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第六章 反撃
第3話 示談2
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「良かったでは無いですか、白金社長。ずっと貴方にとって目障りでしか無かった名ばかりのお子様が、ご自分の目の前からいなくなる。もう関わってもらいたくないと、百合香さんの方から仰っているのですよ?財産相続権を放棄するとまで。なんでしたっけ?あぁ!思い出しました。『あんな奴の為に俺の金をびた一文払う気はない!!』そうでしたよね?櫻井さん。」
と俺が柊氏に聞くと、
「あぁ。確かにそう言ってたな。自分の娘が誘拐されかけたと言うのに……それなのに、見つかったら謝りたかっただと?ふん!見え透いた嘘をよくもまあ弁護士の前で出来たもんだな。」
「まぁまぁ櫻井さん落ち着いて下さい。」
憤慨する柊氏を宥めながら、
「こちらが誓約書です。」
とりりちゃんの希望が書かれた書類を、貴生氏の方へずいっと押し出す。
誓約書には、
櫻井家の養女になる事
白金家の財産相続権を放棄するという事
今後一切櫻井百合香には関わらないで欲しいという事
が書かれている。
またそれ等を白金貴生氏 皐月氏 桃花氏に署名捺印を貰い周知して欲しいと。
俺は貴生氏に、愚妻と愚娘を呼ぶように指示し、先程貴生氏の第二秘書として潜入調査をしてくれている愛妻が入れてくれた、俺好みの美味しい珈琲を飲んだ。
その愛妻 亜由美が、厚化粧の女とドラム缶体型の女を連れて入ってきた。
「失礼致します。社長。奥様とお嬢様をお連れ致しました。」
「あぁ。皐月、桃花。座りなさい。」
「珈琲をお持ち致します。失礼致します。」
と言って亜由美が出て行く時、チラリと俺の方を見てウインクをして行った。
あ~可愛い。思わず口元が緩みそうになるが、営業スマイルをしっかり貼り付け、俺は目の前の愚か者達と対峙した。
「お初にお目にかかります。私、櫻井記念病院の顧問弁護士をしております、連城と申します。」
「櫻井って……百合香お義姉様が見つかったの?」
「黙りなさい桃花。まだ、百合香は見つかっていないそうだ。」
「え?そうなの?じゃなんで弁護士がここにいるの?てか、このおじさん誰?」
柊氏を指差し尋ねてくる貴生氏の娘 桃花。
全く……人を指さしてはいけないと教えられてはいないのだろうか。
「初めまして桃花さん。私は櫻井柊。百合香の伯父だ。それから、人を指差すのはお行儀が悪いから、気をつけようね。」
頭の悪い桃花に、言い聞かせるように話す柊氏。
「え~。そんな事言われた事無いんだけど~。」
っておいおい……どんな教育してんだ?この夫婦。
驚愕のあまり開いた口が塞がらない俺の前に、亜由美が珈琲のおかわりをそっと置いてくれた。
うん。亜由美、ありがとう。愛してるよ。
俺はそういう意味を含め、
「宮本さん。美味しい珈琲をありがとう。」
と言うと、亜由美はにっこり笑って応接室を出ていった。
そして、
「白金社長が仰るとおり、百合香さんはまだ見つかっておりません。その事実は奥様である皐月氏もご存知のはずですよね。」
「……は、い。存じております。」
「え?そうなの?ママ。」
「桃花は黙っていなさい。パパからちゃんと話すから。」
貴生氏に制され口を尖らせている桃花。およそりりちゃんと同い年とは思えないな。
俺はそんな桃花を視界の端にとらえながら、話を続けた。
と俺が柊氏に聞くと、
「あぁ。確かにそう言ってたな。自分の娘が誘拐されかけたと言うのに……それなのに、見つかったら謝りたかっただと?ふん!見え透いた嘘をよくもまあ弁護士の前で出来たもんだな。」
「まぁまぁ櫻井さん落ち着いて下さい。」
憤慨する柊氏を宥めながら、
「こちらが誓約書です。」
とりりちゃんの希望が書かれた書類を、貴生氏の方へずいっと押し出す。
誓約書には、
櫻井家の養女になる事
白金家の財産相続権を放棄するという事
今後一切櫻井百合香には関わらないで欲しいという事
が書かれている。
またそれ等を白金貴生氏 皐月氏 桃花氏に署名捺印を貰い周知して欲しいと。
俺は貴生氏に、愚妻と愚娘を呼ぶように指示し、先程貴生氏の第二秘書として潜入調査をしてくれている愛妻が入れてくれた、俺好みの美味しい珈琲を飲んだ。
その愛妻 亜由美が、厚化粧の女とドラム缶体型の女を連れて入ってきた。
「失礼致します。社長。奥様とお嬢様をお連れ致しました。」
「あぁ。皐月、桃花。座りなさい。」
「珈琲をお持ち致します。失礼致します。」
と言って亜由美が出て行く時、チラリと俺の方を見てウインクをして行った。
あ~可愛い。思わず口元が緩みそうになるが、営業スマイルをしっかり貼り付け、俺は目の前の愚か者達と対峙した。
「お初にお目にかかります。私、櫻井記念病院の顧問弁護士をしております、連城と申します。」
「櫻井って……百合香お義姉様が見つかったの?」
「黙りなさい桃花。まだ、百合香は見つかっていないそうだ。」
「え?そうなの?じゃなんで弁護士がここにいるの?てか、このおじさん誰?」
柊氏を指差し尋ねてくる貴生氏の娘 桃花。
全く……人を指さしてはいけないと教えられてはいないのだろうか。
「初めまして桃花さん。私は櫻井柊。百合香の伯父だ。それから、人を指差すのはお行儀が悪いから、気をつけようね。」
頭の悪い桃花に、言い聞かせるように話す柊氏。
「え~。そんな事言われた事無いんだけど~。」
っておいおい……どんな教育してんだ?この夫婦。
驚愕のあまり開いた口が塞がらない俺の前に、亜由美が珈琲のおかわりをそっと置いてくれた。
うん。亜由美、ありがとう。愛してるよ。
俺はそういう意味を含め、
「宮本さん。美味しい珈琲をありがとう。」
と言うと、亜由美はにっこり笑って応接室を出ていった。
そして、
「白金社長が仰るとおり、百合香さんはまだ見つかっておりません。その事実は奥様である皐月氏もご存知のはずですよね。」
「……は、い。存じております。」
「え?そうなの?ママ。」
「桃花は黙っていなさい。パパからちゃんと話すから。」
貴生氏に制され口を尖らせている桃花。およそりりちゃんと同い年とは思えないな。
俺はそんな桃花を視界の端にとらえながら、話を続けた。
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