妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

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第六章 本格的な始動

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さて、伯爵家御一家の為に作ったロールキャベジは、彼等のいる食堂へと運んで頂き、私はマーサがいる客間へと入った途端、寝台から顔だけこちらに向けたマーサは、ワゴンに乗せてある料理を見ると
「お嬢様!ありがとうございます。其方が『ロールキャベジ』という料理なんですね?」
と、興味津々でそう言ったの。
「そうよマーサ。お待たせしてしまってごめんなさいね。さぁ食べましょう。」
と言うと、彼女は早速そぉっと寝台から降り(勿論手伝ったわよ)、豪華なソファセットの前まで来て、またそっとソファにその体を沈めたの。

私は、出来るだけマーサの近くにテーブルが来るようにとテーブルを彼女の方へと押し、2人分の料理を並べると、マーサの腰の後ろにクッションを入れて腰への負担の軽減をはかったわ。

そして2人手を合わせ
「「いただきます。」」
と言ってから食事にしたのよ。

この"いただきます”は、私が前世で食事前には必ず言っていた言葉で、それをマーサにも教えたの。
この言葉を唱え始めたのは、このウィンザード伯爵領に来てからなんだけど、神に祈りを捧げた後、"生命を頂きます”の意味がこもっている事をマーサには教えていたら彼女はそれにいたく感動し、
「何処で覚えられたのかは存じませんが、素晴らしい言葉ですね、お嬢様。」

それからはずっと、彼女もこの言葉を言ってから食べるようになったのよ(あ……勿論、食事終わりの"ご馳走様でした”も忘れてないわ。この言葉の意味も、マーサにはちゃんと教えてあるわよ)。

「美味しいです、お嬢様。このスープもこのパンも。」
とマーサはロールキャベジを食べながら、とても嬉しそうにしておりましたわ。
「そうね。このパンは、此処の料理人でありパン職人の方が作っておられるのを分けていただいたの。流石職人って感じですわね。いつかは我が家でもパンが焼けたら良いですわね~。」
と、私もパンやスープ、そしてロールキャベジに舌づつみを打っていたら、客間の扉をノックする音が聞こえたの。

「はい。どちら様ですの?」
「マハンドールにございます。恐れ入りますが、マリヴェル公爵令嬢様。おられましたら、食堂までお越しくださいませ。」


え?何?
まさかの呼び出し?

てか、お腹空いてるのに

少しだけ怒れた私は、
「大変申し訳ないのですけれども、今食事中ですの。閣下には食事が終わり次第お伺い致しますわとお伝え下さいますか?」
と言うと、
「それは大変失礼致しました。主人にはその様に申し伝えます。お食事中失礼致しました。」
と言って、マハンドールさんが遠ざかっていく足音が聞こえたの。

私はその音が聞こえなくなった事に安堵して、また美味しいロールキャベジ討伐に精を出したのよ。
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