妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

文字の大きさ
上 下
171 / 179
第14章 ブス姉の幸せ

9

しおりを挟む
「あら、殿下?この件にご自分は関係ないかの様にされておられますが、殿下が全ての起因だということをに気づいていらっしゃいませんの?」
と、再び広げた扇で顔半分を隠してそう問うと、やはり殿下は皆目見当もつかないという様に小首を傾げられていたの。
それを見た私は、(ホントおめでたい頭をされた方だわ。ある意味尊敬してしまうわね。)と思わず脳内で軽くディスってしまったわ。
だから、
「頭のお出来がとっても宜しくない殿下にも分かるようにご説明致しますわ。」
と、脳内だけでは無くさり気なくディスってみたら、流石にディスられたそれのは分かったらしく、殿下の顔は真っ赤に染まったの。そして何かを言おうと口をパクパクされておられたから、それを防ぐように
「先程の言葉の繰り返しにはなりますけれども。そもそもこの問題は、殿下、貴方様のお言葉に端を発しておりますのよ。」
「え?お、いや…私の言葉がか?」
「えぇそうですわ。あれは…忘れもしない、其方で間抜け面をされておられるリーナ…あら失礼。マリヴェル公爵令嬢のデビュタントの日でしたわね。私のエスコートをなさりながら、殿下、貴方はマリヴェル公爵令嬢をご覧になってこう仰ったの。『妹の方が可愛いな。』と。」
「は?そんな事言った「覚えは無い。でございますか?」あ、あぁ…」
「左様にございますか。だとしても、殿下の横にいた婚約者の私が倒れ、数日間意識がなかったというのに、殿下は一度も私の見舞いに来られなかったそうですわね?婚約者が倒れたにもか・か・わ・ら・ず!い・ち・ど・も!大切な事ですので、二度申し上げましたわ。」
「あ…、い、いや…そ、それはその…」
「そればかりか、殿下。貴方は私がそのような状態であったにもかかわらず、マリヴェル公爵令嬢にドレスを贈られましたよね?」
「あ、あぁ…」
「私という婚約者がありながら、その当時妹でしたマリヴェル公爵令嬢にご自分の色のドレスを贈る事ということは明らかな不貞行為・・・・ではありませんこと?違いまして?」
「ぐぬぬ」
私が最も得意とする、相手に反論の余地を与えない話術によるこの戦法は、前世 自然に身についたものなの。要はこちらのペースに丸め込むっていうだけというのものなのだけれど、殿下の様におつむの中身がふわふわのホイップクリームみたいな人間にはうってつけの戦法なのね。だから、
「このに及んで反論の余地等ございませんわよね?殿下。何故かってそれは紛れもない真実・・なのですから!」
と、前世において一部のコアな生徒達の中で流行っていた、色んな道具を駆使しながら事件の真相を解き明かす、「見た目は~」の台詞で有名なキャラクターの仕草を真似て、右手の人差し指と親指をアルファベットのLを形作った状態で殿下を指さして差し上げたわ。
勿論。その後も殿下に言われた事やされた事、その殿下の行為を援護射撃するかのように繰り広げられた、リーナやマリヴェル公爵夫人から受けた言動に対しても言及し、更にはその時に私が受けた心意的ストレスについても話して差し上げたわ。

私の言葉に対して、人の心の痛みとかが分からないらしい性質たち ┄ ただ単に頭の出来が悪いともいう┄ 殿下は、私が何を言いたいのかさっぱり分からないといった間抜け面を晒しておられますし、マリヴェル公爵夫人ただの養母の顔からは表情と顔色がごっそりと抜け落ちていて、最早"この人大丈夫?ちゃんと生きてんの?”状態になっていましたわ。そしてマリヴェル公爵令嬢今となっては無関係な人に至っては、般若の面の様な表情で、怒りと羞恥心 ┄ 多分そうだとおもうの……。まぁ、私からしたらそう見える状態って事なのだけれどもね。今時点では… ┄ から震えていたわ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

私、実は若返り王妃ですの。シミュレーション能力で第二の人生を切り開いておりますので、邪魔はしないでくださいませ

もぐすけ
ファンタジー
 シーファは王妃だが、王が新しい妃に夢中になり始めてからは、王宮内でぞんざいに扱われるようになり、遂には廃屋で暮らすよう言い渡される。  あまりの扱いにシーファは侍女のテレサと王宮を抜け出すことを決意するが、王の寵愛をかさに横暴を極めるユリカ姫は、シーファを見張っており、逃亡の準備をしていたテレサを手討ちにしてしまう。  テレサを娘のように思っていたシーファは絶望するが、テレサは天に召される前に、シーファに二つのギフトを手渡した。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

番だからと攫っておいて、番だと認めないと言われても。

七辻ゆゆ
ファンタジー
特に同情できないので、ルナは手段を選ばず帰国をめざすことにした。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

私のお父様とパパ様

ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。 婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。 大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。 ※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。 追記(2021/10/7) お茶会の後を追加します。 更に追記(2022/3/9) 連載として再開します。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

【完結】私だけが知らない

綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...