96 / 97
第九章 終幕
幸せとは
しおりを挟む
元家族達の事件から一年後
生前贈与という形で、白金達が住んでいた屋敷をお爺様から譲り受けた私は、さくら濱銀行からお金を借りて一日ひと組限定の結婚式場を作った。
敷地に小さなチャペルを建て、屋敷のリビングと客間の壁をぶち抜き、南面に、全て開閉可能な窓を付けた。その窓を解放すると、庭と屋敷とが繋がり、広い空間が出来る為、ガーデンパーティを行う事が出来るという式場だ。
勿論雨天でも大丈夫な様に、一階は増築もした。
また二階の居住部分だった部屋は、新郎新婦やその御家族の控え室とし、ゆったりと過ごして貰える様な温かみのある部屋に完全リフォームした。
オーナーは勿論私だが、式場の予約や式の運営、また外部のプランナーさん達からの問い合わせなどは、ホテルマンの潮田さんには申し訳ない かったが、彼の色んなコネクションを使って優秀な人材を確保して貰った。
この式場で結婚式をあげた第一号カップルは、濱田流星 菜々子夫妻だ。
彼等には申し訳ないが、式場のあらゆる場所を紹介する時のモデルにもなってもらった。
美男美女の二人の仲睦まじい姿をホームページに動画や写真で紹介したことで、そこから徐々に広がっていったという感じだろう。
初めはなかなか軌道に乗らず赤字続きだったが、菜々子達の結婚式から口コミで問い合わせが来るようになり、式場を建ててから三年経った今、漸く黒字になってきた。
この頃になると、図書館勤めをしながらのオーナー業務が困難になってきた私は、図書館を辞める事にした。
屋外だと虫が気になるというお客様の要望に答え、全面ガラス張りのサンルームを作った事で維持管理費がかかる様にはなったが、その分予約状況は上々だった。
有り難いとしか言い様がなかったが、その反面働いて下さっているスタッフの方々は忙しくなってしまった。
私はスタッフさんの増員と福利厚生を充実させる事で、日々オーナーとして奮闘していた。
誰かの駒ではなく、周りの人の理解と協力を得ながらの人生は、私を大きく成長させたと言える。
私の幸せとは、こういう形なのだとしみじみ思った、
そして今日、私と駿斗が結婚式をする事になった。
櫻井のお父様お母様
お爺様とお祖母様
連城先生ご夫妻
濱田ご夫妻
流星さんと奥様の菜々子
羽田さん
渉ママ
潮田さん
以前勤めていた図書館の館長さんや司書の皆さん(皆さんに来ていただける様に、結婚披露宴は休館日にした。)
その他お世話になった方々が参列して下さった。
春の晴天の下
爽やかな風と咲き乱れる花々にも祝福された私と駿斗は、神様の御前で永遠の愛を誓った。
披露宴のお料理は勿論大貫さん。
美味しい彼のお料理に、舌鼓を打つ皆さんの笑顔が弾けていた。
そんな皆さんの顔を見ている私の手を、駿斗はそっと握ってくれ、
「幸せになろうな、百合香。それが皆さんへ出来る最高の恩返しになるから。」
と耳許で囁く。
にっこりと笑って頷いた私の頬を、何処から入ってきたのか?そっと撫でた春風が、
「幸せになりなさい、りり。ママはいつもりりの傍にいるわ。」
とママの言葉を運んで来た。
(ママ。ありがとう。ママの分まで幸せになるわ。見守っていてね。)
そう心の中で答えたのだった。
Fin
生前贈与という形で、白金達が住んでいた屋敷をお爺様から譲り受けた私は、さくら濱銀行からお金を借りて一日ひと組限定の結婚式場を作った。
敷地に小さなチャペルを建て、屋敷のリビングと客間の壁をぶち抜き、南面に、全て開閉可能な窓を付けた。その窓を解放すると、庭と屋敷とが繋がり、広い空間が出来る為、ガーデンパーティを行う事が出来るという式場だ。
勿論雨天でも大丈夫な様に、一階は増築もした。
また二階の居住部分だった部屋は、新郎新婦やその御家族の控え室とし、ゆったりと過ごして貰える様な温かみのある部屋に完全リフォームした。
オーナーは勿論私だが、式場の予約や式の運営、また外部のプランナーさん達からの問い合わせなどは、ホテルマンの潮田さんには申し訳ない かったが、彼の色んなコネクションを使って優秀な人材を確保して貰った。
この式場で結婚式をあげた第一号カップルは、濱田流星 菜々子夫妻だ。
彼等には申し訳ないが、式場のあらゆる場所を紹介する時のモデルにもなってもらった。
美男美女の二人の仲睦まじい姿をホームページに動画や写真で紹介したことで、そこから徐々に広がっていったという感じだろう。
初めはなかなか軌道に乗らず赤字続きだったが、菜々子達の結婚式から口コミで問い合わせが来るようになり、式場を建ててから三年経った今、漸く黒字になってきた。
この頃になると、図書館勤めをしながらのオーナー業務が困難になってきた私は、図書館を辞める事にした。
屋外だと虫が気になるというお客様の要望に答え、全面ガラス張りのサンルームを作った事で維持管理費がかかる様にはなったが、その分予約状況は上々だった。
有り難いとしか言い様がなかったが、その反面働いて下さっているスタッフの方々は忙しくなってしまった。
私はスタッフさんの増員と福利厚生を充実させる事で、日々オーナーとして奮闘していた。
誰かの駒ではなく、周りの人の理解と協力を得ながらの人生は、私を大きく成長させたと言える。
私の幸せとは、こういう形なのだとしみじみ思った、
そして今日、私と駿斗が結婚式をする事になった。
櫻井のお父様お母様
お爺様とお祖母様
連城先生ご夫妻
濱田ご夫妻
流星さんと奥様の菜々子
羽田さん
渉ママ
潮田さん
以前勤めていた図書館の館長さんや司書の皆さん(皆さんに来ていただける様に、結婚披露宴は休館日にした。)
その他お世話になった方々が参列して下さった。
春の晴天の下
爽やかな風と咲き乱れる花々にも祝福された私と駿斗は、神様の御前で永遠の愛を誓った。
披露宴のお料理は勿論大貫さん。
美味しい彼のお料理に、舌鼓を打つ皆さんの笑顔が弾けていた。
そんな皆さんの顔を見ている私の手を、駿斗はそっと握ってくれ、
「幸せになろうな、百合香。それが皆さんへ出来る最高の恩返しになるから。」
と耳許で囁く。
にっこりと笑って頷いた私の頬を、何処から入ってきたのか?そっと撫でた春風が、
「幸せになりなさい、りり。ママはいつもりりの傍にいるわ。」
とママの言葉を運んで来た。
(ママ。ありがとう。ママの分まで幸せになるわ。見守っていてね。)
そう心の中で答えたのだった。
Fin
11
お気に入りに追加
4,033
あなたにおすすめの小説
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。


(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

10年前の婚約破棄を取り消すことはできますか?
岡暁舟
恋愛
「フラン。私はあれから大人になった。あの時はまだ若かったから……君のことを一番に考えていなかった。もう一度やり直さないか?」
10年前、婚約破棄を突きつけて辺境送りにさせた張本人が訪ねてきました。私の答えは……そんなの初めから決まっていますね。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる