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第9章 知られてしまった終の住処?
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「お嬢様!申し訳ございません!!」
そう言って、私の前で床に伏して頭を下げるマーサ。
(因みにこの世界には"土下座”という言葉はないの。前世での記憶では、"伏して頭を下げる行為”とは、元来は、最上級の礼を表す行為とされていたんですって。まぁ諸説あるみたいだけど…)
事の発端は、数十分間前に遡り……
私はいつもと同じ穏やかな朝を迎え、午前中のルーティンを終え、マーサと二人自宅に帰って来たの。
するとそこへ、血相を変えたザック様が息を切らして飛び込んで来られたのよ。
「もう!ザック様。あれ程先触れを…って、如何なさいましたの?ザ…「き、緊急事態だ、ジェーン!こ、これを大至急、読んで!早く!!」え?」
息を切らし乍そう仰るザック様の、有無を言わさない目力と迫力に負けてしまった私は、差し出された手紙を受け取り、中を拝読したの。
手紙の差出人は王都におられるジェフ様だったわ。
そして書かれた内容を拝読した私は……
「は?マジか!!てかなんで親こっち来るわけ?もう親娘の縁切ってあるんだし、関係なくね?なんで今更?超意味不なんだけど!」
と思わず前世時代に、教え子達が使っていた言葉で言っちゃったわ。
「ジェーン?」
とザック様は大層驚いておられる様だけれども、それはこの手紙の内容では無く、十中八九先程発した私の(前世の)言葉遣いに対してよね。けれど、今はそんな事はスルーよスルー。
何故って、ピンチもピンチ。超絶ピンチなうなんだから!
あぁそうね
どんな手紙なのかをお話しなければよね
拝読した手紙にはこう書かれていたの…
【親愛なる兄上へ
前略
非常に悪い事態になりました。
先程、マリヴェル公爵家に潜入させている者から、緊急事態であると報告がありました。
聞けば、マリヴェル公爵家の侍女の一人に届きました手紙が、マーサ嬢からのものだということが公爵閣下の耳に入り、そこからですが、義姉上がウィンザード領にいらっしゃる事が知られてしまいました。
公爵閣下は、父上に先触れの早馬を飛ばされる様です。至急のご対応を願います。
ジェフェリー=ウィンザード】
「はぁ……数日後に、元父のマリヴェル公爵閣下が此方に来られるのですね。」
と、手紙をザック様にお返ししながら大きなため息を洩らすと、
「え?公爵様が此方に?」
と、私の言葉にマーサが目をまん丸にして聞いてきたの。
なので、
「これをご覧なさい?」
と、先程の手紙をマーサに見せる事の許可をザック様に得てから、私はマーサに手紙を見せましたの。
すると手紙を読み始めて直ぐ、マーサの顔が見る間に青くなり……
"そして冒頭に戻る”ですわね
そんなマーサに、
「良いのです、マーサ。この件は、私の指示不足でしたわ。だから、貴女に非はないの。さぁ、顔をお上げなさい」
と言ったのだけれど、マーサの身体は小さく震えてたの。
可哀想に……泣いちゃったのね
「大丈夫よ、マーサ。大丈夫だから。どうせ遅かれ早かれ、マリヴェル公爵閣下に、此処が知られてしまう可能性はあったのです。それより今すべき事は、閣下が来られる迄の数日の間に、しっかりと対応策を考える事ですわよ、マーサ。勿論一緒に考えてくれるわよね?」
とマーサの背中を優しく撫でながらそう言ったの。それでもマーサは、暫くの間ずっと、「ごめんなさい、お嬢様。申し訳ございません……」と嗚咽を洩らしながら小さな声でそう繰り返していたわ。
そう言って、私の前で床に伏して頭を下げるマーサ。
(因みにこの世界には"土下座”という言葉はないの。前世での記憶では、"伏して頭を下げる行為”とは、元来は、最上級の礼を表す行為とされていたんですって。まぁ諸説あるみたいだけど…)
事の発端は、数十分間前に遡り……
私はいつもと同じ穏やかな朝を迎え、午前中のルーティンを終え、マーサと二人自宅に帰って来たの。
するとそこへ、血相を変えたザック様が息を切らして飛び込んで来られたのよ。
「もう!ザック様。あれ程先触れを…って、如何なさいましたの?ザ…「き、緊急事態だ、ジェーン!こ、これを大至急、読んで!早く!!」え?」
息を切らし乍そう仰るザック様の、有無を言わさない目力と迫力に負けてしまった私は、差し出された手紙を受け取り、中を拝読したの。
手紙の差出人は王都におられるジェフ様だったわ。
そして書かれた内容を拝読した私は……
「は?マジか!!てかなんで親こっち来るわけ?もう親娘の縁切ってあるんだし、関係なくね?なんで今更?超意味不なんだけど!」
と思わず前世時代に、教え子達が使っていた言葉で言っちゃったわ。
「ジェーン?」
とザック様は大層驚いておられる様だけれども、それはこの手紙の内容では無く、十中八九先程発した私の(前世の)言葉遣いに対してよね。けれど、今はそんな事はスルーよスルー。
何故って、ピンチもピンチ。超絶ピンチなうなんだから!
あぁそうね
どんな手紙なのかをお話しなければよね
拝読した手紙にはこう書かれていたの…
【親愛なる兄上へ
前略
非常に悪い事態になりました。
先程、マリヴェル公爵家に潜入させている者から、緊急事態であると報告がありました。
聞けば、マリヴェル公爵家の侍女の一人に届きました手紙が、マーサ嬢からのものだということが公爵閣下の耳に入り、そこからですが、義姉上がウィンザード領にいらっしゃる事が知られてしまいました。
公爵閣下は、父上に先触れの早馬を飛ばされる様です。至急のご対応を願います。
ジェフェリー=ウィンザード】
「はぁ……数日後に、元父のマリヴェル公爵閣下が此方に来られるのですね。」
と、手紙をザック様にお返ししながら大きなため息を洩らすと、
「え?公爵様が此方に?」
と、私の言葉にマーサが目をまん丸にして聞いてきたの。
なので、
「これをご覧なさい?」
と、先程の手紙をマーサに見せる事の許可をザック様に得てから、私はマーサに手紙を見せましたの。
すると手紙を読み始めて直ぐ、マーサの顔が見る間に青くなり……
"そして冒頭に戻る”ですわね
そんなマーサに、
「良いのです、マーサ。この件は、私の指示不足でしたわ。だから、貴女に非はないの。さぁ、顔をお上げなさい」
と言ったのだけれど、マーサの身体は小さく震えてたの。
可哀想に……泣いちゃったのね
「大丈夫よ、マーサ。大丈夫だから。どうせ遅かれ早かれ、マリヴェル公爵閣下に、此処が知られてしまう可能性はあったのです。それより今すべき事は、閣下が来られる迄の数日の間に、しっかりと対応策を考える事ですわよ、マーサ。勿論一緒に考えてくれるわよね?」
とマーサの背中を優しく撫でながらそう言ったの。それでもマーサは、暫くの間ずっと、「ごめんなさい、お嬢様。申し訳ございません……」と嗚咽を洩らしながら小さな声でそう繰り返していたわ。
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