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初対面

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食事が始まっても両親 いや母の弾丸トークは休まることを知らなかった。
やれ何処に勤めているのか?だの、どんな業種なのか?どんな仕事をしているのか?結婚したら仕事はどうするのか?等、ありとあらゆる質問を華蓮にぶつけている。息子の俺でさえ、母との話は疲れてしまうのに、当の華蓮は綺麗な微笑みを称えたまま、母の話に時折頷いたり小さく笑ったりしている。

「私の仕事先は一条コーポレーションという会社で、私は総務部に席を置きながら、現会長の孫子であり専務の一条尚斗の秘書をしています。」

「あら?総務部なのに?秘書をなさっているの?」

「はい。」

「華蓮は優秀な社員なんだよ。(てか、俺 それ聞いてないんだけどな。)」

「ところで華蓮さんは、どうやって一紀と知り合ったのかね?」

「はい、それは……「知人です。知人の紹介で知り合いました。」はい、一紀さんの仰るとおりです。」

さっきから両親は、俺にでは無く華蓮にばかり話しかけているのを見て、俺は、華蓮が余計な事を話さないか?と思い内心冷や汗をかいていた。

「そうだったのね。だったら、その方に感謝しないといけないわね。こんな素敵な女性を紹介してくれたんですものね。あなた。」

「そうだな。ところで華蓮さん。」

「は、い。」

「一紀とは年が離れているが、どうして結婚しようと?」

「一紀さんにお会いして、色々お話をさせて頂いている時、この人はなんて真面目で優しい人なんだろうと思いました。その人柄に惹かれました。」

「(打ち合わせとは違う事を言いやがったが、両親が頷いているから結果オーライだな。)」

「そうだわ!一度華蓮さんの親御さんにもご挨拶をさせていただかないとね。」

「お気持ちは嬉しいのですが、両親は私が子供の頃他界しております。」

「まぁまぁ!そうだったのね。それは大変だったでしょ?」

「……」

「お母さん。そのくらいにしてやってくれませんか?華蓮にとって辛い過去なんですから。」

「そ、そうね。ごめんなさいね?華蓮さん。」

「いえ。申し訳ありません。」

「時間も時間だな。そろそろお開きといこうじゃないか。ここは私が払っておくから、一紀は華蓮さんを送ってあげなさい。」

「そうね。華蓮さん、これからも一紀を宜しくお願いね。」

「こちらこそ、宜しくお願い致します。」


こうして無事に両親との食事会が終わり、俺は上機嫌で愛する萌香の店へ向かった。
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