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第六章 反撃
第4話 示談成立
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「先程白金社長にはお話致しましたが、夫人とお嬢様にはまだでしたので、再度ご説明申し上げますね。一年前のあの会見の日から本日で丁度一年になりましたが、白金百合香さんはまだ見つかっておりません。 お二人も覚えておられると思いますが、百合香さんのお爺様でおられる櫻井兼近氏が、一年以内に孫の百合香を見つけられなかったら、sirogane.coの融資及び支援は打ち切り、百合香さんを虐待した事による名誉毀損の裁判をおこすと仰っていました。が、百合香さんから、『一年以内に白金社長によって自身が見つかる事がなかった場合は、櫻井家の養女となり櫻井百合香となる事』、『白金家の財産相続権の放棄する事』、『虐待による名誉毀損の訴えはおこさない代わりに、今後一切白金家の人間は、自分に関わらないで欲しいという事』が書かれた手紙が櫻井家に届きました。」
また、一気に捲し立ててしまい、乾いた喉を潤す様に、亜由美が入れてくれた珈琲を啜る。
「で、では……百合香さんは、白金家との縁を切ると仰ってるのですか?」
演技だろうか?恐る恐る口にする白金夫人に、
「はい、夫人の仰るとおりです。嬉しいですか?」
おっと!心の声がだだ漏れになってしまった。
「え?それはどういう「失礼致しました。こちらの話です。」は、はぁ……」
「百合香さんが白金百合香から櫻井百合香になられる事により、兼近氏はsirogane.coに今後一切の資金援助や融資を行わない。その代わり今までの融資金の返還もしなくて良いそうですよ。あ~、そうそう。百合香さんの養育費の支払いも未払いのままで良いそうです。良かったですね?弁護士からの請求をずっと無視をなさっていた皐月夫人?」
俺の言葉にブルブルと震えだす夫人に何も言わない貴生氏にとっては、皐月も桃花も駒でしかないのかもしれない。
「こちらに今申し上げた百合香さんの希望を書いた誓約書がございます。百合香さんは、こちらの紙に、御三方全員の署名捺印を希望なさっています。さぁ、ご記入をお願い致します。」
納得いかない様子を浮かべながらも、目の前の三人は、所定の場所にそれぞれ署名と捺印をし、俺に返してきた。
俺は一旦席を立ち、秘書課にいるであろう亜由美に、誓約書とりりちゃんが書いた、遺産相続放棄の書類をコピーして貰った。
「上手く行きそうね。」
「あぁ。もう直ぐだ。」
お互い小声で話をする。
「珈琲美味かった。」
「でしょ?頑張ってね?センセ」
俺は笑って応接室に戻った。
無事に手筒きが終わった事を伝える為、俺はりりちゃんへメールを打つ。
今夜は祝杯だな。
そんな事を考えていた俺は、この後あんな行動にアノ女が出るとは思ってもいなかった。
また、一気に捲し立ててしまい、乾いた喉を潤す様に、亜由美が入れてくれた珈琲を啜る。
「で、では……百合香さんは、白金家との縁を切ると仰ってるのですか?」
演技だろうか?恐る恐る口にする白金夫人に、
「はい、夫人の仰るとおりです。嬉しいですか?」
おっと!心の声がだだ漏れになってしまった。
「え?それはどういう「失礼致しました。こちらの話です。」は、はぁ……」
「百合香さんが白金百合香から櫻井百合香になられる事により、兼近氏はsirogane.coに今後一切の資金援助や融資を行わない。その代わり今までの融資金の返還もしなくて良いそうですよ。あ~、そうそう。百合香さんの養育費の支払いも未払いのままで良いそうです。良かったですね?弁護士からの請求をずっと無視をなさっていた皐月夫人?」
俺の言葉にブルブルと震えだす夫人に何も言わない貴生氏にとっては、皐月も桃花も駒でしかないのかもしれない。
「こちらに今申し上げた百合香さんの希望を書いた誓約書がございます。百合香さんは、こちらの紙に、御三方全員の署名捺印を希望なさっています。さぁ、ご記入をお願い致します。」
納得いかない様子を浮かべながらも、目の前の三人は、所定の場所にそれぞれ署名と捺印をし、俺に返してきた。
俺は一旦席を立ち、秘書課にいるであろう亜由美に、誓約書とりりちゃんが書いた、遺産相続放棄の書類をコピーして貰った。
「上手く行きそうね。」
「あぁ。もう直ぐだ。」
お互い小声で話をする。
「珈琲美味かった。」
「でしょ?頑張ってね?センセ」
俺は笑って応接室に戻った。
無事に手筒きが終わった事を伝える為、俺はりりちゃんへメールを打つ。
今夜は祝杯だな。
そんな事を考えていた俺は、この後あんな行動にアノ女が出るとは思ってもいなかった。
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