妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

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第8章 学園生活で見聞した事は(ジェフェリー目線)

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「ジェフ!この後市井で食事でもどうだ?」
「悪いな。先約があるんだ。」
「なんだよ。最近付き合い悪いぞ。」
「申し訳ない。父上からとある仕事を任されていてな(全くの嘘ではないよな。父上からの手紙にも、アンジェリータ様義姉上の手配書の真相を探れと書かれていたのだから)。そちらの処理に追われているんだ。」
「そうか。辺境伯様の仰せじゃ致し方ないよな。」
「そうなんだ。だから、かたが付いたらまた言うよ。誘ってくれてありがとうな、ベック、レッド。」
「「あぁ、じゃまた明日。」」
「あぁ、明日。」
と俺は、本日最後の講義(勿論、剣術だ)
を終え、更衣室で食事に誘ってくれたベック(ベイドリック伯爵令息)とレッド(レッドリアン子爵令息)に謝ると、急ぎ寮に戻った。

寮の部屋に戻ると、既に戻っていたラファイエットにより、湯浴みの支度が整っていた。
「おかえりなさいませ、ジェフェリー様。」
「あぁ。戻ったよ、ラファイエット。湯浴みの支度をありがとう。」
「いえ。それでは私は、学生食堂より昼食を貰って参ります。」
「あぁ、すまない。宜しく頼むよ。」
「御意」

そう言って部屋を出ていったラファイエットの部屋の施錠をする音を聞いた俺は、湯殿に入ると、自ら身体や頭髪を洗い、ゆっくりとその身を湯船に沈めた。


湯船の中で、本日のこれからの流れを確認する。
「よし!何もかも予定通りだ。」

湯殿から出て一旦部屋着に着替えると、ラファイエットが学生食堂から持ってきてくれた昼食を、俺の部屋で二人で食べた。

「食後のお茶をお入れ致しましょう。」
と言って席を立つ際、二人分の昼食を乗せたトレーを持ち上げ、それ等を運んで来たであろうワゴンの上に乗せたラファイエットは、今度は同じワゴンの上に乗せてあった茶器を俺の目の前に置いた。
そして、片手で高く持ち上げたティーポットから、もう片方の手で持つティーカップへと優雅に紅茶を注ぎ入れた。
たちまち辺りに立ち上る良い香りに鼻腔を擽られ、俺の口角が自然と上がった。

「さぁ、お召し上がりください。」
と目の前にコトリと置かれたカップを持ち上げると、改めてその素晴らしい香りを堪能し、一口だけ口に含み、既に領地で慣れ親しんでいたその味と香りを口内全体で味わった。
その後ゆっくりと嚥下し、
「やはり義姉上あねうえの領地の茶葉は本当に最高だ。この茶葉を我が領地で栽培出来れば良いのだが。」
と思わず口から漏れ出た一言に、
「ジェフェリー様のその願い、もしかすると叶うやもしれません。本日届きました執事長のマハンドール様からの便りの中に、アンジェリータ様よりご当主様に『領地内の何処かに優良な休耕地はございませんか?』とご質問があったそうにございます。それ故に、調査団が領地内を調査中である旨が書かれておりましたので。」
とラファイエットはそう言ったんだ。
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