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第11章 ブス姉が幸せになる為に(辺境伯vs公爵)
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「お初にお目にかかる。私はマリヴェル公爵が当主ダンビエールと申す。この度は我等の訪問を快く受け入れ有り難く思う。」
「遠路はるばるこの様な辺境の地へお越しくださり誠にありがとう存じます、マリヴェル公爵家ご当主ダンビエール=マリヴェル公爵閣下。」
とマリヴェル公爵様の偉そうな向上にも、恭しく騎士の礼を取る我が主のウィンザード伯爵様。
ウィンザード家は代々辺境を護っている領地の為、爵位こそ伯爵位ではございますが侯爵位と同位とみなされております。とはいえ、マリヴェル家はその上の公爵位の為、このように尊大な態度であっても、我が主に対して失礼にはあたらないのです。が、公爵家御一行様を玄関ホール前にて、並んでお迎えしている私達ウィンザード家に従事している者達は、そんな公爵様のご様子に眉をひそめてしまいました。
ですが、主であるウィンザード伯爵様が笑顔で対応なさっておられる以上、お客人に何かをする事は当然の事ながらばかられます。我等の主に余計なご迷惑をおかけるわけには参りませんから。
ですが従事者それぞれが、己の心の中で、(この親からよくもあの様に、聡明で思慮深く、誰にでも分け隔てのない態度で接して下さるアンジェリータ様のような素晴らしいお方がお育ちになられたものだ。)と思ったのは至極当然の事でございましょう。
「ささ、サロンにご案内致します。どうぞ此方へ」
「お心遣い感謝する。我妻の体調が芳しくなくてな。リンディ、大丈夫か?」
「ありがとう存じますわ、あなた。ウィンザード伯爵も、お気遣いありがとう存じますわね。」
と儚げに微笑まれる奥方をお支えになる様にエスコートされるマリヴェル公爵様は、お二人の後をついて歩かれる末娘 ┄ いえ長女で嫡子であったアンジェリータ様は既にマリヴェル公爵家から離籍なさったのだから、連れておられるこの方が嫡子になるのでしょう ┄ のご令嬢に、
「その様に他家の邸内をキョロキョロと。はしたないぞ、リーナ。まったくお前は。アンジェーヌと共にタウンハウスに戻ったら、お前の淑女教育をし直すべきだな。姉のアンジェーヌは完璧な淑女であったのに。どこでどう育てかたを間違ったのだろう。」
と渋い顔をされながら注意されておられました。ですが注意された当のご本人は全く耳に入っていないのか我関せずといったご様子で、尚も引き続き伯爵邸内を仕切りと見渡した後ぼそりと
「田舎屋敷にしては悪くないわね。これならなんとかなるのではなくて?」
と呟いておられました。
私はその、理解の出来ない且つ不気味とも思える呟きを耳にし首を傾げておりましたが、「マハンドール」と主から呼ばれた事で意識を主に向けました。
「マハンドール、ここに」
と主である旦那様のお傍に参りますと、
「手筈通り行う。皆に指示を」
と仰られたお言葉に「は」っと一言返事を申し上げ、お客人を饗す為に立てられた計画を進める指示を従事者達に出した後、私も主のお傍を離れたのでした。
「遠路はるばるこの様な辺境の地へお越しくださり誠にありがとう存じます、マリヴェル公爵家ご当主ダンビエール=マリヴェル公爵閣下。」
とマリヴェル公爵様の偉そうな向上にも、恭しく騎士の礼を取る我が主のウィンザード伯爵様。
ウィンザード家は代々辺境を護っている領地の為、爵位こそ伯爵位ではございますが侯爵位と同位とみなされております。とはいえ、マリヴェル家はその上の公爵位の為、このように尊大な態度であっても、我が主に対して失礼にはあたらないのです。が、公爵家御一行様を玄関ホール前にて、並んでお迎えしている私達ウィンザード家に従事している者達は、そんな公爵様のご様子に眉をひそめてしまいました。
ですが、主であるウィンザード伯爵様が笑顔で対応なさっておられる以上、お客人に何かをする事は当然の事ながらばかられます。我等の主に余計なご迷惑をおかけるわけには参りませんから。
ですが従事者それぞれが、己の心の中で、(この親からよくもあの様に、聡明で思慮深く、誰にでも分け隔てのない態度で接して下さるアンジェリータ様のような素晴らしいお方がお育ちになられたものだ。)と思ったのは至極当然の事でございましょう。
「ささ、サロンにご案内致します。どうぞ此方へ」
「お心遣い感謝する。我妻の体調が芳しくなくてな。リンディ、大丈夫か?」
「ありがとう存じますわ、あなた。ウィンザード伯爵も、お気遣いありがとう存じますわね。」
と儚げに微笑まれる奥方をお支えになる様にエスコートされるマリヴェル公爵様は、お二人の後をついて歩かれる末娘 ┄ いえ長女で嫡子であったアンジェリータ様は既にマリヴェル公爵家から離籍なさったのだから、連れておられるこの方が嫡子になるのでしょう ┄ のご令嬢に、
「その様に他家の邸内をキョロキョロと。はしたないぞ、リーナ。まったくお前は。アンジェーヌと共にタウンハウスに戻ったら、お前の淑女教育をし直すべきだな。姉のアンジェーヌは完璧な淑女であったのに。どこでどう育てかたを間違ったのだろう。」
と渋い顔をされながら注意されておられました。ですが注意された当のご本人は全く耳に入っていないのか我関せずといったご様子で、尚も引き続き伯爵邸内を仕切りと見渡した後ぼそりと
「田舎屋敷にしては悪くないわね。これならなんとかなるのではなくて?」
と呟いておられました。
私はその、理解の出来ない且つ不気味とも思える呟きを耳にし首を傾げておりましたが、「マハンドール」と主から呼ばれた事で意識を主に向けました。
「マハンドール、ここに」
と主である旦那様のお傍に参りますと、
「手筈通り行う。皆に指示を」
と仰られたお言葉に「は」っと一言返事を申し上げ、お客人を饗す為に立てられた計画を進める指示を従事者達に出した後、私も主のお傍を離れたのでした。
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更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
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