お飾り妻の笑顔の先は【完結】

Saeko

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限界と冷却期間

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朝食を済ませフロントへ行き

「宿泊していた部屋のチェックアウトと、部屋のグレードを下げてのチェックインをお願いしたい。」

と告げると、

「セミスイートのお代金は既に頂いております。また、新しいお部屋は既にご用意済みでございます。」

と言われ鍵を渡された。

俺は再び荷物を持って部屋に入ると、そこは普通のセミダブルの部屋だった。

俺は鞄からスーツやパソコン等を出し、部屋を自分好みの配置に変えてから、備え付けのポットでコーヒーを作った。
ベッドに腰かけ預金通帳を開くと、0が7つあったはずの金額が、萌佳に貢ぎ過ぎた為、だんだんと減っている。
早く萌佳の両親を楽にさせてやりたいと思い、俺も萌佳の為に頑張ったつもりなのに、『貧乏人』と言われてしまった事で、萌佳への思いが急激に冷めていく。
金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったもので、萌佳を支えようと思う気持ちが限界を迎えようとしている事は明らかだった。

俺は昨晩、萌佳との連絡ツールを全てブロックしていた。
その中の一つだけブロックを解除すると、

【暫く距離を置こう。仕事頑張れ。】

と送り、またブロック設定にした。
もうこれ以上顔を続き合わせてもお互いによくない。
少し冷却期間を置いて、各々がこれからの事を考えた方が良いと思ったからだ。


それから俺は、長い日数をホテルで過ごすわけにはいかないと思い、ネット検索でウィークリーマンションを探し契約をする事にした。
間もなく希望に近い物件が見つかった為、俺は不動産屋に電話をかけ内覧後契約の手続きをふんだ。

その足で萌佳とのマンションに行きもう少し荷物を取ってこようと考えたが、まだ萌佳の出勤時間では無かった為、夜になるのを待ってからマンションへ出かける事にした。

ホテルに戻り、少しだけ仕事をする。
もう直ぐ定期テストがある為、どんな問題が良いかを考えておかないといけないからだ。

暫く考えていると、母から着信があった。

「もしもし?一紀?……………………。」

「分かりました、お母さん。では、いつもの和食レストランに18:30で。」

母は相当華蓮を気に入っていて、月に何回か、俺を通して食事に誘ってくるようになっていた。
華蓮は、両親といるととても穏やかな口調で話、気遣いも出来る。
萌佳とは正反対だといつも感心させれる。

【母から食事に誘われた。君にも来て欲しいそうだ。】

と送ると、

『分かりました。何処に何時にお伺いすれば宜しいですか?』

【いつもの和食レストランに18:30で】

『承知致しました。では後程。』

短い業務連絡の様なやり取りだが、萌佳との関係に限界を感じ始めている俺にとっては、それくらいが丁度良かった。

俺は少し仮眠を取り、起きたらシャワーを浴びて店に向かう事にした。

残してある荷物を取りに行くのは、食事が終わってからだと決めて、




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