妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

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第14章 ブス姉の幸せ

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ザック様の質問にリーナが答えた内容
それは
「お姉様が帰って来られたら、リーナはハワード様と結婚して公爵夫人になるけれど、公爵家のお仕事は全部お姉様にお任せして、私はただ楽しく優雅に暮らせると思ったからですわ。」
だったそうなの。しかも実に呆気らかんとそう答えたそうなのね。
その他にも、『お友達学友から手配書を作り配布そうする様に薦められた(口車に乗せられたともいうわね)から』や『お姉様が帰ってこられたら淑女教育を受け直さなくて済む』『ハワード様がまた毎日リーナに会いに来てくれる様になると思った』等と言っていたそう。
流石にこれらの発言には
「我がながらなんて愚かなのだろうか。」
と閣下は頭を抱え、夫人も
「リーナ、貴女はなんて事を……。」
と項垂れてしまわれたそう。そして
「そうですわ。ウィンザード伯爵令息様?アンジェリータ様は手配書この事を……」
と、夫人がおずおずと聞いて来られた為、ザック様はキッパリと
「勿論ご存知ですよ、マリヴェル公爵夫人。寧ろ彼女がご存知無い方がおかしいというものでは?」
「そ、そうですわね。仰る通りですわ。これでは、いくらわたくし達がアンジェリータ様に戻って貰う様懇願しても、最初から無駄な事でしたのね。」
と仰って、マリヴェル公爵夫人はリーナに詰め寄る前に腰掛けられていたリーナと向かい合わせのソファに座り直され「はぁ……」と大きな溜め息を一つ漏らされたそうなの。
そんなご両親の様子に、リーナはただ何も言わずに俯いていたそうよ。
そして「そんなに好きじゃなくなった」とリーナの衝撃発言 ┄ ほぼ不敬よね ┄ を聞いたせいで、ハワード殿下はフラフラとその部屋から出て行かられたそうよ。

そんな一悶着…いえ三悶着も四悶着(そんな言葉はないけれども、気持ちはそれくらいだったわね)もあった私とザック様の婚約式の翌日
一旦宿泊なさっていた宿に戻られたマリヴェル公爵家の皆様と同じ宿に泊まられた殿下は、翌朝 早々に王都に帰られたわ。
え?お見送り?
そんなのしなかったわよ
だって、私にとって彼等は"招かざる客”だったもの


それから数週間後

既に学園に戻られていたジェフ様の妖精達からの情報によると、マリヴェル公爵夫人はリーナの淑女教育のやり直しに心血を注がれ、公爵閣下も、未来の義息のハワード殿下を陛下の許可を得て公爵邸に住まわせ(私の部屋だったところが空いてるでしょうし、きっとそこを宛がったのでしょうね。陛下も厄介払いが出来て、安堵なさってるのではないかしら。)次期公爵にすべく、厳しく教育しているそうなの。当の本人達はグズグズ文句を言っているみたいなんだけど、ご夫妻は鬼教官化しておられるみたいで、彼等の我儘に一切耳を傾けないそうなのね。
まぁ、私からしたら今更感しかないのだけれどもね。
え?何故って?
だってそんなの、もっと早く ┄ 私がまだマリヴェル公爵家に居た頃 ┄ にそうなさっていれば良かっただけの話じゃない?
もっと早くそうなさっていれば、この様な醜態を招くことは無かったはずだわ。

今頃それに気付いて、最初から(教育を)やり直すだなんて、骨折り損のくたびれもうけにしかならないかもでしょうに。
そもそも、本当はリーナの淑女教育なんてデビュタント前に終わってなきゃならなかった事だと思うし、ハワード殿下の領地経営を学ぶ機会だって、私との婚約中に大方終わっていて然るべき事よ。
それなのに当の本人達(リーナと殿下)はそれらから逃げ、マリヴェル公爵夫妻は現実から目を背け、私に全て押し付けていた。
そのツケが今、回って来ているだけの話でしょう?
まぁせいぜい苦労されたら良いわ。
ご夫妻は、人に何かを教える事の難しさを、改めて身をもって経験されたらいいのよ。
前世教育者の私が言うのだもの。其れは口先だけ・・の話じゃないのだからね。
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