22 / 97
第三章 学園生活
第3話 学園生活(高等部 2)
しおりを挟む
学年末テストまで1週間となったある日の夜の事だ。
「桃花。どうだ?勉強は。」
父が不躾に桃花に質問した。
桃花は頬を膨らませ
「それが最悪。もぉなんなのよ、この学園の勉強。桃花には難し過ぎだし。」
「桐谷君とかいったか?彼が勉強教えてくれるんじゃなかったのか?」
「翔君は…最近、定期テストの点数が落ちちゃったとかで、桃花の勉強見てくれる時間がなくなったんだって。」
(あれ?桃花。いつの間に一人称を『私』から『桃花』に変えたんだろ。まぁいいや。)
「そうなのか?じゃあ、他に教えてくれる子はクラスの中には居ないのか?」
父の問いにぶすくれていた桃花が突然目を輝かす。
「いるいる~。えとね~駿斗君!」
「駿斗?何駿斗なんだ?」
「連城駿斗だよ。駿斗君は~すっごく頭良くて~かっこよくて~、背が高くてホントかっこいいの~。」
(桃花。話し方が気持ち悪い。それに駿斗の事を『かっこいい』としか言ってなくない?ていうか、『連城』って苗字で駿斗の身バレしそうなんだけど………。お父様も皐月さんも分からないのかしらね?)
「で、桃花はその駿斗とかいう子に勉強を教えて貰いたいのか?」
「そうなのパパ。でもね~。駿斗君超ツンデレだから~。桃花が傍に行くと恥ずかしがって逃げちゃうの~。」
「そうかそうか。皐月に似て桃花は美人だからな。」
父の言葉に当然でしょ?と言わんばかりに、私の顔を見る桃花だったが、私は長い前髪の奥からチラ見しただけで、食事を続けていた。
「ねぇパパ?」
「どうした?桃花。」
「駿斗君を、桃花の専属カテキョーにして欲しいなって。」
「家庭教師か…そうだな……。そうしてやりたいのは山々だが、相手はまだ高校生なんだろ?家庭教師を頼むにしても、その子の親に話さないといけないからなぁ。難しいと思うぞ、桃花。」
「そっかぁ。パパならきっと桃花のお願い聞いてくれるって思ったのに~。ざぁんねん。」
と桃花は唇を尖らす。
(ざぁんねんって…桃花、アナタ何歳なの?)
私は誰にも聞こえない様に嘆息した。
「その駿斗君とやらは難しいが、利樹君なら大丈夫だろう。彼もなかなか優秀だと聞くしな。」
「利君かぁ。まぁいいや、利君で。」
(あらまぁ。利樹さんてば、酷い言われようね。)
「ご馳走様でした。失礼致します。」
私はまだまだ続きそうな家族団欒から早々に離脱すべく席を立とうとすると、
「あらあなた。百合香さんがいるじゃないですか。」
「百合香がどうした?皐月。」
「百合香さんだって桃花と同じAクラスなんでしょ?だったら百合香に聞いてもらえばいいじゃないですか。ハヤト君って子に、「桃花の家庭教師をお願い出来ますか?」って。」
「お義姉様は無理よ、ママ。」
「え?どうしてなの?桃花。」
「お義姉様ってば、ずっと濱田さんとお話ししてるか本ばっかり読んでて超陰キャなんだもん。それに~、駿斗君とお話してるとこ、1回も見た事ないし。」
(はいはい。確かに駿斗とは学園内では話さない様にしてますからね。)
「どうなの?百合香さん」
「はい。桃花の言うとおりです、皐月さん。」
「ほぉらね?だから~お義姉様には無~理~。」
やれやれ仕方ないと言わんばかりの目線を向けてくる桃花に、さも申し訳なさそうに頭を下げ、私はダイニングを後にした。
「桃花。どうだ?勉強は。」
父が不躾に桃花に質問した。
桃花は頬を膨らませ
「それが最悪。もぉなんなのよ、この学園の勉強。桃花には難し過ぎだし。」
「桐谷君とかいったか?彼が勉強教えてくれるんじゃなかったのか?」
「翔君は…最近、定期テストの点数が落ちちゃったとかで、桃花の勉強見てくれる時間がなくなったんだって。」
(あれ?桃花。いつの間に一人称を『私』から『桃花』に変えたんだろ。まぁいいや。)
「そうなのか?じゃあ、他に教えてくれる子はクラスの中には居ないのか?」
父の問いにぶすくれていた桃花が突然目を輝かす。
「いるいる~。えとね~駿斗君!」
「駿斗?何駿斗なんだ?」
「連城駿斗だよ。駿斗君は~すっごく頭良くて~かっこよくて~、背が高くてホントかっこいいの~。」
(桃花。話し方が気持ち悪い。それに駿斗の事を『かっこいい』としか言ってなくない?ていうか、『連城』って苗字で駿斗の身バレしそうなんだけど………。お父様も皐月さんも分からないのかしらね?)
「で、桃花はその駿斗とかいう子に勉強を教えて貰いたいのか?」
「そうなのパパ。でもね~。駿斗君超ツンデレだから~。桃花が傍に行くと恥ずかしがって逃げちゃうの~。」
「そうかそうか。皐月に似て桃花は美人だからな。」
父の言葉に当然でしょ?と言わんばかりに、私の顔を見る桃花だったが、私は長い前髪の奥からチラ見しただけで、食事を続けていた。
「ねぇパパ?」
「どうした?桃花。」
「駿斗君を、桃花の専属カテキョーにして欲しいなって。」
「家庭教師か…そうだな……。そうしてやりたいのは山々だが、相手はまだ高校生なんだろ?家庭教師を頼むにしても、その子の親に話さないといけないからなぁ。難しいと思うぞ、桃花。」
「そっかぁ。パパならきっと桃花のお願い聞いてくれるって思ったのに~。ざぁんねん。」
と桃花は唇を尖らす。
(ざぁんねんって…桃花、アナタ何歳なの?)
私は誰にも聞こえない様に嘆息した。
「その駿斗君とやらは難しいが、利樹君なら大丈夫だろう。彼もなかなか優秀だと聞くしな。」
「利君かぁ。まぁいいや、利君で。」
(あらまぁ。利樹さんてば、酷い言われようね。)
「ご馳走様でした。失礼致します。」
私はまだまだ続きそうな家族団欒から早々に離脱すべく席を立とうとすると、
「あらあなた。百合香さんがいるじゃないですか。」
「百合香がどうした?皐月。」
「百合香さんだって桃花と同じAクラスなんでしょ?だったら百合香に聞いてもらえばいいじゃないですか。ハヤト君って子に、「桃花の家庭教師をお願い出来ますか?」って。」
「お義姉様は無理よ、ママ。」
「え?どうしてなの?桃花。」
「お義姉様ってば、ずっと濱田さんとお話ししてるか本ばっかり読んでて超陰キャなんだもん。それに~、駿斗君とお話してるとこ、1回も見た事ないし。」
(はいはい。確かに駿斗とは学園内では話さない様にしてますからね。)
「どうなの?百合香さん」
「はい。桃花の言うとおりです、皐月さん。」
「ほぉらね?だから~お義姉様には無~理~。」
やれやれ仕方ないと言わんばかりの目線を向けてくる桃花に、さも申し訳なさそうに頭を下げ、私はダイニングを後にした。
1
お気に入りに追加
4,033
あなたにおすすめの小説

【完】お義母様そんなに嫁がお嫌いですか?でも安心してください、もう会う事はありませんから
咲貴
恋愛
見初められ伯爵夫人となった元子爵令嬢のアニカは、夫のフィリベルトの義母に嫌われており、嫌がらせを受ける日々。
そんな中、義父の誕生日を祝うため、とびきりのプレゼントを用意する。
しかし、義母と二人きりになった時、事件は起こった……。

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」


【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為

元婚約者が愛おしい
碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。
留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。
フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。
リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。
フラン王子目線の物語です。


〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる