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第四章 新天地
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さて、無事王都から出られた私達だったけども、本来であれば片道4日もかかるウィンザード領への道のりを、女二人旅はなにかと物騒だなと思った私は、テッド(馬の名前)と馬車にこっそりと妖精に力を貸してもらい、テッドの身体強化と幌馬車の重量軽減と強化を施したの。また、野盗等に襲われない様にと、存在感を薄くして貰ったんだ。
存在軽減をすると、たとえ私達がそこを通り過ぎたとしても、周りの人達からですと「ん?今、誰か通ったか?」になるのよ。
ね?便利でしょう?
「さぁ!目指すはウィンザー領の新居よ。ウィンディ達、宜しくお願いするわね~。」
『はぁい』
楽しそうに私達の周りを飛び回り、追い風を吹かせてくれる風の妖精達。
彼女たちの姿はマーサには見えていないのでしょうけれども、羽のように軽やかにスピードを上げて走るテッドにはとても驚いていたわ。
そして、途中で何度かテッドに川で水を飲ませたり草を食べさせたりする間、私達も作ったサンドイッチを食べたり、お茶を飲んで休息したりもしたの。
また夜は、テッドと幌馬車を馬繋場に預け、きちんと宿に泊まって、マーサと二人、その地自慢の美味しい大衆料理を食べたりと、新居迄の道のりはとても楽しい時間だったわ。
まぁ、王都を出て二日目の宿での夜は、卒業舞踏会での出来事や、まだ幼かった頃の事を夢に見たりとかもしたけれど、だからといってホームシックになったわけでも、感傷に浸ったわけでもなかった。
だけど、前世の実妹と元彼には感謝もしている。
だってあの前世でのあれこれがあったからこそ、今世では妹に恋人を取られ辛酸をなめる ┄ 同じ轍を踏む ┄ 事なく生きてこれたんだものね。
まぁ、また仕事に生きている的な感はあるんだけどさ……。
きっとそういう星の元に生まれてきた私の性なんだと思う。
だからこれからも、超前向きで生きていくしかない!
そう思って、宿泊先の宿を出たんだ。
そして、王都を出て2日と半日。
私達は漸くウィンザード領にあります新居へと到着したの。
庭にある小さな門扉を開け、幌馬車を入れると、馬車からテッドを離し、
「さぁ、テッド。ここが貴方の新しい住まいよ。それから…ほら見て!あそこに囲いがあるでしょう?あれは畑なの。貴方の好きな野菜も植えてあるけども、育つ前に食べてしまったら、貴方の食べる物が無くなってしまうわ。だから囲いの中に入らないで頂戴ね。あとは垣根で囲ってある範囲内なら自由に動いて良いわ。夜は、あそこに貴方用の家があるから、そこに入って寝て頂戴ね。」
と言ってテッドのお尻をペシッと叩くと、テッドはヒヒンと小さく嘶いた後嬉しそうに駆けていって、庭に作った泉で水を飲み、元々植わっていた大きな楠の根本に横になっていた。
テッドも長旅で疲れたんだよね。
「お疲れ様、テッド。ゆっくり休みなさい。」
と呟いていたら、マーサが私の隣りで
「お嬢様?ここが今夜のお宿にございますか?」
「違うわよ、マーサ。今日から私達は、ここで暮らすの。ここはウィンザード伯爵様の領地。そしてこの家は、私が購入致しました新しい『我が家』なんですの。」
「我が家……。ここが……。新居…にございますか?」
「そうよ。さぁマーサ。貴女に我が家を案内するわね。」
そう言って私は、一度庭から出て玄関の方へと回り込んだ。そして、マリヴェル公爵家の様な立派な扉ではないけれど、可愛らしく作られている玄関扉の鍵を開け、マーサの手を取り、二人仲良く中へと入っていったの。
存在軽減をすると、たとえ私達がそこを通り過ぎたとしても、周りの人達からですと「ん?今、誰か通ったか?」になるのよ。
ね?便利でしょう?
「さぁ!目指すはウィンザー領の新居よ。ウィンディ達、宜しくお願いするわね~。」
『はぁい』
楽しそうに私達の周りを飛び回り、追い風を吹かせてくれる風の妖精達。
彼女たちの姿はマーサには見えていないのでしょうけれども、羽のように軽やかにスピードを上げて走るテッドにはとても驚いていたわ。
そして、途中で何度かテッドに川で水を飲ませたり草を食べさせたりする間、私達も作ったサンドイッチを食べたり、お茶を飲んで休息したりもしたの。
また夜は、テッドと幌馬車を馬繋場に預け、きちんと宿に泊まって、マーサと二人、その地自慢の美味しい大衆料理を食べたりと、新居迄の道のりはとても楽しい時間だったわ。
まぁ、王都を出て二日目の宿での夜は、卒業舞踏会での出来事や、まだ幼かった頃の事を夢に見たりとかもしたけれど、だからといってホームシックになったわけでも、感傷に浸ったわけでもなかった。
だけど、前世の実妹と元彼には感謝もしている。
だってあの前世でのあれこれがあったからこそ、今世では妹に恋人を取られ辛酸をなめる ┄ 同じ轍を踏む ┄ 事なく生きてこれたんだものね。
まぁ、また仕事に生きている的な感はあるんだけどさ……。
きっとそういう星の元に生まれてきた私の性なんだと思う。
だからこれからも、超前向きで生きていくしかない!
そう思って、宿泊先の宿を出たんだ。
そして、王都を出て2日と半日。
私達は漸くウィンザード領にあります新居へと到着したの。
庭にある小さな門扉を開け、幌馬車を入れると、馬車からテッドを離し、
「さぁ、テッド。ここが貴方の新しい住まいよ。それから…ほら見て!あそこに囲いがあるでしょう?あれは畑なの。貴方の好きな野菜も植えてあるけども、育つ前に食べてしまったら、貴方の食べる物が無くなってしまうわ。だから囲いの中に入らないで頂戴ね。あとは垣根で囲ってある範囲内なら自由に動いて良いわ。夜は、あそこに貴方用の家があるから、そこに入って寝て頂戴ね。」
と言ってテッドのお尻をペシッと叩くと、テッドはヒヒンと小さく嘶いた後嬉しそうに駆けていって、庭に作った泉で水を飲み、元々植わっていた大きな楠の根本に横になっていた。
テッドも長旅で疲れたんだよね。
「お疲れ様、テッド。ゆっくり休みなさい。」
と呟いていたら、マーサが私の隣りで
「お嬢様?ここが今夜のお宿にございますか?」
「違うわよ、マーサ。今日から私達は、ここで暮らすの。ここはウィンザード伯爵様の領地。そしてこの家は、私が購入致しました新しい『我が家』なんですの。」
「我が家……。ここが……。新居…にございますか?」
「そうよ。さぁマーサ。貴女に我が家を案内するわね。」
そう言って私は、一度庭から出て玄関の方へと回り込んだ。そして、マリヴェル公爵家の様な立派な扉ではないけれど、可愛らしく作られている玄関扉の鍵を開け、マーサの手を取り、二人仲良く中へと入っていったの。
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