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第三章 学園生活
第3話 学園生活(高等部 2)
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学年末テストまで1週間となったある日の夜の事だ。
「桃花。どうだ?勉強は。」
父が不躾に桃花に質問した。
桃花は頬を膨らませ
「それが最悪。もぉなんなのよ、この学園の勉強。桃花には難し過ぎだし。」
「桐谷君とかいったか?彼が勉強教えてくれるんじゃなかったのか?」
「翔君は…最近、定期テストの点数が落ちちゃったとかで、桃花の勉強見てくれる時間がなくなったんだって。」
(あれ?桃花。いつの間に一人称を『私』から『桃花』に変えたんだろ。まぁいいや。)
「そうなのか?じゃあ、他に教えてくれる子はクラスの中には居ないのか?」
父の問いにぶすくれていた桃花が突然目を輝かす。
「いるいる~。えとね~駿斗君!」
「駿斗?何駿斗なんだ?」
「連城駿斗だよ。駿斗君は~すっごく頭良くて~かっこよくて~、背が高くてホントかっこいいの~。」
(桃花。話し方が気持ち悪い。それに駿斗の事を『かっこいい』としか言ってなくない?ていうか、『連城』って苗字で駿斗の身バレしそうなんだけど………。お父様も皐月さんも分からないのかしらね?)
「で、桃花はその駿斗とかいう子に勉強を教えて貰いたいのか?」
「そうなのパパ。でもね~。駿斗君超ツンデレだから~。桃花が傍に行くと恥ずかしがって逃げちゃうの~。」
「そうかそうか。皐月に似て桃花は美人だからな。」
父の言葉に当然でしょ?と言わんばかりに、私の顔を見る桃花だったが、私は長い前髪の奥からチラ見しただけで、食事を続けていた。
「ねぇパパ?」
「どうした?桃花。」
「駿斗君を、桃花の専属カテキョーにして欲しいなって。」
「家庭教師か…そうだな……。そうしてやりたいのは山々だが、相手はまだ高校生なんだろ?家庭教師を頼むにしても、その子の親に話さないといけないからなぁ。難しいと思うぞ、桃花。」
「そっかぁ。パパならきっと桃花のお願い聞いてくれるって思ったのに~。ざぁんねん。」
と桃花は唇を尖らす。
(ざぁんねんって…桃花、アナタ何歳なの?)
私は誰にも聞こえない様に嘆息した。
「その駿斗君とやらは難しいが、利樹君なら大丈夫だろう。彼もなかなか優秀だと聞くしな。」
「利君かぁ。まぁいいや、利君で。」
(あらまぁ。利樹さんてば、酷い言われようね。)
「ご馳走様でした。失礼致します。」
私はまだまだ続きそうな家族団欒から早々に離脱すべく席を立とうとすると、
「あらあなた。百合香さんがいるじゃないですか。」
「百合香がどうした?皐月。」
「百合香さんだって桃花と同じAクラスなんでしょ?だったら百合香に聞いてもらえばいいじゃないですか。ハヤト君って子に、「桃花の家庭教師をお願い出来ますか?」って。」
「お義姉様は無理よ、ママ。」
「え?どうしてなの?桃花。」
「お義姉様ってば、ずっと濱田さんとお話ししてるか本ばっかり読んでて超陰キャなんだもん。それに~、駿斗君とお話してるとこ、1回も見た事ないし。」
(はいはい。確かに駿斗とは学園内では話さない様にしてますからね。)
「どうなの?百合香さん」
「はい。桃花の言うとおりです、皐月さん。」
「ほぉらね?だから~お義姉様には無~理~。」
やれやれ仕方ないと言わんばかりの目線を向けてくる桃花に、さも申し訳なさそうに頭を下げ、私はダイニングを後にした。
「桃花。どうだ?勉強は。」
父が不躾に桃花に質問した。
桃花は頬を膨らませ
「それが最悪。もぉなんなのよ、この学園の勉強。桃花には難し過ぎだし。」
「桐谷君とかいったか?彼が勉強教えてくれるんじゃなかったのか?」
「翔君は…最近、定期テストの点数が落ちちゃったとかで、桃花の勉強見てくれる時間がなくなったんだって。」
(あれ?桃花。いつの間に一人称を『私』から『桃花』に変えたんだろ。まぁいいや。)
「そうなのか?じゃあ、他に教えてくれる子はクラスの中には居ないのか?」
父の問いにぶすくれていた桃花が突然目を輝かす。
「いるいる~。えとね~駿斗君!」
「駿斗?何駿斗なんだ?」
「連城駿斗だよ。駿斗君は~すっごく頭良くて~かっこよくて~、背が高くてホントかっこいいの~。」
(桃花。話し方が気持ち悪い。それに駿斗の事を『かっこいい』としか言ってなくない?ていうか、『連城』って苗字で駿斗の身バレしそうなんだけど………。お父様も皐月さんも分からないのかしらね?)
「で、桃花はその駿斗とかいう子に勉強を教えて貰いたいのか?」
「そうなのパパ。でもね~。駿斗君超ツンデレだから~。桃花が傍に行くと恥ずかしがって逃げちゃうの~。」
「そうかそうか。皐月に似て桃花は美人だからな。」
父の言葉に当然でしょ?と言わんばかりに、私の顔を見る桃花だったが、私は長い前髪の奥からチラ見しただけで、食事を続けていた。
「ねぇパパ?」
「どうした?桃花。」
「駿斗君を、桃花の専属カテキョーにして欲しいなって。」
「家庭教師か…そうだな……。そうしてやりたいのは山々だが、相手はまだ高校生なんだろ?家庭教師を頼むにしても、その子の親に話さないといけないからなぁ。難しいと思うぞ、桃花。」
「そっかぁ。パパならきっと桃花のお願い聞いてくれるって思ったのに~。ざぁんねん。」
と桃花は唇を尖らす。
(ざぁんねんって…桃花、アナタ何歳なの?)
私は誰にも聞こえない様に嘆息した。
「その駿斗君とやらは難しいが、利樹君なら大丈夫だろう。彼もなかなか優秀だと聞くしな。」
「利君かぁ。まぁいいや、利君で。」
(あらまぁ。利樹さんてば、酷い言われようね。)
「ご馳走様でした。失礼致します。」
私はまだまだ続きそうな家族団欒から早々に離脱すべく席を立とうとすると、
「あらあなた。百合香さんがいるじゃないですか。」
「百合香がどうした?皐月。」
「百合香さんだって桃花と同じAクラスなんでしょ?だったら百合香に聞いてもらえばいいじゃないですか。ハヤト君って子に、「桃花の家庭教師をお願い出来ますか?」って。」
「お義姉様は無理よ、ママ。」
「え?どうしてなの?桃花。」
「お義姉様ってば、ずっと濱田さんとお話ししてるか本ばっかり読んでて超陰キャなんだもん。それに~、駿斗君とお話してるとこ、1回も見た事ないし。」
(はいはい。確かに駿斗とは学園内では話さない様にしてますからね。)
「どうなの?百合香さん」
「はい。桃花の言うとおりです、皐月さん。」
「ほぉらね?だから~お義姉様には無~理~。」
やれやれ仕方ないと言わんばかりの目線を向けてくる桃花に、さも申し訳なさそうに頭を下げ、私はダイニングを後にした。
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