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第10章 ブス姉が幸せになる為に(準備編)
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ザック様のわざとらしい咳払いに苦笑いをされた伯爵閣下は、ザック様の頭をポンと一つ叩かれると、
「義兄上。このような辺境にようこそお越し下さいました。」
と笑顔でランドルフ公爵閣下に話しかけられたの。
そんな伯爵閣下に、
「ウィンザード伯爵殿。本日は、先触れもなく失礼したな。だが、此度の案件は急ぎ取り交わした方が得策と考えたのだ。許してくれたまえ。」
と頭を下げられた後、笑顔でそう仰るランドルフ閣下。
そんな公爵閣下に伯爵閣下も
「いえいえ。義兄上の仰るとおりにございます。マリヴェル公爵家が我が領地に乗り込んで来られる前に、早速手を打ってしまいましょうぞ。先手必勝ですからな。」
「あぁそうだな。早速手続きを開始しよう。」
と、お二人が握手をしながらお話をずんずんと進められていく様を、私はその場に佇み、他人事の様に見ていたの。
すると、そんな私の方をご覧になったらランドルフ閣下が、
「おぉ!そうであった。ご令嬢よ。改めて自己紹介させて貰おう。私の名はオースティン=ランドルフ。この国の隣国であるバルマンベルグ王国にて、公爵の爵位を賜っておる者だ。この度、我が妹夫婦のたっての願いを受け、ご令嬢を我が公爵家の養女となる算段をつける為に伯爵領に馳せ参じた次第だ。これからよろしく頼むぞ。」
と恭しく頭を下げられるランドルフ公爵閣下に、私は慌てて
「頭をお上げくださいまし、ランドルフ公爵閣下。ご存知かと存じますが、私は既に平民にございます。公爵閣下とあろうお立場の方が、この様に容易く平民に頭を下げる事があってはいけませんわ。」
と丁重に申し上げたのね。
すると公爵閣下はそんな私の言葉に、
「成程。シャルの申したとおり、実に謙虚で聡明なご令嬢であるな。益々気に入った。是非とも我が公爵家の義娘となって貰いたものだ。」
と仰い乍私の手を取られ、そのまま手の甲に軽く唇を当てられたの。
公爵閣下のその様な行動に戸惑っていたら、その手を隣りから叩き落とすザック様。いくら伯父様とはいえ流石に無礼では?と思っていたけれど、
「伯父上。ジェーンに触らないで頂けますか?」
とザック様がそう仰って、私と公爵閣下との間に強引に入り込むと、私をその大きなザック様の背中で隠してしまったの。
そんなザック様に対して別段何も思っていらっしゃらないかの様に、
「早くも独占欲丸出しだな、ザックよ。」
とガハハと豪快に笑われるランドルフ公爵閣下に、
「当たり前です伯父上。ジェーンは……私は、ジェーンの事をずっと前から見てたのです。私にとってジェーンは最愛の女性です。長い間忍ぶ想いを抱いていた私のところに、ようやっと来てくれたのです。然らば、私以外の男に、誰も触れて貰いたく無いと思うのは当然にございましょう。」
と私への想いをはっきりと告げて下さるザック様。
凄く直球なお言葉に恥ずかしい事この上ないのですが、これ程まで私を想って下さるのですもの、いつまでも私がうじうじしていては申し訳がないというものよね。
どうやら私も腹を括るべき時が来たようだわ。
こうなったら、マリヴェル公爵家や今はどうなっているか分からない元婚約者。この際、一切合切全員まとめて切り捨ててしまいましょう。
そしてこの流れに乗ってしまうのも一興
前世では、両親や妹そして恋人だった男から逃げただけだった。
勿論あの時はあれが精一杯だったし、壊れそうだった自分の心と身体を守れる唯一の方法と信じてた。だから前世の決断に関しては、一切の後悔はないわ。
でも今世は、前世と違い凛子先生以外に居なかった味方が、今世ではこんなにも大勢いて下さるのですもの。あんな人達の事なんて、まとめて切り捨ててしまう事も可能だわ。
よし!そうと決まれば行動開始!
そういう考えに至った私は、ザック様の背後からひょこっと頭を出し、
「私、覚悟を決めましたわ。どうか皆様にお聞き頂きたく存じますの。いかがでしょう?」
と部屋にいらっしゃる全ての人に向けそう言ったの。
勿論皆様は笑顔で頷いてくださった
ザック様は背後に隠すようにして下さっていた体勢から私の方に向き直り、笑顔で抱き締めながら「ジェーン。愛してる」と言って下さった。
さぁ!地味ブスな私だけど、今世こそ幸せになってみせるわよ!
もう誰にも邪魔なんてさせないわ!!
そう固く決心した私が、ランドルフ公爵閣下やウィンザード伯爵家のご家族に決意表明をしていたその一方で、元家族達はとても身勝手な会話をしていたのだった。
「義兄上。このような辺境にようこそお越し下さいました。」
と笑顔でランドルフ公爵閣下に話しかけられたの。
そんな伯爵閣下に、
「ウィンザード伯爵殿。本日は、先触れもなく失礼したな。だが、此度の案件は急ぎ取り交わした方が得策と考えたのだ。許してくれたまえ。」
と頭を下げられた後、笑顔でそう仰るランドルフ閣下。
そんな公爵閣下に伯爵閣下も
「いえいえ。義兄上の仰るとおりにございます。マリヴェル公爵家が我が領地に乗り込んで来られる前に、早速手を打ってしまいましょうぞ。先手必勝ですからな。」
「あぁそうだな。早速手続きを開始しよう。」
と、お二人が握手をしながらお話をずんずんと進められていく様を、私はその場に佇み、他人事の様に見ていたの。
すると、そんな私の方をご覧になったらランドルフ閣下が、
「おぉ!そうであった。ご令嬢よ。改めて自己紹介させて貰おう。私の名はオースティン=ランドルフ。この国の隣国であるバルマンベルグ王国にて、公爵の爵位を賜っておる者だ。この度、我が妹夫婦のたっての願いを受け、ご令嬢を我が公爵家の養女となる算段をつける為に伯爵領に馳せ参じた次第だ。これからよろしく頼むぞ。」
と恭しく頭を下げられるランドルフ公爵閣下に、私は慌てて
「頭をお上げくださいまし、ランドルフ公爵閣下。ご存知かと存じますが、私は既に平民にございます。公爵閣下とあろうお立場の方が、この様に容易く平民に頭を下げる事があってはいけませんわ。」
と丁重に申し上げたのね。
すると公爵閣下はそんな私の言葉に、
「成程。シャルの申したとおり、実に謙虚で聡明なご令嬢であるな。益々気に入った。是非とも我が公爵家の義娘となって貰いたものだ。」
と仰い乍私の手を取られ、そのまま手の甲に軽く唇を当てられたの。
公爵閣下のその様な行動に戸惑っていたら、その手を隣りから叩き落とすザック様。いくら伯父様とはいえ流石に無礼では?と思っていたけれど、
「伯父上。ジェーンに触らないで頂けますか?」
とザック様がそう仰って、私と公爵閣下との間に強引に入り込むと、私をその大きなザック様の背中で隠してしまったの。
そんなザック様に対して別段何も思っていらっしゃらないかの様に、
「早くも独占欲丸出しだな、ザックよ。」
とガハハと豪快に笑われるランドルフ公爵閣下に、
「当たり前です伯父上。ジェーンは……私は、ジェーンの事をずっと前から見てたのです。私にとってジェーンは最愛の女性です。長い間忍ぶ想いを抱いていた私のところに、ようやっと来てくれたのです。然らば、私以外の男に、誰も触れて貰いたく無いと思うのは当然にございましょう。」
と私への想いをはっきりと告げて下さるザック様。
凄く直球なお言葉に恥ずかしい事この上ないのですが、これ程まで私を想って下さるのですもの、いつまでも私がうじうじしていては申し訳がないというものよね。
どうやら私も腹を括るべき時が来たようだわ。
こうなったら、マリヴェル公爵家や今はどうなっているか分からない元婚約者。この際、一切合切全員まとめて切り捨ててしまいましょう。
そしてこの流れに乗ってしまうのも一興
前世では、両親や妹そして恋人だった男から逃げただけだった。
勿論あの時はあれが精一杯だったし、壊れそうだった自分の心と身体を守れる唯一の方法と信じてた。だから前世の決断に関しては、一切の後悔はないわ。
でも今世は、前世と違い凛子先生以外に居なかった味方が、今世ではこんなにも大勢いて下さるのですもの。あんな人達の事なんて、まとめて切り捨ててしまう事も可能だわ。
よし!そうと決まれば行動開始!
そういう考えに至った私は、ザック様の背後からひょこっと頭を出し、
「私、覚悟を決めましたわ。どうか皆様にお聞き頂きたく存じますの。いかがでしょう?」
と部屋にいらっしゃる全ての人に向けそう言ったの。
勿論皆様は笑顔で頷いてくださった
ザック様は背後に隠すようにして下さっていた体勢から私の方に向き直り、笑顔で抱き締めながら「ジェーン。愛してる」と言って下さった。
さぁ!地味ブスな私だけど、今世こそ幸せになってみせるわよ!
もう誰にも邪魔なんてさせないわ!!
そう固く決心した私が、ランドルフ公爵閣下やウィンザード伯爵家のご家族に決意表明をしていたその一方で、元家族達はとても身勝手な会話をしていたのだった。
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