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第1章 新しい家族
第4話 日常
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母の死後
私は今までどおり初等部へ通い、自宅では本を読んで過ごした。
相変わらず父が家に帰ってくる事は殆どないが、私の味方になってくれる人達が居てくれるので、寂しい気持ちは無かった。
私の味方。それはいつも傍にいてくれていた。
時子さん。住み込みのお手伝いさんとして、常に私の身の回りの世話をしてくれている。母の実家から母に付いて来てくれた人で、頼れる第2のお母様的存在の女性。
羽田さん。時子さんと同じく母の実家から来てくれている、私専属の運転手さん。実はお爺様のSPだった人だ。
濱田 菜々子。とある金融機関の頭取の孫娘で私の大親友。同じ学園に通う同級生だ。地味子を演じている私を、いつも虐めから守ってくれる優しい美人さん。
お爺様とお祖母様
柊伯父様と彌生伯母様
弁護士の連城先生と奥様の亜由美さん
彼等も私を守ってくれる大切な人達だった。
ただ……今までと変えた事もあった。
1つは容姿。
本来の私の姿は、フランス人の祖母 櫻井スザンヌお祖母様の血を色濃く引いた為、金髪で青い瞳をしている。そのせいか私は幼い頃はよく誘拐されかけ、命の危険に晒される事があった。「お前なんかの為に払う身代金なんてない!」と言う父の命令で私は金髪を黒く染め、瞳の色が分からない様に度なしのフレームレスの眼鏡をかけていた。が、中等部に上がってから髪を染める事を止めた。
色が落ちては染め、落ちては染めを繰り返していては、折角のお祖母様とお母様譲りの綺麗な金髪が傷んでしまうと時子さんに言われ、彌生伯母様にそれを相談してみたのだ。
すると伯母様は、強い風が吹いても、水泳の授業でスイムキャップを被っても絶対に外れる事がなく、しかも前髪が鼻の頭まであるウィッグを作ってくれた。
また眼鏡もより地味に見える様にと黒縁眼鏡に変え、そばかすメイクもした。
鏡に写る私を見た私は、思わず
「うっわぁ 地味子だわ。」
と思わず笑ってしまったものだ。
それは勿論親友の菜々子がそれを初めて見た時も同様なリアクションだった。
「百合?これって……」
「どう?菜々。似合う?」
「とても似合ってるわ。」
クスクス笑い合う私達を遠目で見ているクラスメイトは、訝しげな顔をしていた。
そしてもう1つ
それは……中等部に進級してから入部した文学部で、夏休みの課題として出された執筆の課題というものがあったのだ。
『しろがねゆりか』のアナグラムで、加賀城 結鈴音という名前で提出した小説が顧問の先生の目に止まり、それを小説投稿アプリに投稿したところ、そこそこ人気が出てしまった。
今ではそれが楽しくて、部屋に引きこもり、パソコンに向かって小説を書く様になった。
いつだったかふらっと家に帰ってきた父が、いきなり部屋に入ってきた事があった。そして私のパソコンを取り上げられた事がある。
「こんなくだらない事をしてないで、勉強しろ!お前は将来私の会社を支える人間になるのだからな!」
と物凄い剣幕で怒鳴られた事があった。
幸いにもデータは全てUSBにバックアップ済みだし、お父様に起動されても大丈夫なように、パソコンにはウィルスを仕込んであるから大丈夫なのだけど……。
それからというもの、私は父に内緒で自室のドアに鍵を付けてもらったのだ。
こうして私的に通常運転をしていた矢先、高等部へ進級した私の日常は見事にひっくり返される事となった。
私は今までどおり初等部へ通い、自宅では本を読んで過ごした。
相変わらず父が家に帰ってくる事は殆どないが、私の味方になってくれる人達が居てくれるので、寂しい気持ちは無かった。
私の味方。それはいつも傍にいてくれていた。
時子さん。住み込みのお手伝いさんとして、常に私の身の回りの世話をしてくれている。母の実家から母に付いて来てくれた人で、頼れる第2のお母様的存在の女性。
羽田さん。時子さんと同じく母の実家から来てくれている、私専属の運転手さん。実はお爺様のSPだった人だ。
濱田 菜々子。とある金融機関の頭取の孫娘で私の大親友。同じ学園に通う同級生だ。地味子を演じている私を、いつも虐めから守ってくれる優しい美人さん。
お爺様とお祖母様
柊伯父様と彌生伯母様
弁護士の連城先生と奥様の亜由美さん
彼等も私を守ってくれる大切な人達だった。
ただ……今までと変えた事もあった。
1つは容姿。
本来の私の姿は、フランス人の祖母 櫻井スザンヌお祖母様の血を色濃く引いた為、金髪で青い瞳をしている。そのせいか私は幼い頃はよく誘拐されかけ、命の危険に晒される事があった。「お前なんかの為に払う身代金なんてない!」と言う父の命令で私は金髪を黒く染め、瞳の色が分からない様に度なしのフレームレスの眼鏡をかけていた。が、中等部に上がってから髪を染める事を止めた。
色が落ちては染め、落ちては染めを繰り返していては、折角のお祖母様とお母様譲りの綺麗な金髪が傷んでしまうと時子さんに言われ、彌生伯母様にそれを相談してみたのだ。
すると伯母様は、強い風が吹いても、水泳の授業でスイムキャップを被っても絶対に外れる事がなく、しかも前髪が鼻の頭まであるウィッグを作ってくれた。
また眼鏡もより地味に見える様にと黒縁眼鏡に変え、そばかすメイクもした。
鏡に写る私を見た私は、思わず
「うっわぁ 地味子だわ。」
と思わず笑ってしまったものだ。
それは勿論親友の菜々子がそれを初めて見た時も同様なリアクションだった。
「百合?これって……」
「どう?菜々。似合う?」
「とても似合ってるわ。」
クスクス笑い合う私達を遠目で見ているクラスメイトは、訝しげな顔をしていた。
そしてもう1つ
それは……中等部に進級してから入部した文学部で、夏休みの課題として出された執筆の課題というものがあったのだ。
『しろがねゆりか』のアナグラムで、加賀城 結鈴音という名前で提出した小説が顧問の先生の目に止まり、それを小説投稿アプリに投稿したところ、そこそこ人気が出てしまった。
今ではそれが楽しくて、部屋に引きこもり、パソコンに向かって小説を書く様になった。
いつだったかふらっと家に帰ってきた父が、いきなり部屋に入ってきた事があった。そして私のパソコンを取り上げられた事がある。
「こんなくだらない事をしてないで、勉強しろ!お前は将来私の会社を支える人間になるのだからな!」
と物凄い剣幕で怒鳴られた事があった。
幸いにもデータは全てUSBにバックアップ済みだし、お父様に起動されても大丈夫なように、パソコンにはウィルスを仕込んであるから大丈夫なのだけど……。
それからというもの、私は父に内緒で自室のドアに鍵を付けてもらったのだ。
こうして私的に通常運転をしていた矢先、高等部へ進級した私の日常は見事にひっくり返される事となった。
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