お飾り妻の笑顔の先は【完結】

Saeko

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奈倉 萌佳 1

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もう!なんなのよ~!!

あの日。かずちゃんがお店に来た日と同日に初めて来たお客二条さんは、それから毎週金曜にお友達と一緒に来るようになったの。

最初の頃は、指名する子がいなかったみたいだから、私を指名して貰おうと頑張ったんだ。接客だってメイクだってドレスだって、なにもかも完璧だった。なのに……


「昨日の二条さんとアフターで行ったお店。素敵だったよね~。」

「そうそう!ママも気さくな感じだし、お酒もお料理も美味しかったよね。」

控え室でメイクしながら楽しげに昨日のアフターの様子を話しているのは、CLUB プリマヴェーラNo.9のマリナちゃんとNo.10のメイちゃん。

「今度他のお客様からアフター入れて貰ったら、昨日のお店行きたい!ってお強請りしちゃおっかなぁ~。」

「えぇ~!それは狡いよ~。メイも一緒に行きたい~。」

「キャハハ。分かったよ、メイちゃん。その時は『メイちゃんも一緒にお願いします。』って頼んであげるからね。」

「わぁい。ありがと、マリナちゃん。」

イライラする!

キャバクラに勤めてるクセに、キャバ嬢同士仲良しだなんて有り得なくない?

私はイライラしながらメイクをしたせいか、ラインを引き損ねたり、リップがはみ出したりと何度かメイクをやり直してたら、フロアに出るのがすっかり遅くなっちゃった。

焦りながらも、指名してくれたお客の席に着いて接客を始めると、店の入り口が騒がしくなったの。

見るとそこには、ハイブランドのスーツを着込んだイケメン男性が5人。
女の子達は色めきだった。
みんな、自分のお客の相手を忘れているくらいだもの。
当然私もだったけど。

「ご指名は?」

と聞いた黒服の言葉に答えたのは、中でも一番お金持ちそうなクールイケメンさん。

「二条さんから紹介されて来ました。とても可愛い女の子がいるから、と」

「二条様のご紹介でしたか。御来店ありがとうございます。」

現れたオーナーが揉み手をしながら、ニコニコしてる。

「二条さんから、『マリナ』『メイ』をと言われたんです。今日はどうですか?」

「2人共出てますよ。おい、マリナとメイを。」

オーナーに言われ、

「畏まりました。」

と黒服はマリナとメイを呼びに行ったの。

するとオーナーは、

「お客様。大変恐縮ですが、当店ではお客様おひとりに女の子が1人つく事になっております。」

そんな規定ってあったかな?
でもオーナーてばナイス。

「ああ、そうか。なら、残りの3人は任せますよ。僕達は楽しい時間を過ごさせてくれればいいので。」

「とてもいい子達が揃っていますので楽しみにしていて下さい。」

オーナーはニコニコが止まらないみたい。

偶然にも萌佳の席の前を通ったイケメンさん達は、5人全員がイケメンだったの。

萌佳も呼んで下さい!ってアピを送っとかないとね。

萌佳は岩間さん放ったらかして、イケメンさん達がVIPルームに消えていくのを見てたの。
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