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第八章 断罪された人々
第3話 断罪のその後 ~白金桃花side〜
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【慎重に選考申し上げた結果、誠に残念ながら、採用を見送らせていただく事になりましたのでご通知申し上げます。】
「あ~!もう!!なんでよ!!」
私はいまさっき届いた数社からの不採用通知を床に叩き付けた。
優秀な私だから絶対採用されると思って履歴書を送ったのに、ことごとく不採用だ。
そりゃぁ確かに執行猶予が付いたとはいえ私は罪人。
そんな事ちゃんと分かってる。
でもいっぱい反省したし、これから心を入れ替えて頑張ろうとしてるのに、連続不採用通知は無いんじゃない?
もぉため息しか出ないわ。
こうなったら仕方ないわね。夜の蝶になろうかしら。
そっち系なら、前科とか関係なく雇ってくれそうだからね。
そう思い、いろいろ厳選して、ココ!って決めたのは【倶楽部 Butterfly】。
Butterflyは都内では有名な高級クラブ。
私って、ちょっとふっくらしてるけど、出るところはドーンと出てるし、それに私程の美人なら絶対採用されるに決まってる。
履歴書を持って意気揚々と面接に行ったのに、見事に不採用だった。もぉなんで?
気を取り直して次に面接に行ったのは【CLUB プリマヴェーラ】。
プリマヴェーラはButterfly程じゃないけど、そこそこ有名だって噂だったから、私に相応しいって思ってたのに……。
「いや~、流石にその……ね。アンタ前科持ちなんでしょ?いくら夜の蝶の子達に訳ありって子が多いとはいえ、流石に前科があったら困るんだよね~。それにその体も。ウチのお客はデブ専じゃないからさ。」
悪いけど他当たってくれる?と言って、強引に店から追い出されてしまった。
もぉ!!なんなのよ!てか、体型を断りの理由にするとかセクハラじゃん。ほんとイライラするわ。
でも、就活が上手くいかないのはパパもママも同じみたい。
パパが日雇いの仕事をしてはなんとか生活をしていたの。
お仕事が決まらないから住む所も決まらなくて、ずっと安い公共の宿とかをあちこち転々としていた私達だったけど、漸く家が決まったとママがお家の住所が書かれた紙とその家の鍵を持って帰ってきたの。
ふぅ~。やっとまともな生活が出来るのね。
行ってみたらボロ屋だったから吃驚しちゃったわ。
でも漸く他人が出す音とかを気にしないで寝られるって思えば、我慢も出来たの。
公共の宿とかで、
「その女の鼾が煩くて寝られない!」
とか言われた事があるけど、桃花、鼾とかかいたことないもん。
ホント、あそこのおじさん達はデリカシーがないから大嫌いだった。
住む所が決まれば、パパのお仕事も決まってくると思うし、それにパパはまた社長になる!って言ってるから、桃花も頑張らないとって思ったわ。
その後パパは、昼間はパチンコ店、夜は夜間警備のバイトを始めたし、ママもこのボロ屋の大家さんのお店で働く事になったの。
お店のママが娘さんも一緒に良いわよって行ってくれたから、ママと一緒に出勤したんだけど……。
私ってば夜のお仕事向いてなかったみたいなの。お店に来ないでって言われちゃったわ。
やっぱりお嬢様だったから仕方ないわよね。
仕方なくお家にいる事したんだけど、ある日パパが持って帰ってきた雑誌の表紙を見て暴れちゃったの。
だって……流星さんが妹の菜々子と写ってたのよ?しかも2人は婚約したとかって。
兄妹じゃなかったのかよ!菜々子は流星さんの従兄妹だったとか、ドラマじゃんそんなの。
私は利くんから婚約破棄されたのに、菜々子ばっかり幸せになるなんて絶対有り得ない!
でもね。ママが素敵な提案してくれたの。
それは、お料理教室へ行くこと。
ママがね、
「花嫁修業してみたら?」
って言ってくれたの。
桃花レベルなら、どっかの御曹司と結婚出来るだろうし?だったら料理なんて出来なくたって、シェフ雇えばいいって思ったけど。
でもママが
「男は胃袋を掴まれるのに弱いの。美味しいお料理を作れる女子力高い子が好きな男が多いから。それにクッキングスクールは、お金持ちの奥様やお嬢様が来る場所だから、お友達になれば利樹さんより素敵な男を紹介して貰えるかもしれないでしょ。」
って言ってくれたの。
流石ママよね~
うん!頑張ろ。
この時の私はそんな風呑気に考えていたわ。
まさか私がクッキングスクールへ行く事で、こんな事になるなんて思ってもみなかったの。
「あ~!もう!!なんでよ!!」
私はいまさっき届いた数社からの不採用通知を床に叩き付けた。
優秀な私だから絶対採用されると思って履歴書を送ったのに、ことごとく不採用だ。
そりゃぁ確かに執行猶予が付いたとはいえ私は罪人。
そんな事ちゃんと分かってる。
でもいっぱい反省したし、これから心を入れ替えて頑張ろうとしてるのに、連続不採用通知は無いんじゃない?
もぉため息しか出ないわ。
こうなったら仕方ないわね。夜の蝶になろうかしら。
そっち系なら、前科とか関係なく雇ってくれそうだからね。
そう思い、いろいろ厳選して、ココ!って決めたのは【倶楽部 Butterfly】。
Butterflyは都内では有名な高級クラブ。
私って、ちょっとふっくらしてるけど、出るところはドーンと出てるし、それに私程の美人なら絶対採用されるに決まってる。
履歴書を持って意気揚々と面接に行ったのに、見事に不採用だった。もぉなんで?
気を取り直して次に面接に行ったのは【CLUB プリマヴェーラ】。
プリマヴェーラはButterfly程じゃないけど、そこそこ有名だって噂だったから、私に相応しいって思ってたのに……。
「いや~、流石にその……ね。アンタ前科持ちなんでしょ?いくら夜の蝶の子達に訳ありって子が多いとはいえ、流石に前科があったら困るんだよね~。それにその体も。ウチのお客はデブ専じゃないからさ。」
悪いけど他当たってくれる?と言って、強引に店から追い出されてしまった。
もぉ!!なんなのよ!てか、体型を断りの理由にするとかセクハラじゃん。ほんとイライラするわ。
でも、就活が上手くいかないのはパパもママも同じみたい。
パパが日雇いの仕事をしてはなんとか生活をしていたの。
お仕事が決まらないから住む所も決まらなくて、ずっと安い公共の宿とかをあちこち転々としていた私達だったけど、漸く家が決まったとママがお家の住所が書かれた紙とその家の鍵を持って帰ってきたの。
ふぅ~。やっとまともな生活が出来るのね。
行ってみたらボロ屋だったから吃驚しちゃったわ。
でも漸く他人が出す音とかを気にしないで寝られるって思えば、我慢も出来たの。
公共の宿とかで、
「その女の鼾が煩くて寝られない!」
とか言われた事があるけど、桃花、鼾とかかいたことないもん。
ホント、あそこのおじさん達はデリカシーがないから大嫌いだった。
住む所が決まれば、パパのお仕事も決まってくると思うし、それにパパはまた社長になる!って言ってるから、桃花も頑張らないとって思ったわ。
その後パパは、昼間はパチンコ店、夜は夜間警備のバイトを始めたし、ママもこのボロ屋の大家さんのお店で働く事になったの。
お店のママが娘さんも一緒に良いわよって行ってくれたから、ママと一緒に出勤したんだけど……。
私ってば夜のお仕事向いてなかったみたいなの。お店に来ないでって言われちゃったわ。
やっぱりお嬢様だったから仕方ないわよね。
仕方なくお家にいる事したんだけど、ある日パパが持って帰ってきた雑誌の表紙を見て暴れちゃったの。
だって……流星さんが妹の菜々子と写ってたのよ?しかも2人は婚約したとかって。
兄妹じゃなかったのかよ!菜々子は流星さんの従兄妹だったとか、ドラマじゃんそんなの。
私は利くんから婚約破棄されたのに、菜々子ばっかり幸せになるなんて絶対有り得ない!
でもね。ママが素敵な提案してくれたの。
それは、お料理教室へ行くこと。
ママがね、
「花嫁修業してみたら?」
って言ってくれたの。
桃花レベルなら、どっかの御曹司と結婚出来るだろうし?だったら料理なんて出来なくたって、シェフ雇えばいいって思ったけど。
でもママが
「男は胃袋を掴まれるのに弱いの。美味しいお料理を作れる女子力高い子が好きな男が多いから。それにクッキングスクールは、お金持ちの奥様やお嬢様が来る場所だから、お友達になれば利樹さんより素敵な男を紹介して貰えるかもしれないでしょ。」
って言ってくれたの。
流石ママよね~
うん!頑張ろ。
この時の私はそんな風呑気に考えていたわ。
まさか私がクッキングスクールへ行く事で、こんな事になるなんて思ってもみなかったの。
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