妹よりブスな姉の幸せ

第三章 旅立ち

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リーナに狡いと言われてしまったあの日以降も、ことある毎に私の目の前に現れるジェフェリー様。
彼がいつも言葉にされるのは、何故か兄君のアイザックス様の事なんですの。

この学園は、1年生の内は一般教養を学習し、2年と3年は専門課程の学習になるのですけれども、貴族の子供で嫡子は貴族科へ、貴族の次男三男または平民でも家業を継がない者の中で、主に男性は騎士科や文官科、女性は医療科や商科等の専門課程へと進む方が多いですわね。
まぁ、貴族令嬢は、嫡子以外のほぼ全員が淑女科へ進みますわ。
え？何故か？ですって？
彼女達が淑女科へ進みます理由は偏ひとえに"良縁を掴む為”に決まっているではありませんか。
淑女科では良き妻良き母になる為に、マナーやダンス、刺繍やレース編み等、様々な淑女の嗜みの学習がございますの。ですから、皆様こぞって淑女科へ進みますわね。

因み私は、今のところ・・・・・嫡子でございますので、貴族科に在籍しておりますわ。
ついでに申しますと、ハワード殿下も婿養子に入られる為、嫡子扱いで貴族科ですわね。

そういえばでございますが
確か、一昨年ご卒業なさったアイザックス様は、嫡子ではございましたが、騎士科をご卒業なさったはずですわ。
しかも大変優秀な成績でいらしたと記憶しております。
まぁ、辺境を護る御身でいらっしゃいますもの。当然の進路かと存じますわよね。

話は戻りますが…
何故そのアイザックス様のお話をジェフェリー様が毎回なさるのでしょう？
しかもお話の内容から察しますところ、前述も致しましたが、私が此処学園を卒業後にウィンザード領其方へ移住する事をご存知でいらっしゃるかのようなご発言なんですの。
私と致しましては、移住はあくまでも『ハワード殿下から婚約破棄されてしまった時』が前提なんですのよ。
とは申しましても、確かに何度かウィンザードへは伺っておりますわ。だって領地そこには自宅ﾏｲﾎｰﾑがございますものね。
でも、私が購入致しました家がございます場所は、領主のウィンザード伯爵がお住いの場所より随分離れた地域ですのよ。
しかもそこは居住区ではなく、農耕地区なんですの。
卒業後、私は殿下にめでたく婚約破棄され（現時点では予定・・でございますが、ほぼ確定・・ですわね。）た後は、伯爵領の農耕地区にございます孤児院で働く予定でございますので、近くに住むのは当然でございましょ？
通勤距離は短い方が何かと楽ですものね。

ですので、私は領地へお邪魔させて頂いている事を、またその領地に私の自宅がございます事を、領主様の嫡子でいらっしゃるアイザックス様やご次男のジェフェリー様がご存知であるわけが無いのですわ。

ともあれ、ジェフェリー様をあまり無下にするわけには参りません。
The淑女スマイルで乗り切るのみ！でございます。
まぁ、私お手製のお弁当を毎回食べられてしまうのは腹が立ってしまうのですけども……。これもあと少しの辛抱ですので、我慢あるのみですわね。

我慢……
本当に我慢ですわ。
自由になるその日はもう少し。

そうですわ！
卒業式の日程は決まっているのですから、前世を思い出しましたあの日から始めました日記帳に、カウントダウンの日付けを書いていく事に致しましょう。

我慢の日数が見える化されていた方がモチベーションも上がるってものですものね。