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第1章 新しい家族
第1話 対面
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私の名前は白金 百合香21歳。
私には桃花という腹違いの義妹がいる。彼女も私と同じ21歳だ。
桃花の母親は皐月45歳。
皐月さんと櫻子が白金家に来たのは。私が15歳の時。学園の高等部1年生になる年の春の事だった。
ある日。いつも仕事ばかりで忙しくしている父貴生(当時41歳)に、書斎に呼び出された。
「失礼します。百合香です。」
「入りなさい。」
書斎に入ると、そこには父と同じくらいの年齢の女性と私と同じくらいの年の女の子がいた。
「紹介しよう。皐月とその娘の桃花だ。2人はお前の新しい家族になる。皐月は私の会社の秘書をしている女性で、私の妻 お前の母親が病に伏せって辛かった頃、ずっと私を励ましてくれていた優しい女性だ。それに桃花は、皐月に似て明るく優しい子だ。年も同じ年だから、母親を亡くしてずっと塞ぎ込んでいたお前の話し相手に丁度良いだろう。」
「はい。お父様。」
(お母様は病に伏せってはいなかったわ。倒れて救急車で運ばれて、そのまま亡くなったのに。お父様の中で都合よく変換されてるわね。)
「初めまして百合香さん。皐月と言います。これから仲良くしてくれると嬉しいわ。」
「はい。よろしくお願い致します。」
「私は桃花よ、百合香お姉様。明日から同じ学園に通うことになったの。学園の事色々教えてね。」
「はい。分かりました。」
「百合香。お前は地味だし、取り柄は頭が良いくらいなのだから、暫く桃花の勉強を見てやりなさい。」
「はい。お父様。」
「私はこれから2人と話がある。百合香は部屋に戻りなさい。」
「はい。失礼致します。」
私は部屋へ帰ると、きちんと部屋の鍵をかけてから、母が生前使っていたドレッサーの前にすとんと座った。
「地味…ねぇ。笑っちゃうわ。貴方が言ったんじゃない。地味になれって。幼い頃あんな事があったから……って。」
私はそう言いながら、ウィッグと眼鏡を外した。
鏡には、亡き母に似た 髪は輝く金色でグレーががったグリーンの瞳を持つ少女が映っていた。
私の母方の祖母はカナダ人の血を引く女性の為、母も私もその血が色濃く出た。
その目立つ容姿だった私は、幼い頃から誘拐されかけた事が何度もあり、父から髪を黒く染め眼鏡をかける様に言われたのだ。
学園の初等部からずっと、家でも学校でも父が主催するパーティでも、何処へ行くにも私はその格好で過ごしていた。
だから父は、私の本当の姿を忘れてしまったのかしら?
いいえ。それは違うわね。
父は私と母が嫌いだったんだもの。
だから私がどんな容姿であろうと興味が無いのよ。
その証拠に、我が家には家族写真が1枚もない。
父は仕事が忙しいと言って家に帰ってくる日は殆ど無かった。
父は母の実家のお金が欲しかった。だから資産家の娘の母と結婚をした。
そう、父は母と結婚する事で、母の実家から資金援助をしてもらい、自身の企業を立ち上げたのだ。
起業当初はなかなか起動に乗れず赤字続きだったらしい。その為父は、母の実家からお金の工面をしてもらおうと、よく家に帰ってはいい夫を演じていた。が、会社が上手く回るようになってくると、父は殆ど家に帰ってくる事がなくなった。
それは私が10歳の時、母が病に倒れ呆気なくこの世を去った日もそうだった。
私には桃花という腹違いの義妹がいる。彼女も私と同じ21歳だ。
桃花の母親は皐月45歳。
皐月さんと櫻子が白金家に来たのは。私が15歳の時。学園の高等部1年生になる年の春の事だった。
ある日。いつも仕事ばかりで忙しくしている父貴生(当時41歳)に、書斎に呼び出された。
「失礼します。百合香です。」
「入りなさい。」
書斎に入ると、そこには父と同じくらいの年齢の女性と私と同じくらいの年の女の子がいた。
「紹介しよう。皐月とその娘の桃花だ。2人はお前の新しい家族になる。皐月は私の会社の秘書をしている女性で、私の妻 お前の母親が病に伏せって辛かった頃、ずっと私を励ましてくれていた優しい女性だ。それに桃花は、皐月に似て明るく優しい子だ。年も同じ年だから、母親を亡くしてずっと塞ぎ込んでいたお前の話し相手に丁度良いだろう。」
「はい。お父様。」
(お母様は病に伏せってはいなかったわ。倒れて救急車で運ばれて、そのまま亡くなったのに。お父様の中で都合よく変換されてるわね。)
「初めまして百合香さん。皐月と言います。これから仲良くしてくれると嬉しいわ。」
「はい。よろしくお願い致します。」
「私は桃花よ、百合香お姉様。明日から同じ学園に通うことになったの。学園の事色々教えてね。」
「はい。分かりました。」
「百合香。お前は地味だし、取り柄は頭が良いくらいなのだから、暫く桃花の勉強を見てやりなさい。」
「はい。お父様。」
「私はこれから2人と話がある。百合香は部屋に戻りなさい。」
「はい。失礼致します。」
私は部屋へ帰ると、きちんと部屋の鍵をかけてから、母が生前使っていたドレッサーの前にすとんと座った。
「地味…ねぇ。笑っちゃうわ。貴方が言ったんじゃない。地味になれって。幼い頃あんな事があったから……って。」
私はそう言いながら、ウィッグと眼鏡を外した。
鏡には、亡き母に似た 髪は輝く金色でグレーががったグリーンの瞳を持つ少女が映っていた。
私の母方の祖母はカナダ人の血を引く女性の為、母も私もその血が色濃く出た。
その目立つ容姿だった私は、幼い頃から誘拐されかけた事が何度もあり、父から髪を黒く染め眼鏡をかける様に言われたのだ。
学園の初等部からずっと、家でも学校でも父が主催するパーティでも、何処へ行くにも私はその格好で過ごしていた。
だから父は、私の本当の姿を忘れてしまったのかしら?
いいえ。それは違うわね。
父は私と母が嫌いだったんだもの。
だから私がどんな容姿であろうと興味が無いのよ。
その証拠に、我が家には家族写真が1枚もない。
父は仕事が忙しいと言って家に帰ってくる日は殆ど無かった。
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そう、父は母と結婚する事で、母の実家から資金援助をしてもらい、自身の企業を立ち上げたのだ。
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それは私が10歳の時、母が病に倒れ呆気なくこの世を去った日もそうだった。
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