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第8章 学園生活で見聞した事は(ジェフェリー目線)
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「これは我が領地の騎士達が持っております"風の守り球”にございます。」
と目の前に置いた球の説明を始めた俺。
我が伯爵家の家紋は、翼を広げた鷹が交差した二本の剣を守っている様に見えるものなのだが、この国に於いて、鷹は風を司る鳥と言われている。
その為、我がウィンザードの騎士達は風神隊と呼ばれ、他国から恐れられているんだ。
この球には、代々ウィンザード家の男達を加護している風の妖精の力を付与してある。
その為、有事の時に球を握って"風よ!我に力を”と唱えると、たちまち強い風が吹き、土埃や草や葉を巻き上げ、敵陣営の視界を閉ざして味方の陣営を守ったり、またその風を利用し、遠方からでも火の付いた矢を飛ばし、敵の陣営にまで届かせ、攻撃力を増加させることも出来るんだ。
「存じておりますわ。ウィンザード辺境伯様の騎士団の別名は"無敵の神風隊”。『有事の時にはどこからともなく風が吹き、たちまち敵陣を壊滅させる。』でしたわよね。」
「そうですわよね。『その姿はまるで、風をはらみ悠々と飛ぶ鷹の如し。されど眼光鋭く狙った獲物は逃さない。』でしたわ。」
と仰ってうっとりと目を閉じられるミーナリンド様とサリーナヴェルテ様の言葉に、(尾ひれはひれが付いて、すごい評価になっているぞ。)と内心慌てるも、
「我が領地の騎士団に高い評価を頂き、ありがとう存じます。それもこれもこの"風守りの球”によるもの。ですので、マリヴェル公爵家に潜入して頂く方々は、此方をお持ちくだされば、この球の力でお守りする事が出来るのです。如何でしょう。心配なさっておられました案件は払拭出来ましたでしょうか?ルービック様・マイクハミル様。」
とお二人に問えば、
「有事の時は其方の守り球がその者をお守り下さるのは分かった。だが……、潜入させた者が、どのような手段でジェフェリー殿と連絡をするのかな?」
「そうだな。私もそれも心配していたんだ。マリヴェル公爵家で見聞した事を外部に洩らしている事が分かった時は、間違いなくその者の生命が危険に晒されるだろう。であるならば、マリヴェル公爵側に見つからない様な通信手段が必要だと思うんだよね。」
と、マイクハミル様とルービック様はまだ不安事項を払拭出来ずにいらっしゃる様だ。
「ご心配には及びません。この風守りの球には、"通信”と"記録”の力を付与してございます。あぁそうだ!如何でしょう?ご自身で一度お試しになってみませんか?」
と言って、俺は風守りの球をルービック様とマイクハミル様に一つずつお渡しすると、俺自身が持っている受信機能付きの守り球を目の前に置いた。
そして、
「どうぞ、ご婚約者様同士に分かれられ、此方より少し離れた場所にご移動下さい。そして、球をお持ちの方は、それを握りながら、"守り球よ、これを記憶せよ”と仰った後、それぞれのご令嬢とご自由にお話下さい。それ等の内容はこの球が全て受け止めます。受け止めました内容を、後ほど此方に映し出して皆様にご覧に入れます。では、ご自由にお話下さい。」
と言うと、令息達は半信半疑乍も俺に言われたとおりの行動を取り、婚約者との会話を始めたんだ。
と目の前に置いた球の説明を始めた俺。
我が伯爵家の家紋は、翼を広げた鷹が交差した二本の剣を守っている様に見えるものなのだが、この国に於いて、鷹は風を司る鳥と言われている。
その為、我がウィンザードの騎士達は風神隊と呼ばれ、他国から恐れられているんだ。
この球には、代々ウィンザード家の男達を加護している風の妖精の力を付与してある。
その為、有事の時に球を握って"風よ!我に力を”と唱えると、たちまち強い風が吹き、土埃や草や葉を巻き上げ、敵陣営の視界を閉ざして味方の陣営を守ったり、またその風を利用し、遠方からでも火の付いた矢を飛ばし、敵の陣営にまで届かせ、攻撃力を増加させることも出来るんだ。
「存じておりますわ。ウィンザード辺境伯様の騎士団の別名は"無敵の神風隊”。『有事の時にはどこからともなく風が吹き、たちまち敵陣を壊滅させる。』でしたわよね。」
「そうですわよね。『その姿はまるで、風をはらみ悠々と飛ぶ鷹の如し。されど眼光鋭く狙った獲物は逃さない。』でしたわ。」
と仰ってうっとりと目を閉じられるミーナリンド様とサリーナヴェルテ様の言葉に、(尾ひれはひれが付いて、すごい評価になっているぞ。)と内心慌てるも、
「我が領地の騎士団に高い評価を頂き、ありがとう存じます。それもこれもこの"風守りの球”によるもの。ですので、マリヴェル公爵家に潜入して頂く方々は、此方をお持ちくだされば、この球の力でお守りする事が出来るのです。如何でしょう。心配なさっておられました案件は払拭出来ましたでしょうか?ルービック様・マイクハミル様。」
とお二人に問えば、
「有事の時は其方の守り球がその者をお守り下さるのは分かった。だが……、潜入させた者が、どのような手段でジェフェリー殿と連絡をするのかな?」
「そうだな。私もそれも心配していたんだ。マリヴェル公爵家で見聞した事を外部に洩らしている事が分かった時は、間違いなくその者の生命が危険に晒されるだろう。であるならば、マリヴェル公爵側に見つからない様な通信手段が必要だと思うんだよね。」
と、マイクハミル様とルービック様はまだ不安事項を払拭出来ずにいらっしゃる様だ。
「ご心配には及びません。この風守りの球には、"通信”と"記録”の力を付与してございます。あぁそうだ!如何でしょう?ご自身で一度お試しになってみませんか?」
と言って、俺は風守りの球をルービック様とマイクハミル様に一つずつお渡しすると、俺自身が持っている受信機能付きの守り球を目の前に置いた。
そして、
「どうぞ、ご婚約者様同士に分かれられ、此方より少し離れた場所にご移動下さい。そして、球をお持ちの方は、それを握りながら、"守り球よ、これを記憶せよ”と仰った後、それぞれのご令嬢とご自由にお話下さい。それ等の内容はこの球が全て受け止めます。受け止めました内容を、後ほど此方に映し出して皆様にご覧に入れます。では、ご自由にお話下さい。」
と言うと、令息達は半信半疑乍も俺に言われたとおりの行動を取り、婚約者との会話を始めたんだ。
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追記(2021/10/7)
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更に追記(2022/3/9)
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