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第七章 襲撃
第3話 再会
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「あれ~?うっそ~!」
すっかり頭の中から消去されたと思っていた人の声が聞こえてきた。
「あ~!!やっぱりそうじゃん!」
誰もが驚いて立ち止まりそうなくらい大きな声を出して、巨漢 とまではいかないが、約二年前のあの日より更に1.5割り増しくらい増量したのでは?と思える体を揺らしながら、私達の…いや、駿斗の傍に駆け寄ってきた女性、白金桃花。
「駿斗く~ん。超久しぶり~。覚えてる?私、白金桃花だよ~。駿斗くんてば、相変わらずカッコイイね~。ね、ね、今からどっか行くの?スーツケースとか持ってるし?ね、もし時間あるなら~、桃花とデートしよ~よ~。ね?ね?」
と一方的に話し始めたかと思うと、駿斗の腕にぶら下がろうとする桃花。
「失敬。」
と一言だけ言い、そんな桃花の手を払い落とすと、駿斗は私の腰を抱く。
「私が愛しているのは妻だけです。触らないで貰えますか?」
と桃花を一刀両断した。
「え?妻?駿斗くんてば、結婚したの?」
「見れば分かるでしょう?妻と私が醸し出しているこの雰囲気から。それとも学園の高等部時代、万年赤点ギリギリの成績だった貴女のおつむでは理解出来ないのでしょうか?」
狼狽える桃花に更に反撃する言葉を被せていく駿斗。
すると、
「やぁやぁ初めまして。僕は京極利樹と申します。僕の婚約者がご迷惑をおかけして申し訳ない。」
と、この険悪な空気を一瞬で断ち切りながら、笑顔の利樹さんが登場した。
桃花は私の本当の姿を知らない。が、利樹さんは、お互い子供だった頃、一緒に遊んだ事がある。
だから、私の本当の姿を知っている。
そして、渉ママ曰く、今の私は麗羅ママの若い頃にそっくりなのだそうだ。
私は利樹さんに見られない様に、咄嗟に駿斗の後ろに隠れ、駿斗のシャツをキュッと掴んだ。
『どうしたんだ?マイハニー』
「…………(突然英語でだなんてどうしたの?)」
理由が分からず駿斗を見上げると、私の方に向き直り、尚も英語で話し始める駿斗。
『大丈夫かい?顔色が良くないな。(大丈夫だ。俺に合わせろ。)』
「駿斗?リリーちゃんね、昨日の夜ちょっと咳をしていたの。」
英語が理解出来る亜由美さんが嘘の証言で援護射撃。
「そうなんだね。ありがとう母さん。」
『リリー。ごめんな。気付いてあげられなくて。こんな人混みにいたら、悪化してしまう。早く我が家へ帰ろう。』
『そうね、ダーリン。少し人に酔ってしまったのかもしれないわ。』
「駿斗、リリーちゃんを連れて、送迎レーンまで移動して来なさい。亜由美も二人についていてあげなさい。」
「分かったわ、あなた。さ、駿斗 リリーちゃん。移動しましょうか。京極さんとそのご婚約者さん。私達はこれで失礼させて頂きますね。」
亜由美さんの言葉をきっかけに、私達がしれっとフェードアウトしようとすると、
「待って下さい!」
と利樹さんが呼び止めた。
「まだ何か?」
駿斗が敵意丸出しで利樹さんを睨みつける。
「失礼ですが……貴方の奥様……僕の知ってる人では無いですか?」
「はい?」
尚も引き留めようとする利樹さんに、私は正体がバレたのでは?と震えてしまう。
そんな私の様子を見た駿斗が、
「私の妻は、日本語が話せません。貴方が仰るその女性も、日本語が話せない方なのでしょうか?」
と私を腕の中に隠しながら反論した。
「え。い、いえ……。彼女は日本人ですから……。大変失礼致しました。」
「え?利くんてば、一体誰の事言ってたの?まさか桃花以外に女がいるわけじゃないでしょうね!」
大根の様な足をドシドシと踏み鳴らして利樹さんを責める桃花。
ていうか、アナタだって婚約者がいるのにさっき駿斗の腕にしがみついたじゃない。
何年経っても全く変わらない桃花に嘆息しながら、
『ダーリンの為に、お義母様に教えて頂いて、和食を作ったのよ。』
『それは本当かい?マイハニー。』
「リリーちゃんが作った和食。美味しかったわよ。駿斗は幸せね。さぁ早く帰りましょう。」
『歩けるかい?ハニー』
『大丈夫よ、ダーリン』
私達はそう話しながら、ポカーンと口を開けたままの桃花と利樹さんを残し、早々にその場から離れた。
すっかり頭の中から消去されたと思っていた人の声が聞こえてきた。
「あ~!!やっぱりそうじゃん!」
誰もが驚いて立ち止まりそうなくらい大きな声を出して、巨漢 とまではいかないが、約二年前のあの日より更に1.5割り増しくらい増量したのでは?と思える体を揺らしながら、私達の…いや、駿斗の傍に駆け寄ってきた女性、白金桃花。
「駿斗く~ん。超久しぶり~。覚えてる?私、白金桃花だよ~。駿斗くんてば、相変わらずカッコイイね~。ね、ね、今からどっか行くの?スーツケースとか持ってるし?ね、もし時間あるなら~、桃花とデートしよ~よ~。ね?ね?」
と一方的に話し始めたかと思うと、駿斗の腕にぶら下がろうとする桃花。
「失敬。」
と一言だけ言い、そんな桃花の手を払い落とすと、駿斗は私の腰を抱く。
「私が愛しているのは妻だけです。触らないで貰えますか?」
と桃花を一刀両断した。
「え?妻?駿斗くんてば、結婚したの?」
「見れば分かるでしょう?妻と私が醸し出しているこの雰囲気から。それとも学園の高等部時代、万年赤点ギリギリの成績だった貴女のおつむでは理解出来ないのでしょうか?」
狼狽える桃花に更に反撃する言葉を被せていく駿斗。
すると、
「やぁやぁ初めまして。僕は京極利樹と申します。僕の婚約者がご迷惑をおかけして申し訳ない。」
と、この険悪な空気を一瞬で断ち切りながら、笑顔の利樹さんが登場した。
桃花は私の本当の姿を知らない。が、利樹さんは、お互い子供だった頃、一緒に遊んだ事がある。
だから、私の本当の姿を知っている。
そして、渉ママ曰く、今の私は麗羅ママの若い頃にそっくりなのだそうだ。
私は利樹さんに見られない様に、咄嗟に駿斗の後ろに隠れ、駿斗のシャツをキュッと掴んだ。
『どうしたんだ?マイハニー』
「…………(突然英語でだなんてどうしたの?)」
理由が分からず駿斗を見上げると、私の方に向き直り、尚も英語で話し始める駿斗。
『大丈夫かい?顔色が良くないな。(大丈夫だ。俺に合わせろ。)』
「駿斗?リリーちゃんね、昨日の夜ちょっと咳をしていたの。」
英語が理解出来る亜由美さんが嘘の証言で援護射撃。
「そうなんだね。ありがとう母さん。」
『リリー。ごめんな。気付いてあげられなくて。こんな人混みにいたら、悪化してしまう。早く我が家へ帰ろう。』
『そうね、ダーリン。少し人に酔ってしまったのかもしれないわ。』
「駿斗、リリーちゃんを連れて、送迎レーンまで移動して来なさい。亜由美も二人についていてあげなさい。」
「分かったわ、あなた。さ、駿斗 リリーちゃん。移動しましょうか。京極さんとそのご婚約者さん。私達はこれで失礼させて頂きますね。」
亜由美さんの言葉をきっかけに、私達がしれっとフェードアウトしようとすると、
「待って下さい!」
と利樹さんが呼び止めた。
「まだ何か?」
駿斗が敵意丸出しで利樹さんを睨みつける。
「失礼ですが……貴方の奥様……僕の知ってる人では無いですか?」
「はい?」
尚も引き留めようとする利樹さんに、私は正体がバレたのでは?と震えてしまう。
そんな私の様子を見た駿斗が、
「私の妻は、日本語が話せません。貴方が仰るその女性も、日本語が話せない方なのでしょうか?」
と私を腕の中に隠しながら反論した。
「え。い、いえ……。彼女は日本人ですから……。大変失礼致しました。」
「え?利くんてば、一体誰の事言ってたの?まさか桃花以外に女がいるわけじゃないでしょうね!」
大根の様な足をドシドシと踏み鳴らして利樹さんを責める桃花。
ていうか、アナタだって婚約者がいるのにさっき駿斗の腕にしがみついたじゃない。
何年経っても全く変わらない桃花に嘆息しながら、
『ダーリンの為に、お義母様に教えて頂いて、和食を作ったのよ。』
『それは本当かい?マイハニー。』
「リリーちゃんが作った和食。美味しかったわよ。駿斗は幸せね。さぁ早く帰りましょう。」
『歩けるかい?ハニー』
『大丈夫よ、ダーリン』
私達はそう話しながら、ポカーンと口を開けたままの桃花と利樹さんを残し、早々にその場から離れた。
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