私達におまかせ下さ~い。」
とメイがクスクス笑いながら言う言葉が突き刺さった。
こんな風に、キャバ嬢達からもお客からも徹底された無視や馬鹿にされた態度を取られた事なんて無かった。
ううん。こんな事、今迄生きてきて初めての事だと思う。
だって萌佳は、お嬢様だったんだよ。
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お姉ちゃんが生きていた頃、お姉ちゃんがばぁばから貰った物だって、萌佳が欲しい!と言えば、ママがお姉ちゃんから取ってくれたし。
萌佳は可愛いから、馬鹿にされるなんて事一度も無かったの。
馬鹿にされるのはお姉ちゃんの役だったのに!
泣きながら控え室に戻ると、オーナーから
「暇ならお客に連絡取れよ。このままだとお前、トップ10に入れなくなるぞ。」
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