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第五章 それぞれの……
第6話 旅立ち
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結局駿斗は、私の部屋に一週間お泊まりをした。
恋人同士でもある健全な大人の男女が一週間もひとつ屋根の下で暮らせば、大抵は大人の関係になるんだろうけど、
「一度抱いたら、俺はりりから離れられなくなる自信がある。だから今は抱かない。」
んだそうだ。
一週間、二人で一緒にご飯作って食べて手を繋いで散歩して買い物して勉強してテレビ見てKissして同じベッドで寝る。
とても穏やかで幸せな一週間だった。
そして今、私達は成田国際空港南ウイングにいる。
「気をつけて」
「あぁ。りりもな」
「うん」
寂しさを隠す為に無理矢理笑顔を貼り付けようとするのに、視界がどんどんぼやけていくのが止められない。
「りり。泣くなよ。」
「だ…だっ…だって……」
「泣くな、りり。」
駿斗の長い腕に抱きしめられる。
「大丈夫だ。毎日連絡する。約束する。浮気はしない、絶対に。」
ただ、うん うん と頷く事しかできず、泣きじゃくってしまう。
4年前の見送りの時とは全く違う
あの時は、駿斗の告白を受け、自分の気持ちに気付いた事で、びっくりもしたし嬉しくもあった。
何より離れると言っても時差もない日本国内。
でも、今回のは……
「寂しいのは俺も一緒だ。でも、心はいつもそばにいるから。りりは俺の唯一無二だから。」
「駿斗も私の唯一無二よ。」
見つめ合い、抱き合い、Kissをする。
「必ず帰ってくる。約束だ!」
構内アナウンスが、アメリカニューヨーク行きの搭乗手続き最終案内を告げる。
「行ってくる。」
「うん、行ってらっしゃい。」
もう一度駿斗にギュッと抱きしめられ、「今の、新婚夫婦みたいだな。」と耳元で囁かれた。
耳まで真っ赤になった私に、
「行ってきます、奥様。」
とKissをした駿斗は、搭乗ゲートをくぐって行った。
私は急いで見送りの為展望デッキへと走った。
漸くアメリカ行きの飛行機を探し出すと、トーイングカーに牽引され、滑走路へと向かっている所だった。
進行方向へ向きを整えながら、飛行機はエンジンをスタートさせる。
トーイングカーが飛行機から離れ、整備士さん達が飛行機に手を振っていた。
軈て、駿斗を乗せた飛行機は、滑走路をゆっくりと走り出し、あっという間に空へ飛び立って行った。
「行ってらっしゃい。待ってるから。ずっとずっと駿斗を。頑張って!負けないで!愛してるよ、駿斗……」
私は飛行機が空の彼方へ消えるまで、ずっと手を振り、互いに交換し合った左腕の金のバングルに、思いを込めてKissをした。
きっと今、駿斗も同じ事をしている。そう思いながら……。
~百合香side~
「りり、愛してる。待っててくれ。必ず資格を取ってお前のところへ帰ってくるから。」
俺は、左腕に光る、二人の名前を入れた揃いのバングルにKissをした。
~駿斗 side~
恋人同士でもある健全な大人の男女が一週間もひとつ屋根の下で暮らせば、大抵は大人の関係になるんだろうけど、
「一度抱いたら、俺はりりから離れられなくなる自信がある。だから今は抱かない。」
んだそうだ。
一週間、二人で一緒にご飯作って食べて手を繋いで散歩して買い物して勉強してテレビ見てKissして同じベッドで寝る。
とても穏やかで幸せな一週間だった。
そして今、私達は成田国際空港南ウイングにいる。
「気をつけて」
「あぁ。りりもな」
「うん」
寂しさを隠す為に無理矢理笑顔を貼り付けようとするのに、視界がどんどんぼやけていくのが止められない。
「りり。泣くなよ。」
「だ…だっ…だって……」
「泣くな、りり。」
駿斗の長い腕に抱きしめられる。
「大丈夫だ。毎日連絡する。約束する。浮気はしない、絶対に。」
ただ、うん うん と頷く事しかできず、泣きじゃくってしまう。
4年前の見送りの時とは全く違う
あの時は、駿斗の告白を受け、自分の気持ちに気付いた事で、びっくりもしたし嬉しくもあった。
何より離れると言っても時差もない日本国内。
でも、今回のは……
「寂しいのは俺も一緒だ。でも、心はいつもそばにいるから。りりは俺の唯一無二だから。」
「駿斗も私の唯一無二よ。」
見つめ合い、抱き合い、Kissをする。
「必ず帰ってくる。約束だ!」
構内アナウンスが、アメリカニューヨーク行きの搭乗手続き最終案内を告げる。
「行ってくる。」
「うん、行ってらっしゃい。」
もう一度駿斗にギュッと抱きしめられ、「今の、新婚夫婦みたいだな。」と耳元で囁かれた。
耳まで真っ赤になった私に、
「行ってきます、奥様。」
とKissをした駿斗は、搭乗ゲートをくぐって行った。
私は急いで見送りの為展望デッキへと走った。
漸くアメリカ行きの飛行機を探し出すと、トーイングカーに牽引され、滑走路へと向かっている所だった。
進行方向へ向きを整えながら、飛行機はエンジンをスタートさせる。
トーイングカーが飛行機から離れ、整備士さん達が飛行機に手を振っていた。
軈て、駿斗を乗せた飛行機は、滑走路をゆっくりと走り出し、あっという間に空へ飛び立って行った。
「行ってらっしゃい。待ってるから。ずっとずっと駿斗を。頑張って!負けないで!愛してるよ、駿斗……」
私は飛行機が空の彼方へ消えるまで、ずっと手を振り、互いに交換し合った左腕の金のバングルに、思いを込めてKissをした。
きっと今、駿斗も同じ事をしている。そう思いながら……。
~百合香side~
「りり、愛してる。待っててくれ。必ず資格を取ってお前のところへ帰ってくるから。」
俺は、左腕に光る、二人の名前を入れた揃いのバングルにKissをした。
~駿斗 side~
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