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幕間
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結局私は、あれからみっちりと伯爵の講義を受けた後、再提出になってしまった課題と新しく出された課題を、今、ぶつぶつ言いながら取り組んでいる。
「王国大暦だとか、これからの私に必要な事なのか?それよりもっとすべき事があるだろ。たとえば……ん?何だ?」
と、私があれこれ考え事をしていると、何やら部屋の外が騒がしくなっているのに気がついた。
「外が騒がしいが何事だ?」
と護衛騎士に問えば
「殿下は業務の遂行を」
と返されるしまつ。
「気になって集中出来ん!」
と少し声を荒らげて言うも、見張り番は素知らぬ顔をしている。
「私は第二王子だぞ!私の命令が聞けぬと申すか!!」
と語気を強めてみても、
「恐れながら申し上げます。私は国王陛下の命を実行しているのみ。ですので、殿下の命に従う事は致しません。」
と一刀両断されてしまった。
「ふん!」
幼子の様に不貞腐れるしか無かった私は、伯爵から出された課題に渋々取り組む事にしたのだった。
後にその騒ぎについて、王宮に勤める侍女達が井戸端会議で話をしていたのをこっそり聞いてみると、どうやらリーナが王宮に缶詰めにされている私を案じて訪ねてきてくれていたというではないか。なんといじらしいのだろう
なのに…可愛いリーナが私に会いに来たという事を誰も私にその事を伝えなかったのは非常にけしからん!由々しき問題だ!父上に断固抗議せねば!!
そう思い夕餉の時間にその旨を話せば、陛下から「愚か者めが!」と一喝されてしまったのだ。
何故陛下がお怒りになったのかというと、あの日リーナは先触れも無く突然城門前に現れ、王宮中に入れろと門番に訴えたのだそう。
そこで、"いくら公爵令嬢といえども、入城許可のない者を入れる訳にはいけない”と言う門番と、"自分はハワード様の婚約者なのだから無条件で入れる筈だ”と言い張るリーナ。その二人のやり取りがあまりにも長かった為、その日に運び入れる事になっていた物品をなかなか王宮に運び入る事が出来ず、全ての事に対して滞ってしまったそうなのだ。
確かに王族に会うには前もって先触れを出し、許可を得てからでないと忙しい王族に会うことは出来ない。それはそうのではあるが、私は第二王子であり、ゆくゆくはマリヴェル公爵家に婿入りする身だ。ならば謁見の先触れまで厳密にやらなくても良いのでは無いか?と思うのだ。が、それを陛下に問へば
「そなたはそんな事も分からぬのか?」
と溜め息混じりにそう言われ、まるで赤子に言って聞かせるような口調でこう続けられた。
「良いか?ハワード。王宮におる者は、城内住まう我々だけなのか?城では王族以外の者達も働いておるのは知っておろう。私達王族はおろか登城し勤めを果たしておる役人にでさえも、謁見の先触れ無しでは会うことは、例え身内であっても禁じておるのだぞ?」
と。そしてこうも…
「それに、降嫁するとはいえそなたは未だ王族なのだ。先程も告げたように、身内でさえも謁見の先触れを出す規則になっておるのに、いくら婚約者であっても先触れ無しで城内に入れる事は出来ぬ。不用意に誰でも入れてしまえば、機密の漏洩にも繋がりかねぬ大事態が起こる危険性もあるのだからな。」
初めて聞いた様な陛下のお言葉にふむふむと納得していたら、
「もう良いか?私はそなたと違って忙しいのだ。食事後まだ職務が残っているからな。」
と仰って、陛下は食事を再開された。
ふと周りを見ると、王妃殿下である母上と立太子された兄上が、私を可哀想な子供を見るような視線でもって見ている事に気がついた。
私はそんな彼等の視線から逃げる様に目の前の料理にナイフを落としたのだ。
「王国大暦だとか、これからの私に必要な事なのか?それよりもっとすべき事があるだろ。たとえば……ん?何だ?」
と、私があれこれ考え事をしていると、何やら部屋の外が騒がしくなっているのに気がついた。
「外が騒がしいが何事だ?」
と護衛騎士に問えば
「殿下は業務の遂行を」
と返されるしまつ。
「気になって集中出来ん!」
と少し声を荒らげて言うも、見張り番は素知らぬ顔をしている。
「私は第二王子だぞ!私の命令が聞けぬと申すか!!」
と語気を強めてみても、
「恐れながら申し上げます。私は国王陛下の命を実行しているのみ。ですので、殿下の命に従う事は致しません。」
と一刀両断されてしまった。
「ふん!」
幼子の様に不貞腐れるしか無かった私は、伯爵から出された課題に渋々取り組む事にしたのだった。
後にその騒ぎについて、王宮に勤める侍女達が井戸端会議で話をしていたのをこっそり聞いてみると、どうやらリーナが王宮に缶詰めにされている私を案じて訪ねてきてくれていたというではないか。なんといじらしいのだろう
なのに…可愛いリーナが私に会いに来たという事を誰も私にその事を伝えなかったのは非常にけしからん!由々しき問題だ!父上に断固抗議せねば!!
そう思い夕餉の時間にその旨を話せば、陛下から「愚か者めが!」と一喝されてしまったのだ。
何故陛下がお怒りになったのかというと、あの日リーナは先触れも無く突然城門前に現れ、王宮中に入れろと門番に訴えたのだそう。
そこで、"いくら公爵令嬢といえども、入城許可のない者を入れる訳にはいけない”と言う門番と、"自分はハワード様の婚約者なのだから無条件で入れる筈だ”と言い張るリーナ。その二人のやり取りがあまりにも長かった為、その日に運び入れる事になっていた物品をなかなか王宮に運び入る事が出来ず、全ての事に対して滞ってしまったそうなのだ。
確かに王族に会うには前もって先触れを出し、許可を得てからでないと忙しい王族に会うことは出来ない。それはそうのではあるが、私は第二王子であり、ゆくゆくはマリヴェル公爵家に婿入りする身だ。ならば謁見の先触れまで厳密にやらなくても良いのでは無いか?と思うのだ。が、それを陛下に問へば
「そなたはそんな事も分からぬのか?」
と溜め息混じりにそう言われ、まるで赤子に言って聞かせるような口調でこう続けられた。
「良いか?ハワード。王宮におる者は、城内住まう我々だけなのか?城では王族以外の者達も働いておるのは知っておろう。私達王族はおろか登城し勤めを果たしておる役人にでさえも、謁見の先触れ無しでは会うことは、例え身内であっても禁じておるのだぞ?」
と。そしてこうも…
「それに、降嫁するとはいえそなたは未だ王族なのだ。先程も告げたように、身内でさえも謁見の先触れを出す規則になっておるのに、いくら婚約者であっても先触れ無しで城内に入れる事は出来ぬ。不用意に誰でも入れてしまえば、機密の漏洩にも繋がりかねぬ大事態が起こる危険性もあるのだからな。」
初めて聞いた様な陛下のお言葉にふむふむと納得していたら、
「もう良いか?私はそなたと違って忙しいのだ。食事後まだ職務が残っているからな。」
と仰って、陛下は食事を再開された。
ふと周りを見ると、王妃殿下である母上と立太子された兄上が、私を可哀想な子供を見るような視線でもって見ている事に気がついた。
私はそんな彼等の視線から逃げる様に目の前の料理にナイフを落としたのだ。
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追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
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