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第9章 知られてしまった終の住処?
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それから数十分後
動きやすさ重視の完璧な平民服では無く、貴族らしい質の良いワンピースに着替えた私は、お仕着せ姿のマーサと共に、ザック様が乗ってこられた馬車に乗せて頂き、伯爵邸へ向かう事にしたの。
自宅の玄関扉の施錠をし、ザック様のエスコートを受け馬車に乗り込もうとすると、
「アンジェリータ様。我々ウィンザード第三騎士団が、伯爵邸まで護衛申し上げます。」
と、私の背後から声がかかったの。
振り返り声の主の顔を見ると、ここ最近、自宅周辺や孤児院前で見かけた事がある男性が、ウィンザード騎士団の騎士服を着て、後方に数名の騎士服の男性を従え立っていたわ。
「護衛、宜しく頼む。ウィンザード第三騎士団長ナイトルーク卿。」
私の隣りにいらしたザック様の言葉に、「はっ!」と言って騎士の礼をなさったナイトルーク卿は、馬車の周りで待たせていた馬に颯爽と騎乗し、団員と思しき方々に
「全員配置につけ!」
と仰ると、団員の皆様と共に、予め決められていた(であろう)配置に着かれたの。
あの方……、騎士団長だったのね
それにしても伯爵のお屋敷迄護衛するとか……。
なんか仰々しいわね。と思いながら馬車に乗り込むと、
「なんだか仰々しくて申し訳ない。だが、これには深い事情があるんだ。その理由はちゃんと話すからね、ジェーン。」
とザック様が申し訳なさそうに仰ったから、
「大丈夫ですわ、ザック様。私はザック様を信じておりますもの。」
と言って、ザック様に にっこりと笑みを返したの。ですのにザック様ったら、顔を逸らしてしまわれたのよ。
え?何で逸らすわけ?
そりゃぁ私はリーナより不細工ですし?
どうせ笑顔を見せても可愛くはないとは思うけどさ。
でも、いくらなんでも顔を逸らすだなんて、酷すぎやしませんか?
と、独りごちていたら、
「恐れながらアイザックス様。お顔が赤くておられますが、お身体の具合でもお悪いのでございますか?」
とマーサがザック様にそう聞いていたの。
するとザック様は、コホンと一つ咳払いをなさると直ぐ、いつもの表情に戻られ、
「ありがとう、マーサ嬢。俺はいたって健康だから心配には及ばないよ。それより………そうだ!屋敷に着く前に、少しだけ何故この様な状況になったのか?を話しておこうと思うんだが……。」
と、いつものザック様に戻りそう仰ったのよ。
「分かりましたわ、ザック様。先程の第三騎士団長様のお姿を、この頃毎日の様に拝見致します事も、今からお話下さる事とも関係しておりますの?」
とザック様のご提案を肯定しつつ そうお聞きすると、
「流石ジェーンだね。察しがいいよ。」
と、私とマーサが横並びで座っている向かいの席から、少しだけ腰を浮かせた状態で手を伸ばされ、私の頭を撫でられたの。
その、まるで幼子にする様な行為に少しだけ不満に思っておりますと、
「ジェーンは本当に素直だね。一体誰が、『アンジェーヌ様は無愛想』と言い出したのだろう。こんなにちゃんと感情が顔に出ているのに。」
と仰って、また私の頭を今度はくしゃくしゃと撫でられたの。
「もう!折角マーサに綺麗に編んで貰いましたのに、ぐちゃぐちゃではないですか!酷いですわ、ザック様!!」
と文句を言うと
「そうやって怒った顔も可愛いよ、ジェーン。」
と今度は完全に立ち上がった状態で私の耳元に口を寄せそう仰ったから、
「ちゃんと席にお座り下さいまし。揺れて怪我をなさいますわよ。」
と厳重注意を
すると
「それくらいで怪我をするほどやわな鍛え方はしてないし、そんなんじゃ辺境を護れないよ。でも、心配してくれてありがとう、ジェーン。」
と、ザック様がますます甘々になられた為なのか?マーサが気を利かせて、スっと向かいの席へ移動してったの。
「すまないね、マーサ嬢。ありがとう。」
とマーサに仰ったザック様は、私の隣りに座り、伯爵邸へ到着するまでの間に、王都で起きていた出来事についてお話下さったの。
動きやすさ重視の完璧な平民服では無く、貴族らしい質の良いワンピースに着替えた私は、お仕着せ姿のマーサと共に、ザック様が乗ってこられた馬車に乗せて頂き、伯爵邸へ向かう事にしたの。
自宅の玄関扉の施錠をし、ザック様のエスコートを受け馬車に乗り込もうとすると、
「アンジェリータ様。我々ウィンザード第三騎士団が、伯爵邸まで護衛申し上げます。」
と、私の背後から声がかかったの。
振り返り声の主の顔を見ると、ここ最近、自宅周辺や孤児院前で見かけた事がある男性が、ウィンザード騎士団の騎士服を着て、後方に数名の騎士服の男性を従え立っていたわ。
「護衛、宜しく頼む。ウィンザード第三騎士団長ナイトルーク卿。」
私の隣りにいらしたザック様の言葉に、「はっ!」と言って騎士の礼をなさったナイトルーク卿は、馬車の周りで待たせていた馬に颯爽と騎乗し、団員と思しき方々に
「全員配置につけ!」
と仰ると、団員の皆様と共に、予め決められていた(であろう)配置に着かれたの。
あの方……、騎士団長だったのね
それにしても伯爵のお屋敷迄護衛するとか……。
なんか仰々しいわね。と思いながら馬車に乗り込むと、
「なんだか仰々しくて申し訳ない。だが、これには深い事情があるんだ。その理由はちゃんと話すからね、ジェーン。」
とザック様が申し訳なさそうに仰ったから、
「大丈夫ですわ、ザック様。私はザック様を信じておりますもの。」
と言って、ザック様に にっこりと笑みを返したの。ですのにザック様ったら、顔を逸らしてしまわれたのよ。
え?何で逸らすわけ?
そりゃぁ私はリーナより不細工ですし?
どうせ笑顔を見せても可愛くはないとは思うけどさ。
でも、いくらなんでも顔を逸らすだなんて、酷すぎやしませんか?
と、独りごちていたら、
「恐れながらアイザックス様。お顔が赤くておられますが、お身体の具合でもお悪いのでございますか?」
とマーサがザック様にそう聞いていたの。
するとザック様は、コホンと一つ咳払いをなさると直ぐ、いつもの表情に戻られ、
「ありがとう、マーサ嬢。俺はいたって健康だから心配には及ばないよ。それより………そうだ!屋敷に着く前に、少しだけ何故この様な状況になったのか?を話しておこうと思うんだが……。」
と、いつものザック様に戻りそう仰ったのよ。
「分かりましたわ、ザック様。先程の第三騎士団長様のお姿を、この頃毎日の様に拝見致します事も、今からお話下さる事とも関係しておりますの?」
とザック様のご提案を肯定しつつ そうお聞きすると、
「流石ジェーンだね。察しがいいよ。」
と、私とマーサが横並びで座っている向かいの席から、少しだけ腰を浮かせた状態で手を伸ばされ、私の頭を撫でられたの。
その、まるで幼子にする様な行為に少しだけ不満に思っておりますと、
「ジェーンは本当に素直だね。一体誰が、『アンジェーヌ様は無愛想』と言い出したのだろう。こんなにちゃんと感情が顔に出ているのに。」
と仰って、また私の頭を今度はくしゃくしゃと撫でられたの。
「もう!折角マーサに綺麗に編んで貰いましたのに、ぐちゃぐちゃではないですか!酷いですわ、ザック様!!」
と文句を言うと
「そうやって怒った顔も可愛いよ、ジェーン。」
と今度は完全に立ち上がった状態で私の耳元に口を寄せそう仰ったから、
「ちゃんと席にお座り下さいまし。揺れて怪我をなさいますわよ。」
と厳重注意を
すると
「それくらいで怪我をするほどやわな鍛え方はしてないし、そんなんじゃ辺境を護れないよ。でも、心配してくれてありがとう、ジェーン。」
と、ザック様がますます甘々になられた為なのか?マーサが気を利かせて、スっと向かいの席へ移動してったの。
「すまないね、マーサ嬢。ありがとう。」
とマーサに仰ったザック様は、私の隣りに座り、伯爵邸へ到着するまでの間に、王都で起きていた出来事についてお話下さったの。
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