妹よりブスな姉の幸せ

第9章 知られてしまった終の住処？

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「そんな事がございましたのね……。リーナの愚かな行為の為に、ザック様だけでなく、ジェフ様やウィンザード伯爵ご夫妻。更には伯爵家にお勤めになられておられる方々に迄お手数とご迷惑をお掛けしてしまいましたわね。元マリヴェル公爵家の者として、謝罪申し上げますわ。誠に申し訳ございませんでした。」
と、先程ザック様よりお聞きしたリーナの愚行に対し、マリヴェル公爵家を代表してお詫び申し上げました。


「いや。ジェーンは悪くないよ。元妹君いもうとぎみが一人で暴走され、勝手に自滅なさっただけの話なんだから。ね？」
と、ザック様は笑顔で仰ってくださいますが、リーナの愚行のせいで、結果的にウィンザード騎士団まで動いてしまったんですもの、私に非が全く無いだなんて事は決してないと思うの。

「それに致しましても何故リーナはそのような愚行に走ってしまったのでしょう。皆目見当もつきませんわ。」
と独り言の様にブツブツと呟いていたら、
「私の意見を述べさせて頂いても宜しいですか？お嬢様。」
とマーサが問うてきたの。

「勿論宜しくってよ、マーサ。何か分かったのかしら？どんな些細な事でも良いわ。忌憚きたんのない意見をお願いするわね。」
「ありがとう存じます、お嬢様。では恐れながら申し上げます。恐らくリーナお嬢様は、ご自身の公爵令嬢としての能力に限界を感じておられるのではないでしょうか。にも関わらず、それをお認めになられてしまわれれば、ご両親であらせられる公爵閣下や公爵夫人、それにお嬢様をお捨てになりリーナお嬢様をお選びになられたハワード第二王子殿下から見捨てられてしまう。そう思われたからこそ、ご学友の令息令嬢の方々に相談なさった。そうしたら…「その相談を受けたとても親切・・なご学友から、妙案と称して"手配書”を作るよう提案された。しかも、お父上には内緒で行う事や有力な情報には報酬金を支払う等の文言を記載する様言ったのでしょう。もし万が一お父上の知れる事になった場合には、『お姉様を見つけて、お父様お母様の喜ぶお顔が見たかった。だから内緒で行ったのです。』という理由を仰れば、公爵閣下も許して下さるに違いありません。等という最もらしい理由も添えて。違うかな？マーサ嬢。」」
マーサの考えの続きを仰るザック様に、
「えぇ。アイザックス様の仰るとおりかと存じます。リーナお嬢様の様な、よく申せば"素直”悪く申せば"単純で騙しやすい”お方ですから、その方の意のままに、如何様いかようにも動かす事が出来ましょう。」
「そうかもしれないわね。リーナあの子は貴族特有の"言葉の裏に隠された悪意”さえも、全て善意として受け止めてしまう子ですものね。だからこそ、元両親には、何度もリーナの再教育をと、進言しておりましたのに、元お父様は、『リーナはお前とは違う。お前は婿を取りこの公爵家を引き継ぐ者だが、リーナは嫁いでいく者だ。だから、最低限の知識と淑女としての振る舞いが出来ればいい。』と仰って、取り合っては下さいませんでしたものね。」
と言いながら、私はたかが数年前の元実家でのやり取りを思い出し、本当に自分は無力だったなと気分が沈んでしまったのよね。