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第三章 旅立ち
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私やハワード殿下が会場入り致しました事により、舞踏会に参加する学園の卒業生とその関係者が一堂に会したようですわね。
そして、今年は関係者の中に両陛下もお越しになっておられるので、とても華やかな舞踏会になりそうですわ。
会場入り致しました私は、お父様の手を離れ、お友達のミーナとサリーナ、そして彼女達の婚約者様達と五人で、ダンスが始まるまでの時間、仲良く歓談しておりましたの。
するとそこへリーナを腕にぶら下げたハワード殿下がつかつかとお越しになり、両陛下がお座りの玉座へと向きながら大声でこう仰いましたの。
「父上!母上!お聞き下さい!!私、ハワードは、マリヴェル公爵が長女アンジェーヌ=マリヴェル嬢との婚約を一旦破棄し、次女であるリーナカレンデュナ=マリヴェル嬢と婚姻。その後愛妾として長女のアンジェーヌ嬢を娶りたいと思っております!!」
と
この発言には、会場中の者全てが、一体何が起こったのだ?という風に押し黙ってしまいましたわね。
え?
あらヤダ
殿下ったら私との婚約破棄だけではなく、私を愛妾になさる計画に変更なさいましたの?
でも殿下?
そう簡単に問屋は卸さないと存じますわよ?
まぁ、殿下のお言葉に皆様が驚かれるのは当然の事ですけども、当事者であるマリヴェル公爵家の両親……だけではなく、リーナさえも もっと驚いて…………あらヤダ。両陛下が固まってしまわれましたわ。
当の本人は……あらまぁ
ドヤ顔でいらっしゃいますわね。
そんな殿下に向かい
「ハワードよ!今何と?」
陛下はやっとその硬直を解き、仰いましたの。
きっと陛下は、殿下が放った最上級の冗談だと思われたのでしょうね?
ですが殿下は大真面目に答えられましたわ。
「ですから父上。私は、リーナを正妻としマリヴェル公爵家に婿入り致しますが、アンジェーヌを愛妾にするのです。リーナはまだ学生故、領地経営は難しいと思われます。ですので、今までずっと公爵の元で領地の勉強をしていたアンジーに引き続き経営を任せ、リーナが卒業したあかつきには、そ……「こッ!」え?こッ?どうなさいました、父上?」
「このッ!大戯けがぁ!!」
と、会場中に響き渡る低く大きな陛下の怒声に、ハワード殿下が驚き尻餅をついてしまわれましたわ。
当然彼にぶら下がっていたリーナも道ずれにですけども。
しかもリーナの顔は、先程の殿下のお言葉の際になった"鳩が豆鉄砲食らった様な表情”のままでしたけれどもね。
流石の殿下も、陛下のお怒りにお気づきになられたようで、尻餅をつかれたまま震える声でこうお聞きになられましたの。
「え?父上?今何と仰った「戯けと申したのだ!この愚息が!!」ぐ、愚息?!」
「そうだ!お前は公爵家に入婿として入る身なのだ。その時点で、王族では無くなり王国の貴族となるのだぞ。愛妾や側室を持てるのは、この国では王族のみ!貴族には禁じられておろうが!」
と仰いましたのよ。
そんなお怒りモードの陛下とは対照的に、王妃殿下は手巾を目元に当てられ俯いておられましたの。
あらまぁ殿下ったら
実の母親が泣いてるんだけど?
何とも思わないわけ?
と思っておりましたら、漸く立ち上がられました殿下は尚も陛下に食い下がっていかれましたの。
なかなかのガッツでいらっしゃいますわね。
では、少しの間、高みの見物と参りましょうか。
私の出番はもう少し先の様でございますし。
皆様も暫し陛下と殿下の会話をお楽しみ下さいませね。
「で……ですが父上。リーナはまだ学生でして…「それがどうした?学生故に、公爵家の領地経営は難しいと申すか?ならばその理由を述べてみよ。其方のアンジェーヌ嬢は学園に入る前から学んでおろう?そうであったな?マリヴェル公爵よ。」」
「は、はい。左様にございます、陛下。」
「クッ!」
陛下から責め立てられ反論が出来なくなられた殿下は「お前からも進言しろ!」と私を睨みながら口パクでそう仰います。が、私は扇で口元を隠したまま視線を逸らして差し上げました。
誰が貴方を庇い立て等するものですか!ですわ。
するとリーナがおずおずと立ち上がり、
「お姉様!お願いでございます。どうかハワード様とリーナを庇って下さいませ!ハワード様はお姉様の婚約者では無いですか!」
と私に向かって言い放ったんですの。
これには流石の両親も、そして会場中全ての人々が、驚きのあまり目を見開き、あんぐりと口を開けてしまわれましたわ。
所謂"ドン引き”という状態ですわね。
まさかの実妹からの助け舟要請が参りましたが、
「何故私が貴女方を庇い立てしなければならないのです?」
私の冷めた声が会場中に響き渡りましたの。
これにサリーナとリーナは大いに頷き、「この際徹底的にやってしまいしょう、アンジー。頑張って下さいませ。」と視線で応援して下さいましたの。
さぁ!殿下、リーナ。
お覚悟なさいませ!!
不細工地味令嬢の反撃開始!!ですわよ。
そして、今年は関係者の中に両陛下もお越しになっておられるので、とても華やかな舞踏会になりそうですわ。
会場入り致しました私は、お父様の手を離れ、お友達のミーナとサリーナ、そして彼女達の婚約者様達と五人で、ダンスが始まるまでの時間、仲良く歓談しておりましたの。
するとそこへリーナを腕にぶら下げたハワード殿下がつかつかとお越しになり、両陛下がお座りの玉座へと向きながら大声でこう仰いましたの。
「父上!母上!お聞き下さい!!私、ハワードは、マリヴェル公爵が長女アンジェーヌ=マリヴェル嬢との婚約を一旦破棄し、次女であるリーナカレンデュナ=マリヴェル嬢と婚姻。その後愛妾として長女のアンジェーヌ嬢を娶りたいと思っております!!」
と
この発言には、会場中の者全てが、一体何が起こったのだ?という風に押し黙ってしまいましたわね。
え?
あらヤダ
殿下ったら私との婚約破棄だけではなく、私を愛妾になさる計画に変更なさいましたの?
でも殿下?
そう簡単に問屋は卸さないと存じますわよ?
まぁ、殿下のお言葉に皆様が驚かれるのは当然の事ですけども、当事者であるマリヴェル公爵家の両親……だけではなく、リーナさえも もっと驚いて…………あらヤダ。両陛下が固まってしまわれましたわ。
当の本人は……あらまぁ
ドヤ顔でいらっしゃいますわね。
そんな殿下に向かい
「ハワードよ!今何と?」
陛下はやっとその硬直を解き、仰いましたの。
きっと陛下は、殿下が放った最上級の冗談だと思われたのでしょうね?
ですが殿下は大真面目に答えられましたわ。
「ですから父上。私は、リーナを正妻としマリヴェル公爵家に婿入り致しますが、アンジェーヌを愛妾にするのです。リーナはまだ学生故、領地経営は難しいと思われます。ですので、今までずっと公爵の元で領地の勉強をしていたアンジーに引き続き経営を任せ、リーナが卒業したあかつきには、そ……「こッ!」え?こッ?どうなさいました、父上?」
「このッ!大戯けがぁ!!」
と、会場中に響き渡る低く大きな陛下の怒声に、ハワード殿下が驚き尻餅をついてしまわれましたわ。
当然彼にぶら下がっていたリーナも道ずれにですけども。
しかもリーナの顔は、先程の殿下のお言葉の際になった"鳩が豆鉄砲食らった様な表情”のままでしたけれどもね。
流石の殿下も、陛下のお怒りにお気づきになられたようで、尻餅をつかれたまま震える声でこうお聞きになられましたの。
「え?父上?今何と仰った「戯けと申したのだ!この愚息が!!」ぐ、愚息?!」
「そうだ!お前は公爵家に入婿として入る身なのだ。その時点で、王族では無くなり王国の貴族となるのだぞ。愛妾や側室を持てるのは、この国では王族のみ!貴族には禁じられておろうが!」
と仰いましたのよ。
そんなお怒りモードの陛下とは対照的に、王妃殿下は手巾を目元に当てられ俯いておられましたの。
あらまぁ殿下ったら
実の母親が泣いてるんだけど?
何とも思わないわけ?
と思っておりましたら、漸く立ち上がられました殿下は尚も陛下に食い下がっていかれましたの。
なかなかのガッツでいらっしゃいますわね。
では、少しの間、高みの見物と参りましょうか。
私の出番はもう少し先の様でございますし。
皆様も暫し陛下と殿下の会話をお楽しみ下さいませね。
「で……ですが父上。リーナはまだ学生でして…「それがどうした?学生故に、公爵家の領地経営は難しいと申すか?ならばその理由を述べてみよ。其方のアンジェーヌ嬢は学園に入る前から学んでおろう?そうであったな?マリヴェル公爵よ。」」
「は、はい。左様にございます、陛下。」
「クッ!」
陛下から責め立てられ反論が出来なくなられた殿下は「お前からも進言しろ!」と私を睨みながら口パクでそう仰います。が、私は扇で口元を隠したまま視線を逸らして差し上げました。
誰が貴方を庇い立て等するものですか!ですわ。
するとリーナがおずおずと立ち上がり、
「お姉様!お願いでございます。どうかハワード様とリーナを庇って下さいませ!ハワード様はお姉様の婚約者では無いですか!」
と私に向かって言い放ったんですの。
これには流石の両親も、そして会場中全ての人々が、驚きのあまり目を見開き、あんぐりと口を開けてしまわれましたわ。
所謂"ドン引き”という状態ですわね。
まさかの実妹からの助け舟要請が参りましたが、
「何故私が貴女方を庇い立てしなければならないのです?」
私の冷めた声が会場中に響き渡りましたの。
これにサリーナとリーナは大いに頷き、「この際徹底的にやってしまいしょう、アンジー。頑張って下さいませ。」と視線で応援して下さいましたの。
さぁ!殿下、リーナ。
お覚悟なさいませ!!
不細工地味令嬢の反撃開始!!ですわよ。
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