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第1章 新しい家族
第10話 披露パーティ(当日 2)
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『大変長らくお待たせを致しました。』
司会者台に司会者が現れ、パーティー開始の言葉が発せられた。
会場の明かりが消され、前方入り口にスポットライトが当てられる。
何処の新郎新婦が…あ!新郎新婦か…あの人達。大きなコブ付いてるけど……と、一人ノリツッコミしてみた。
今度コレ、小説に使える時あったら使ってみようかしらと、頭の中にメモを取る。
担当さんから言われてるのよね。
「百合音先生。ネタはありとあらゆるところに転がっているものです。それを取捨選択して話を構築し~うんぬんかんぬん…(以下省略)…」
ってね。
なんて事を考えていたら、スポットライトを浴びた3人が壇上に上がっていた。
私はスマホのボイスレコーダーアプリを起動し、これから始まるであろう話を録音する事にしたのだ。
「え~。本日はお忙しい中、私白金貴生の為にお集まり頂き、誠にありがとうございます。
(誰も貴方の為に来てはいないと思う。)
最愛の妻を亡くして
(その最愛の妻とやらを放っておいてずっと他の女の所に入り浸っていたわよね?)
早5年。その間私は、悲しみを打ち消すかの様に仕事に万進しておりました。
(その5年間家にも帰らずにいましたが?仕事と偽り愛人といた事証拠はしっかりありますよ?)
そして、そんな私を陰ながら支えてくれたのは、秘書の皐月でした。
(毎日その秘書の美味しいお料理を召しがってたのよね?)
そんな健気な皐月に私は、だんだんと惹かれていくようになりました。
(お母様と結婚前からの付き合いだったでしょ?)
皐月には娘がおります。皐月は女手一つで娘を育てておりました。
(毎日一緒に育ててたでしょ?って
はぁ……もういいや面倒くさくなっちゃった。)
………(省略)………。結婚する事に致しました。」
父の結婚宣言に、会場からパラパラと微妙な感じの拍手があった。
流石皆さん一流企業のお偉いさん達ばかりだ。父は美談として話したようだけど、それは事実と異なる事をご存知な方々は多いはず。それに、ここにいらっしゃる方々の殆どは、お爺様が懇意とされている方々ばかり。父の言葉はしっかりとお爺様の耳に入るだろう。
くだらない時間を過ごすのが苦痛に感じ始めた私は、いつの間にか明るくなっていた会場のドアを開け、屋敷に帰る事にした。
「お帰りですか?百合香様。」
「あ!潮田さん。えぇ。なんだか疲れてしまったみたいなんです。」
「それはいけませんね。お車をご用意致しましょうか?」
「ありがとうございます、潮田さん。きっと地下駐車場に羽田さんが待っててくれていると思います。」
「左様でございましたか。では、お車までお送り致しましょう。こちらへ」
潮田さんに促され、地下駐車場へ向かう為にエレベーターへと足を進めると、
「百合香じゃないか。久しぶりだな。」
と後ろから声をかけられた。
司会者台に司会者が現れ、パーティー開始の言葉が発せられた。
会場の明かりが消され、前方入り口にスポットライトが当てられる。
何処の新郎新婦が…あ!新郎新婦か…あの人達。大きなコブ付いてるけど……と、一人ノリツッコミしてみた。
今度コレ、小説に使える時あったら使ってみようかしらと、頭の中にメモを取る。
担当さんから言われてるのよね。
「百合音先生。ネタはありとあらゆるところに転がっているものです。それを取捨選択して話を構築し~うんぬんかんぬん…(以下省略)…」
ってね。
なんて事を考えていたら、スポットライトを浴びた3人が壇上に上がっていた。
私はスマホのボイスレコーダーアプリを起動し、これから始まるであろう話を録音する事にしたのだ。
「え~。本日はお忙しい中、私白金貴生の為にお集まり頂き、誠にありがとうございます。
(誰も貴方の為に来てはいないと思う。)
最愛の妻を亡くして
(その最愛の妻とやらを放っておいてずっと他の女の所に入り浸っていたわよね?)
早5年。その間私は、悲しみを打ち消すかの様に仕事に万進しておりました。
(その5年間家にも帰らずにいましたが?仕事と偽り愛人といた事証拠はしっかりありますよ?)
そして、そんな私を陰ながら支えてくれたのは、秘書の皐月でした。
(毎日その秘書の美味しいお料理を召しがってたのよね?)
そんな健気な皐月に私は、だんだんと惹かれていくようになりました。
(お母様と結婚前からの付き合いだったでしょ?)
皐月には娘がおります。皐月は女手一つで娘を育てておりました。
(毎日一緒に育ててたでしょ?って
はぁ……もういいや面倒くさくなっちゃった。)
………(省略)………。結婚する事に致しました。」
父の結婚宣言に、会場からパラパラと微妙な感じの拍手があった。
流石皆さん一流企業のお偉いさん達ばかりだ。父は美談として話したようだけど、それは事実と異なる事をご存知な方々は多いはず。それに、ここにいらっしゃる方々の殆どは、お爺様が懇意とされている方々ばかり。父の言葉はしっかりとお爺様の耳に入るだろう。
くだらない時間を過ごすのが苦痛に感じ始めた私は、いつの間にか明るくなっていた会場のドアを開け、屋敷に帰る事にした。
「お帰りですか?百合香様。」
「あ!潮田さん。えぇ。なんだか疲れてしまったみたいなんです。」
「それはいけませんね。お車をご用意致しましょうか?」
「ありがとうございます、潮田さん。きっと地下駐車場に羽田さんが待っててくれていると思います。」
「左様でございましたか。では、お車までお送り致しましょう。こちらへ」
潮田さんに促され、地下駐車場へ向かう為にエレベーターへと足を進めると、
「百合香じゃないか。久しぶりだな。」
と後ろから声をかけられた。
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