妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

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第9章 知られてしまった終の住処?

1

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時は少しばかり戻りまして、此方 ウィンザード領です。

・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚・*:..。o○☼*゚

ジェフ様が学園に戻られてから、私はまた通常営業に戻ったの。

午前中は、庭木の世話や家畜の世話をした後朝ご飯を食べ、マーサと二人孤児院へ向かい子供達に勉学を教え、自宅に戻って昼食をとる。
午後は、マーサと二人でユーリブランドの受注品を作成したり、またマーサに仕事を任せ、私は自室に籠ってマリヴェル公爵領内の自分の領地から送られてくる茶葉の出来を確認したり、指示を出すための手紙を書いたりするの。

そんな毎日を送っている中、ただ一つ…いえ二つ?かしら
最近私の頭を悩ませている事案があるの

それは……
1.ユーリブランドの今後の方針等
2.マリヴェル公爵領の私名義の土地で栽培しております紅茶の茶木をウィンザード領此方で栽培出来るか?

なの

今日も、ずっとずっと考えているんだけど、全く妙案が浮かばなくて困ってるのよね。

ま、2は、ウィンザード領ここに茶葉が送られてきている事で、既に私がいる場所が分かってるわけだけど、1に関してはマリヴェル公爵家の者__彼等__#に分からない様に慎重に行動する必要があるわよね。

兎に角!
今ここでグダグダと悩んでも欠片程の妙案さえ浮かんこないし、ここは一先ずお茶でも入れて気分転換でもしましょう(って、ここ最近こればっかりな気もしてるんだけどね)。気分転換ついでにお菓子も作ってしまいましょ。

そう考えた私は、早速階下にあるキッチンに立ち、マドレーヌを作り始めたの。
そしてマドレーヌの焼き上がり時間を考え、丁度よい時刻にお湯が沸く様に逆算してお茶の支度をし、サロンを整え始めたわ。

すると、マドレーヌが焼ける良い香りに誘われたのか、マーサがアトリエから降りてきたのと同時に、お隣のアニーさんとお子様のアーサー君とシンディちゃんが来られたの。

「アニーさん、アーサー君・シンディちゃん。いらっしゃい。マーサ、お疲れ様ですわね。丁度お茶の時間にしようと思っておりましたのよ。」
と四人に告げれば、
「僕達、ユー……あ!間違えた。アンジー姉様がきっと僕達の分も用意してくれるんじゃないかなぁってきたんだよ?そうだよね?アンジー姉様。」
と首をコテンと横に倒して聞いてくるアーサー君の、子供故に許されるあざと可愛いさに、頬がみるみる緩んでいくのが分かったわ。

なのに、
「お嬢様。お顔が酷いことになっておられます。」
とマーサに言われ、
「酷いことって……酷い言われようだわ。」
と、不貞腐れ乍言葉を返していたら、
「ジェーン。俺も来たよ」
と、不躾にも、勝手に玄関扉を開けて、ザック様が入ってこられたの。

「ザック様。いつも申しておりますでしょ?先触れを出し…「今朝届いたジェーンのご学友からの手紙を届けに来たんだよ。早い方が良いかと思ってね。」え?」
と私の文句を遮るように仰って、「はい、ジェーン」と、突然訪問してきたにも拘わらず、しかも少しも悪びれる様子もなく私宛ての手紙を差し出すザック様に呆れつつも、「ありがとう存じますわ、ザック様。」
と素直に手紙を受け取ったの。

手紙の差出人を見ると、それは私の大親友であるミーナとサリーナだったわ。
「嬉しいですわ。早速お返事を書かねばなりませんわね。」
と、うきうきした気持ちで二人からの手紙を抱き締めておりますと、
「お茶の時間が終わってから書いたらどうだい?それまで俺は、サロンで待たせて貰うから。」
とザック様はそう仰り、勝手知ったる他人の家とばかり、さっさとサロンへと入っていったの。

またその後ろをアニーさん親子がついていったわ。
しかも、アーサー君はザック様と手を繋いで仲良く……。アーサー君、将来大物になるわね。

突然の次期領主ザック様の来訪ではあるんだけど、アニーさん親子にとってはいつもの事の為、最早驚きもしなくなってたわね。
寧ろアーサー君に至っては、ザック様にめちゃくちゃ懐いてるし。
"慣れ”とは恐ろしいものだわと心底そう実感した瞬間だったわね。

そんな彼等を見て、小さく嘆息した私は、
「マーサ。サロンのお客様に、マドレーヌとお茶をお運びして頂戴。」
と指示を出したの。

そして、六名のささやかながらも楽しいお茶会を過ごしたのよ。
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