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第1章 新しい家族
第8話 披露パーティ(前日)
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ある日の金曜日の朝
ダイニングで朝食を頂いていると、父が突然話し出した。
「明日の土曜、ホテルの広間を借りて皐月と桃花の披露パーティをする事にした。」
「え?パーティー?本当なの?パパ。」
桃花は両手を胸の前で組み父を見つめる。
「あぁ。だから桃花は、下校したら直ぐに私の会社に来るんだぞ。私とドレスを買いに行こうな。」
「え?ドレス?嘘!」
「嘘じゃないさ。有名ブランドの店を貸し切ってあるから、そこで桃花に似合うドレスを選ぼうな。」
「嬉しい!ありがとパパ。」
父は嬉しそうに目を細めている。
「でもパパ。お義姉様は?」
「は?」
「パパ?パーティーならお義姉様のドレスも欲しいでしょ?」
「百合香は別に……」
「私!お義姉様とお揃いのドレスがいいわ。」
桃花の言葉に父はあからさまに眉を顰めた。
そんなに嫌なら拒否ればいいじゃない。
私はまた心の中で大きく溜息をつく。
「桃花がそう言うなら仕方ないな。おい百合香!」
え?何?パーティードレスなんていらないけど?と内心思いながらも、
「はい。お父様。」
「桃花がそう言っているから、お前も一旦私の会社に来い。いいな!」
「はいお父様。承知致しました。」
全く面倒な話になったわ。と、私はまた小さく嘆息したのだった。
学校が終わり、私は羽田さんに父の会社まで送って貰うと、社屋前に大きなリムジンが停まっているのが見えた。
仕方ないので、羽田さんには社屋から少し離れた所に停車して貰って、私は徒歩で社屋前まで行くと、ロビーには既に仕事を終えたらしい父と皐月、それに桃花が楽しげに談笑していた。
「遅くなり申し訳ありません。」
と声をかけるも、
「では行こうか桃花、皐月。」
とガン無視される。
だからそんなに嫌なら、桃花がなんと言おうと拒否れば良かったじゃない!と思うが、渋々彼等の後を着いて行った。
「皐月と桃花は私とリムジンで行くぞ。」
「え?パパ。お義姉様は?」
「百合香は専属運転手がいるから、それで行けばいいんだ。だから心配しなくていいんだぞ?桃花。」
「え?そ、そうなのね。分かったわパパ。」
「さぁ行こうか。」
そう言って彼等はリムジンに乗り込んだ。
私は羽田さんの車に戻り、
「アレについていって。もし途中でまかれたら構わず屋敷に帰りましょう。」
「良いのですか?お嬢様。」
「良いのよ。あの人達の仲良し劇場に付き合う気はないから。」
「仲良し劇場は良いですね。」
羽田さんは「ハハハ」と笑いながら、リムジンに追走していた。
結果
私は父達が乗るリムジンにまかれることが無く店の前に到着してしまった。
店はセレクトショップの様で、店内に入ると色んな国の有名ブランドの服や靴等が置いてあった。
「いらっしゃいませ白金様。」
ショップの店長らしい女性が近づいてきた。
「あぁ世話になるよ。」
「ありがとうございます。本日は、どのような物をお求めでございましょう。」
「明日パーティーがあるんだ。だから妻と娘のドレスを買いに来たんだよ。」
「パーティーですか。それはようございました。では、白金様と奥様はこちらへ。お嬢様はこちらへどうぞ。」
「お義姉様。こっちだって。行きましょ。」
そう言って私の腕を掴み、半ば引きずる様にショップスタッフに着いて行く。
あ!父から離れちゃった。これじゃスマホもレコーダーも、父の音声を拾えないわね。
まぁこんな時の為に、亜由美さんが父の持ち物に、上手くアレを仕込んでくれたと言っていたから大丈夫だろう。外にいる羽田さんがしっかり2人の会話を聞いてくれているはずだ。
私はそう思いながら、あーでもないこーでもないとドレスを選んでいる桃花を前髪の間から盗み見ていた。
ダイニングで朝食を頂いていると、父が突然話し出した。
「明日の土曜、ホテルの広間を借りて皐月と桃花の披露パーティをする事にした。」
「え?パーティー?本当なの?パパ。」
桃花は両手を胸の前で組み父を見つめる。
「あぁ。だから桃花は、下校したら直ぐに私の会社に来るんだぞ。私とドレスを買いに行こうな。」
「え?ドレス?嘘!」
「嘘じゃないさ。有名ブランドの店を貸し切ってあるから、そこで桃花に似合うドレスを選ぼうな。」
「嬉しい!ありがとパパ。」
父は嬉しそうに目を細めている。
「でもパパ。お義姉様は?」
「は?」
「パパ?パーティーならお義姉様のドレスも欲しいでしょ?」
「百合香は別に……」
「私!お義姉様とお揃いのドレスがいいわ。」
桃花の言葉に父はあからさまに眉を顰めた。
そんなに嫌なら拒否ればいいじゃない。
私はまた心の中で大きく溜息をつく。
「桃花がそう言うなら仕方ないな。おい百合香!」
え?何?パーティードレスなんていらないけど?と内心思いながらも、
「はい。お父様。」
「桃花がそう言っているから、お前も一旦私の会社に来い。いいな!」
「はいお父様。承知致しました。」
全く面倒な話になったわ。と、私はまた小さく嘆息したのだった。
学校が終わり、私は羽田さんに父の会社まで送って貰うと、社屋前に大きなリムジンが停まっているのが見えた。
仕方ないので、羽田さんには社屋から少し離れた所に停車して貰って、私は徒歩で社屋前まで行くと、ロビーには既に仕事を終えたらしい父と皐月、それに桃花が楽しげに談笑していた。
「遅くなり申し訳ありません。」
と声をかけるも、
「では行こうか桃花、皐月。」
とガン無視される。
だからそんなに嫌なら、桃花がなんと言おうと拒否れば良かったじゃない!と思うが、渋々彼等の後を着いて行った。
「皐月と桃花は私とリムジンで行くぞ。」
「え?パパ。お義姉様は?」
「百合香は専属運転手がいるから、それで行けばいいんだ。だから心配しなくていいんだぞ?桃花。」
「え?そ、そうなのね。分かったわパパ。」
「さぁ行こうか。」
そう言って彼等はリムジンに乗り込んだ。
私は羽田さんの車に戻り、
「アレについていって。もし途中でまかれたら構わず屋敷に帰りましょう。」
「良いのですか?お嬢様。」
「良いのよ。あの人達の仲良し劇場に付き合う気はないから。」
「仲良し劇場は良いですね。」
羽田さんは「ハハハ」と笑いながら、リムジンに追走していた。
結果
私は父達が乗るリムジンにまかれることが無く店の前に到着してしまった。
店はセレクトショップの様で、店内に入ると色んな国の有名ブランドの服や靴等が置いてあった。
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「あぁ世話になるよ。」
「ありがとうございます。本日は、どのような物をお求めでございましょう。」
「明日パーティーがあるんだ。だから妻と娘のドレスを買いに来たんだよ。」
「パーティーですか。それはようございました。では、白金様と奥様はこちらへ。お嬢様はこちらへどうぞ。」
「お義姉様。こっちだって。行きましょ。」
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あ!父から離れちゃった。これじゃスマホもレコーダーも、父の音声を拾えないわね。
まぁこんな時の為に、亜由美さんが父の持ち物に、上手くアレを仕込んでくれたと言っていたから大丈夫だろう。外にいる羽田さんがしっかり2人の会話を聞いてくれているはずだ。
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