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第七章 襲撃
第2話 お迎え
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昨日は買い物から帰り、自分の食事の支度をしながら、今日の為に作る食事の下拵えに追われ、稲森さんからのメールを見ることなく寝てしまった私は、今朝 彼からのメッセージアプリのスタ連で起こされた。
「うん……もぉ~。何よ、コレ!!」
┏━━━━━━━━━━━━━┓
┃先生!!締め切りは明日です! ┃
┗━━━━━━━━━━━━━┛
ってこんなスタンプいつ作ったの?あの人……
と独り言ちてても仕方がないので、私は朝ご飯を食べると、執筆に取り組んだ。
漸く書き上げた私は、dataを送信し稲森さんからのOKを貰うと、速攻で出かける支度をした。
駿斗が乗る飛行機が到着するのは14:00。
ここから空港までは車で1時間半かかるのだが、少し早目に空港に到着して、連城先生夫妻と空港でlunchをする予定だったからだ。
夫妻との待ち合わせは13:00。
羽田さんがお迎えに来てくれる時刻まであと20分しかない。
「良かった。少し早目に起きれて……って、稲森さんに起こされたから?になるの?」
鏡の中の自分に問うてみたが、返事は当然あるわけ無く……一人コントみたいで恥ずかしくなってしまったので、誰にも言わない事にした。
『櫻井様。お迎えの方がみえました。』
インターフォンから紺野さんの声が聞こえた為、私は「はい。ありがとうございます。」と返して部屋を出た。
ふと気になって隣の部屋の玄関を見てみたが、防音がしっかりなされているこのマンションだから、中の物音が聞こえる事は無く。
「いつ越して来られるのかしらね。」
と呟き、私はエントランスへと降り、羽田さんの車に乗り込んで成田国際空港へと向かった。
「りりちゃん!こっちこっち。」
亜由美さんが元気よく待ち合わせのレストランの前で手を振っている。
「遅くなってごめんなさい。」
待ち合わせの時間には余裕で到着する予定でマンションを出たはずが、首都高の大渋滞に嵌ってしまい、30分も遅刻してしまった事をお詫びしたが、
「大丈夫よ。あの子もあっちを出た時刻が遅れたみたいで、定刻の到着じゃないみたいだから。」
と笑顔で言われ、私は少しだけ安堵した。
白金の元父だったらこうはならなかったわね。
まぁそんな事になる様なシチュエーションすら無かったけど。
私は心の中でそっと苦笑いをしながら、亜由美さんの後について、店の中に入って行った。
連城夫妻との楽しい食事が終わり、私達3人は、駿斗が乗る飛行機が到着するのを到着ロビーで待っていた。
やがて、スーツケースを引いてロビーに現れた駿斗を見つけた。
まだ私達に気付いていない様子の駿斗に、見つからないように人混みに隠れながら近づいていったのに、
「りり!」
と言ってスーツケースと共に、私目掛けて走って来る駿斗。
あっという間に抱きすくめられ、私の首筋に顔をうずめた駿斗に、まるで犬のように匂いを嗅がれてしまう。
「りり。りり。あ~……会いたかったよ。」
人目もはばからずKissをしようとする駿斗を、態とらしい咳払いが止めた。
「気持ちは分かるが駿斗。先ずは俺達親にも挨拶すべきだろう?」
「そうよ駿斗。『ただいま』くらい言いなさいよね。」
私の後ろから連城夫妻の駿斗を揶揄う言葉が聞こえ、途端に恥ずかしくなり、駿斗の腕の中で小さくなっていると、
「そんな可愛い事するとか……煽ってんの?」
と言われ、私はひたすら首をふるるしか無かった。
「うん……もぉ~。何よ、コレ!!」
┏━━━━━━━━━━━━━┓
┃先生!!締め切りは明日です! ┃
┗━━━━━━━━━━━━━┛
ってこんなスタンプいつ作ったの?あの人……
と独り言ちてても仕方がないので、私は朝ご飯を食べると、執筆に取り組んだ。
漸く書き上げた私は、dataを送信し稲森さんからのOKを貰うと、速攻で出かける支度をした。
駿斗が乗る飛行機が到着するのは14:00。
ここから空港までは車で1時間半かかるのだが、少し早目に空港に到着して、連城先生夫妻と空港でlunchをする予定だったからだ。
夫妻との待ち合わせは13:00。
羽田さんがお迎えに来てくれる時刻まであと20分しかない。
「良かった。少し早目に起きれて……って、稲森さんに起こされたから?になるの?」
鏡の中の自分に問うてみたが、返事は当然あるわけ無く……一人コントみたいで恥ずかしくなってしまったので、誰にも言わない事にした。
『櫻井様。お迎えの方がみえました。』
インターフォンから紺野さんの声が聞こえた為、私は「はい。ありがとうございます。」と返して部屋を出た。
ふと気になって隣の部屋の玄関を見てみたが、防音がしっかりなされているこのマンションだから、中の物音が聞こえる事は無く。
「いつ越して来られるのかしらね。」
と呟き、私はエントランスへと降り、羽田さんの車に乗り込んで成田国際空港へと向かった。
「りりちゃん!こっちこっち。」
亜由美さんが元気よく待ち合わせのレストランの前で手を振っている。
「遅くなってごめんなさい。」
待ち合わせの時間には余裕で到着する予定でマンションを出たはずが、首都高の大渋滞に嵌ってしまい、30分も遅刻してしまった事をお詫びしたが、
「大丈夫よ。あの子もあっちを出た時刻が遅れたみたいで、定刻の到着じゃないみたいだから。」
と笑顔で言われ、私は少しだけ安堵した。
白金の元父だったらこうはならなかったわね。
まぁそんな事になる様なシチュエーションすら無かったけど。
私は心の中でそっと苦笑いをしながら、亜由美さんの後について、店の中に入って行った。
連城夫妻との楽しい食事が終わり、私達3人は、駿斗が乗る飛行機が到着するのを到着ロビーで待っていた。
やがて、スーツケースを引いてロビーに現れた駿斗を見つけた。
まだ私達に気付いていない様子の駿斗に、見つからないように人混みに隠れながら近づいていったのに、
「りり!」
と言ってスーツケースと共に、私目掛けて走って来る駿斗。
あっという間に抱きすくめられ、私の首筋に顔をうずめた駿斗に、まるで犬のように匂いを嗅がれてしまう。
「りり。りり。あ~……会いたかったよ。」
人目もはばからずKissをしようとする駿斗を、態とらしい咳払いが止めた。
「気持ちは分かるが駿斗。先ずは俺達親にも挨拶すべきだろう?」
「そうよ駿斗。『ただいま』くらい言いなさいよね。」
私の後ろから連城夫妻の駿斗を揶揄う言葉が聞こえ、途端に恥ずかしくなり、駿斗の腕の中で小さくなっていると、
「そんな可愛い事するとか……煽ってんの?」
と言われ、私はひたすら首をふるるしか無かった。
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