妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

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第四章 新天地

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ブランチ(勿論今世には、未だこの言葉はありません。)を済ませ、マーサと二人、お茶を飲んでのんびりしていたら、玄関の扉をノックする音が聞こえてきたの。
私がそれを開けると、そこには二人のお子さんを連れたアニーさんが立っていたわ。

上のお子さんはアーサー君六歳、下のお子さんはシンディちゃん四歳。二人ともとても賢く、そして活発なお子さんなの。
「アーサー君シンディちゃん。いらっしゃい。」
「「こんにちは、ユーリちゃん。」」
二人は私に向かい、しっかりとご挨拶をして下さったわ。
うん、良い子だわね。

「アーサー君、シンディちゃん。あのね?私はママとお話があるの。だから、二人は庭にいるテッドと遊んでいてくれるかしら?」
「「テッド?」」
「そうよ。此方へいらっしゃい?」
子供達を庭に誘導すると、テッドがいる小屋へと向かったの。そして、
「テッド、おはよう。」
と言うと、テッドは嬉しそうに鼻を擦り付けてきたわ。
うん、可愛いわね。

「紹介するわ、テッド。アーサー君とシンディちゃんよ。」
「「わっ!テッドってお馬さんだったんだね?テッド~。一緒に遊ぼ。」」
「ヒヒィーン。」
あらあら、テッドも遊びたいようだわ。
「いいこと?二人に絶対守って貰いたいお約束があるの。」
と言えば、
「なぁに?ユーリちゃん」
とアーサー君が聞いてきたの。
だから私は腰を落として彼等と目線を合わせると、
「いいこと?二人とも、絶対テッドの後ろに回ってはダメよ?テッドはとても賢い馬だけど、後ろにまわられると怯えて後ろ脚で人を蹴飛ばすわ。馬の後ろ脚で蹴られるとね、大怪我をしてしまうの。だからどうしても、あのゆらゆら揺れるふさふさ尻尾を触りたくなったらこう言うのよ。「テッド。お座り!」て。」
すると、テッドは小屋の中で脚を折って座ってみせてくれたの。まぁ賢いわね。
「わ!座ったよ。」
「ね?賢いでしょう?座ったら、横から優しくなら尻尾を触っても大丈夫よ。それとね。ここにブラシがあるから、テッドの毛並みが艶々になる様に、庭の泉の水でテッドを洗って貰えると嬉しいわ。」
私はそう言いながら、テッドを小屋から出してあげたんだ。
それを見た子供達は、
「「はぁい!分かったよユーリちゃん。テッド、行こう!」」
そう言って走り出したの。
そんな子供達にそっと寄り添う様にテッドは歩き出し、子供達が待つ泉へと向かっていったわ。

泉の前にゆったりと座ったテッドの身体を、アーサー君とシンディちゃんがブラシを持って優しく洗ってブラッシングしてくれている。
テッドもとても気持ち良さそう。

「アーサー君!シンディちゃん!ブラッシングが終わったら、この餌箱の中の餌をテッドにあげてくれる?」
「「うん!ねぇ、ユーリちゃん?テッドに餌、手であげてもい~い?」」
「大丈夫よ~。テッドは貴方達の可愛い手を食べる事は無いから~。全部終わったら、パンケーキを焼いておくから家の中へいらっしゃいね~。」
「「はぁい。」」

子供達の元気なお返事が聞こえたので、私は家の中で待っていて下さったアニーさんの所へと戻ったの。そして手を洗ってから、
「お待たせしてしまって大変申し訳ありませんでしたわ。さぁ!早速昨日の話の続きを致しましょうか。その前に…、先ずは私のアトリエをお見せ致しますわね。」
そう言って私は、2階の真ん中の部屋へとアニーさんとマーサを案内したのね。

さぁ!上手に誤魔化す事は出来かしら?
頑張れ!私!!
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