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第八章 断罪された人々
第4話 断罪のその後~白金家の人々side〜
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桃花のクッキングスクールの受講料を捻出する為、店を掛け持ちする様になった皐月は、とうとう新しい店のお客と愛人契約を結ぶ様になった。
皐月の愛人は皐月と同じ歳で未婚の男性。
頭髪が少し心許なくはなっているが、いつもハイブランドのビジネススーツを着込んでいて、いかにもセレブ世界の住人だった。
皐月はその男性から月100万円ものお金を貰う事になり、キャバレー愛をあっさり辞め、矢嶋氏が貸してくれている借家には帰らず、与えられたマンションで暮らしながら、愛人が来る事だけを待つ日々を送るようになっていた。
当然貴生と桃花は皐月と連絡を取ろうとするが、皐月は新しい生活を邪魔されたくない為、彼等からの連絡ツールは全てブロックしていた。
ある日皐月は、愛人からプロポーズを受けた事で、貴生に離婚届を書いてもらおうと借家を訪れた。
そこでずっと家に戻ってこなかった事を貴生から責められたが、皐月にとっては想定の範囲内。
「他に愛する人が出来た」「彼と結婚する」「貴方と離婚します」と言って貴生に離婚届を突き付け、署名と捺印を迫る。
逆上した貴生は台所にあった包丁を持ち出し、皐月を押し倒し、その左胸に包丁を突き立てた。
激しい物音を聞きつけた桃花が台所へ駆けつけると、そこには、皐月に馬乗りした状態で包丁を刺している貴生と、血溜まりの中全く動かない皐月の姿があった。
桃花は震える足をどうにか動かし外に出ると、
「人殺し~!誰か助けて~!」
と言って意識を失った。
騒ぎを聞きつけた近所の人が警察と救急車を呼び、貴生は連行、皐月は病院に運び込まれたが、死亡が確認された。失血死だった。
その後貴生は殺人罪で起訴され、目の前で実母が実父に殺された事で、桃花は精神的におかしくなり施設に入院した。
矢嶋氏の借家は取り壊され、事件のほとぼりが冷めた頃小さな公園となり、近所の人達の憩いの場になっていた。
貴生の裁判が終わったのは事件から2年後だった。
裁判が長引いた理由は、貴生が、妻である皐月を殺してしまったのは、自身との離婚を皐月に唆した男のせいであり、自分は悪くないと一部容疑を否認したからだ。
しかし、検察が調べた所、皐月の周りに男がいた形跡は無く、やはり痴情のもつれから来る衝動的な犯行とみなされた。
貴生の判決は執行猶予付きとなった。
釈放された貴生は、その足で2年経っても入院している桃花に会いに施設に行ったが、桃花が貴生の顔を見た途端暴れだしてしまった為、貴生は娘の面会さえ出来なくなってしまった。
貴生のその後の足取りは誰も知らない。
一時期、何処かの組の下っ端になったとか、ダンボールハウスに住んでいるとか、様々な憶測がマスコミの中で飛び交っていたが、その後風化されていった。
また娘の桃花がどうなったかというと。
皐月の遠い親戚と名乗る夫婦が現れ、彼等に連れられて行ったまま消息を絶った。
こうして、百合香を貶め駒として扱っていた白金家の人間は、世間から姿を消すことになったのだ。
皐月の愛人は皐月と同じ歳で未婚の男性。
頭髪が少し心許なくはなっているが、いつもハイブランドのビジネススーツを着込んでいて、いかにもセレブ世界の住人だった。
皐月はその男性から月100万円ものお金を貰う事になり、キャバレー愛をあっさり辞め、矢嶋氏が貸してくれている借家には帰らず、与えられたマンションで暮らしながら、愛人が来る事だけを待つ日々を送るようになっていた。
当然貴生と桃花は皐月と連絡を取ろうとするが、皐月は新しい生活を邪魔されたくない為、彼等からの連絡ツールは全てブロックしていた。
ある日皐月は、愛人からプロポーズを受けた事で、貴生に離婚届を書いてもらおうと借家を訪れた。
そこでずっと家に戻ってこなかった事を貴生から責められたが、皐月にとっては想定の範囲内。
「他に愛する人が出来た」「彼と結婚する」「貴方と離婚します」と言って貴生に離婚届を突き付け、署名と捺印を迫る。
逆上した貴生は台所にあった包丁を持ち出し、皐月を押し倒し、その左胸に包丁を突き立てた。
激しい物音を聞きつけた桃花が台所へ駆けつけると、そこには、皐月に馬乗りした状態で包丁を刺している貴生と、血溜まりの中全く動かない皐月の姿があった。
桃花は震える足をどうにか動かし外に出ると、
「人殺し~!誰か助けて~!」
と言って意識を失った。
騒ぎを聞きつけた近所の人が警察と救急車を呼び、貴生は連行、皐月は病院に運び込まれたが、死亡が確認された。失血死だった。
その後貴生は殺人罪で起訴され、目の前で実母が実父に殺された事で、桃花は精神的におかしくなり施設に入院した。
矢嶋氏の借家は取り壊され、事件のほとぼりが冷めた頃小さな公園となり、近所の人達の憩いの場になっていた。
貴生の裁判が終わったのは事件から2年後だった。
裁判が長引いた理由は、貴生が、妻である皐月を殺してしまったのは、自身との離婚を皐月に唆した男のせいであり、自分は悪くないと一部容疑を否認したからだ。
しかし、検察が調べた所、皐月の周りに男がいた形跡は無く、やはり痴情のもつれから来る衝動的な犯行とみなされた。
貴生の判決は執行猶予付きとなった。
釈放された貴生は、その足で2年経っても入院している桃花に会いに施設に行ったが、桃花が貴生の顔を見た途端暴れだしてしまった為、貴生は娘の面会さえ出来なくなってしまった。
貴生のその後の足取りは誰も知らない。
一時期、何処かの組の下っ端になったとか、ダンボールハウスに住んでいるとか、様々な憶測がマスコミの中で飛び交っていたが、その後風化されていった。
また娘の桃花がどうなったかというと。
皐月の遠い親戚と名乗る夫婦が現れ、彼等に連れられて行ったまま消息を絶った。
こうして、百合香を貶め駒として扱っていた白金家の人間は、世間から姿を消すことになったのだ。
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