貴方の駒になど真っ平御免です

Saeko

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第1章 新しい家族

第3話 これからの事

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母の遺品整理中の母の部屋に現れた男性は柊伯父様の親友で、弁護士の連城 宏樹れんじょう ひろきという弁護士の先生だった。

連城先生は、生前母から相談を受け、随分ずいぶん前から父の浮気調査をしていると言っていた。

「これですね?麗羅が集めた証拠というのは。」

連城先生は、柊伯父様から渡された日記帳を数ページほど読むと、今度は彌生伯母様からパソコンを見せられていた。
そしてフォルダを開いては黙ってうなずいていた。


「連城君。これから私達はどうしたら良いのかね。」

とお爺様が問うと連城先生は、

「兼近様。ここで話すのは控えましょう。誰が聞いているか分かりませんので。続きは、私の事務所で。」

っしゃった。

私達は一先ず普通に遺品整理をし、父の浮気の証拠となる物をジェラルミンケースに入れた連城先生が私に向き合い腰を曲げ、私の目線に合わせながこう仰った。

「キミが百合香ちゃん。りりちゃんだね?僕はキミのお母様の友人で、弁護士をしている連城です。お母様からキミの事は聞いてるから、安心してくれるかな?悪い様にはしないよ。」

と。そして、私名義の通帳を手渡しながら、

「これはりりちゃんの物だ。だから誰にも言っちゃダメだよ。お父様にも、誰にもだ。でも心配だろうから、今からおじさんと一緒に銀行に行こう。そこに大事なお母様との思い出を隠して貰おうね。」

私は訳が分からなかったが、お母様のお友達の連城先生を信じる事にして、お母様のお部屋にあった大事な物達を鞄に入れ、屋敷を後にした。

連城先生の事務所に行く前に、連城先生立ち会いの元、私は貸金庫に通帳•母の形見の宝石(指輪やネックレス•ブレスレット)を入れた。
宝石類はいずれ父から『相続』の話が出てくるかもしれないと先生が仰ったので、それまでの一時的な保管としておく事にした。




弁護士事務所に入ると、先生の奥様の亜由美さんが迎えてくれた。

「貴女が百合香ちゃん、りりちゃんね。初めまして。私は、貴女のお母様 麗羅の親友の連城亜由美といいます。よろしくね。」

「亜由美さん。お母様の親友?」

「そうよ、りりちゃん。」

連城先生も奥様の亜由美さんも、母からしか呼ばれない『りり』という呼ばれ方を知っていた。

母はとても用心深い人だったから、きっと信用できる人にだけ、私の特別な愛称を教えたのだろう。


「連城君。私達はこれからどう動いたらいいのか教えて貰えるかな?」

お爺様の問いに対して先生は、私にこう仰った。

1.私はこれまでどおり屋敷で生活する事。
2.父の書斎での父の会話を録音した父の机の下のレコーダーと、録画した隠しカメラのテープを回収、入れ替えをする事。
3.父に呼ばれた時は、スマホの録音機能をONにしてから話す事。
その3つだった。

他の事で私が出来ない場合は、亜由美さんが父の会社に潜入し第2秘書をしているので、会社での会話は亜由美さんが録音してくれるし、それとは別に探偵を雇っているので、父の行動は亜由美さんが父のスケジュールを流して証拠写真を取ってくれていると言われた。

それから、お爺様と柊伯父様には後日別にお話をすると仰っていた。
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