お飾り妻の笑顔の先は【完結】

Saeko

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見合い話と両親の反対

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案の定、母が話そうとした事は『見合い』だった。
10数冊あるであろう釣書をテーブルに広げ、1冊ずつ、このお嬢さんはどうのこうの このお嬢さんはあ~のこうのと説明しだす。

俺はそんな母の話をぼんやり聞き流していたら、母が俺の顔を見て、

「で、どのお嬢さんが良かったかしら?なんなら全員の方にお会いしても良いのよ。」

と言い出した。
そこで俺は意を決して、

「お父さん、お母さん。実は僕、お付き合いしている女性がいるんです。僕はその方と結婚を考えています。」

と打ち明けた。
すると母は、

「まぁ!それは本当なの?もう。それならそうで早く言いなさいな。ね?あなた。」

「そうだな。で、その女性とはどんな仕事をしている女性なんだ?」

と父が聞いてきた。
俺は、萌佳の境遇や生い立ち 彼女の人柄、そして今の仕事の事を話した。

「まぁ!なんて事。一紀。貴方騙されてるわよ。」

「母さんの言うとおりだ。水商売の女なんかろくな女じゃない!今すぐ別れなさい。」

「そうよ、一紀。貴方のためなのよ?悪い事は言わないわ。傷が浅い内に別れなさい。」

両親がそう言うであろう事は、最初から分かっていた。
両親は昔から頭が固い人間だった。今は引退したが、両親共に教師をしていたせいもあるだろう。
そんな両親に育てられたせいか?俺は真面目で融通が効かない人間になっていたし、結婚 というより、女性に対してもあまり興味を持てずにいた。

でも、俺は萌佳に出会い、生まれて始めて守りたい、守ってやりたいと思える様になったんだ。

「萌佳に一度会ってください。会えば「会うつもりはない!」お父さん……。」

「お父さんの仰るとおりよ?一紀。そんな女性は諦めて、この中から選んで「嫌です!僕の結婚相手は僕が決めます。」一紀!!」

俺は生まれて始めて両親に反抗した。
何も分かっちゃいない。
何も分かってくれない。
そんな親に萌佳の良さなど分かって貰える訳がない。





俺は萌佳が待つ部屋へ帰ると、鍵を開けドレッサーの前で出勤の準備をしていた萌佳を後ろから抱きしめた。

「かずちゃんどうしたの?」

前に回った俺の腕をキュッと握りながら戸惑いながら聞いてきた萌佳に、さっき両親に言われた事を話した。
すると鏡に写った萌佳の顔が一瞬曇ったと思ったら、

「仕方ないよ、かずちゃん。」

と言って無理矢理笑顔を作った。

「萌佳……」

「だって…ご両親の言うとおりだよ。私なんかお嫁さんにしたら、かずちゃんに迷惑かけちゃうもん。」

「そんな事「あるんだよ。実家は借金まみれだし、なんの資格も持ってない私なんて、先生のお嫁さんに相応しくないもん。」……。」

「行ってくるね。」

何も返せず立ちすくむ俺の腕から抜け出た萌佳は、そう言って部屋を出ていった。
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