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第八章 断罪された人々
閑話 櫻井柊side
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「ちょっと~。なんでアタシがハ○設定なわけ?」
黙っていれば誰もが羨む色男だというのに、口から出る言葉はオネエ言葉になるコイツは、俺の親友の一人で自称百合香の母親枠ゲットだとほざく渉だ。
渉は、麗羅が幼い百合香を抱いた写真が入ったロケットペンダントを百合香から貰った日から、百合香と連絡を取り合っているらしい。
元父親と対峙する事を百合香から聞いた渉は、麗羅の為に建てた屋敷から白金一家を追い出す為に動き出した。
先ず渉は、不動産業を営む知人と相談し、白金達が住む家を売り出す事にしたという文書を奴らに送った。
案の定白金はその不動産屋に乗り込んで来たが、そこで正式に櫻井からの意向だという事、更に売買金額が到底手が出せない程の金額だという事が分かると、あっさり引き下がったそうだ。
別に法外な金額設定ではなかった。
立地条件や敷地面積、勿論地価等を考慮した適正価格での売り出しだったのだが、今の奴が置かれた立場では、到底手が出せなかったのだろう。
それから半年後、奴らは夜逃げ同然で屋敷から出ていった。
俺や父はそれで良かったのだが、渉はそれだけでは終わらせなかった。
次に渉は、経営者仲間から得た情報で、白金親子が流れ着いた地でスナックを経営する矢嶋という人物とコンタクトを取った。
矢嶋氏に生活に困っている知人がいるから雇って欲しいと伝え、渉自身が買い取ったボロ屋で奴らを住まわせる様にと住まいまで手配した。
案の定白金の娘は客とトラブルをおこし店をクビになる。
皐月が矢嶋にこぼした愚痴から、金に困ってるという情報を得た渉は、奴らにとどめを刺そうと身分を偽り皐月と愛人契約を結ぶ事にしたのだ。
ただでさえ男に戻った時の渉はヤバいぐらいの色男だから、皐月に本気になられてはまずいだろうと、俺は変装する事を薦めた。
頭髪が少し心許ないが紳士設定にしようと思い、渉用に鬘を用意した。
頭皮が見える鬘を見て渉は怒ったが、
「万が一の事を考えてバレない様にする為だ。」
と言うと渋々了承してくれた。
まぁ強引に承諾させたんだけどな。
その後、渉の作戦は、仕掛けた側の俺達でさえ吃驚する結末になった。
皐月は貴生に殺害され、桃花は病んでしまい病院へ送られた。
貴生の証言に出てきた皐月の「好きな人が出来た。」発言についての裏付け捜査の為皐月の客に事情聴取や家宅捜査等が行われたが なんの証拠も出ず、死人に口なしではないが、夫婦間の痴情のもつれとして処理され、警察が渉まで辿り着くことはなかった。
「これであの毒虫達からアタシのNouvelle étoileを守れたわ。麗羅、見ててくれたよな。」
そう言って自分の店で美味そうにワインを飲みながらロケットペンダントの中の写真を見ている渉は満足気だ。
「きっと麗羅も喜んでいるさ。今度墓参りに行ってやってくれ。大好きだったカサブランカを持ってな。」
渉は俺の言葉に黙って頷くと、麗羅の写真に向かって、à votre santéと言いながらまた美味そうにグラスの中のワインを飲み干していた。
黙っていれば誰もが羨む色男だというのに、口から出る言葉はオネエ言葉になるコイツは、俺の親友の一人で自称百合香の母親枠ゲットだとほざく渉だ。
渉は、麗羅が幼い百合香を抱いた写真が入ったロケットペンダントを百合香から貰った日から、百合香と連絡を取り合っているらしい。
元父親と対峙する事を百合香から聞いた渉は、麗羅の為に建てた屋敷から白金一家を追い出す為に動き出した。
先ず渉は、不動産業を営む知人と相談し、白金達が住む家を売り出す事にしたという文書を奴らに送った。
案の定白金はその不動産屋に乗り込んで来たが、そこで正式に櫻井からの意向だという事、更に売買金額が到底手が出せない程の金額だという事が分かると、あっさり引き下がったそうだ。
別に法外な金額設定ではなかった。
立地条件や敷地面積、勿論地価等を考慮した適正価格での売り出しだったのだが、今の奴が置かれた立場では、到底手が出せなかったのだろう。
それから半年後、奴らは夜逃げ同然で屋敷から出ていった。
俺や父はそれで良かったのだが、渉はそれだけでは終わらせなかった。
次に渉は、経営者仲間から得た情報で、白金親子が流れ着いた地でスナックを経営する矢嶋という人物とコンタクトを取った。
矢嶋氏に生活に困っている知人がいるから雇って欲しいと伝え、渉自身が買い取ったボロ屋で奴らを住まわせる様にと住まいまで手配した。
案の定白金の娘は客とトラブルをおこし店をクビになる。
皐月が矢嶋にこぼした愚痴から、金に困ってるという情報を得た渉は、奴らにとどめを刺そうと身分を偽り皐月と愛人契約を結ぶ事にしたのだ。
ただでさえ男に戻った時の渉はヤバいぐらいの色男だから、皐月に本気になられてはまずいだろうと、俺は変装する事を薦めた。
頭髪が少し心許ないが紳士設定にしようと思い、渉用に鬘を用意した。
頭皮が見える鬘を見て渉は怒ったが、
「万が一の事を考えてバレない様にする為だ。」
と言うと渋々了承してくれた。
まぁ強引に承諾させたんだけどな。
その後、渉の作戦は、仕掛けた側の俺達でさえ吃驚する結末になった。
皐月は貴生に殺害され、桃花は病んでしまい病院へ送られた。
貴生の証言に出てきた皐月の「好きな人が出来た。」発言についての裏付け捜査の為皐月の客に事情聴取や家宅捜査等が行われたが なんの証拠も出ず、死人に口なしではないが、夫婦間の痴情のもつれとして処理され、警察が渉まで辿り着くことはなかった。
「これであの毒虫達からアタシのNouvelle étoileを守れたわ。麗羅、見ててくれたよな。」
そう言って自分の店で美味そうにワインを飲みながらロケットペンダントの中の写真を見ている渉は満足気だ。
「きっと麗羅も喜んでいるさ。今度墓参りに行ってやってくれ。大好きだったカサブランカを持ってな。」
渉は俺の言葉に黙って頷くと、麗羅の写真に向かって、à votre santéと言いながらまた美味そうにグラスの中のワインを飲み干していた。
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