妹よりブスな姉の幸せ

Saeko

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第二章 夢と現実

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自室に戻りました私は、再び先程のノートを机に広げましたの。
そして、忘れない内に、殿下の裏切り行為とも取れる愚行を記入しようと、リーナの言葉を思い出しておりましたわ。

「それにしてもよ。リーナのあの言葉よね。まさか私が朝食として出して貰ったメニューにまで『お姉様、狡い!』が出るとは思わなかったわ。本当にデビュタントを済ませたのかしら?疑問に思っちゃうよね。」

先程マーサに頼んでシェフに作ってもらった『特別メニュー病人食』は、温野菜のフレンチドレッシング和えとじゃがいものポタージュスープにパン。それに果実水。
だってこの世界にはお粥がないんだもの。
私、本当はパン党じゃなくてご飯党なの。でもお米が無くてお粥が出来ないから、仕方なくポタージュスープにちぎったパンを浸して、『浸パン』にして食べたのね。
本来、パンを食べる時は、パンを一口大に契って食べるがマナーだって事は承知してたけど、前世の記憶が蘇った私としては、"病人食=消化に良い物”なので、お粥の代わりが浸パンになったというわけ。

浸パンを美味しそうに(懐かしそうに)食べている私を見たリーナが、
「私もお姉様と同じにしたいですわ、お父様。」
と懇願するも、
「リーナは病人ではないだろう。アンジェーヌは特別に許したが、本来あの食べ方はマナー違反なんだよ。それに、リーナは先日デビュタントを済ませのだから、もう大人の仲間入りをしたんだ。いつまでも幼い子供の様に我儘を言ってはいけないんだよ。それに来年の春からは、リーナもアンジェーヌと同じ学園に入るのだから、もっと淑女教育に励んで貰わないとね。」
と、一応お父様から ┄ 大人の仲間入りをしたのだからしっかりするように ┄ と忠告れ、あからさまにしょげるリーナの様子を思い出して、「だから、子供か!」とツッコミを入れちゃったわよ。
だってそう思いません?

前世での十五歳って、中学三年生だよ?
確かに十五歳と言えば前世では子供と言われる年齢だけども、あれしきの事で狡いとは言わない年齢だよね。

あざと可愛い狙いだとしても、「あれはないわ~」と私は思わず、独り言ちてしまったくらいよ。

「さて。気を取り直して、始めましょうか。」
病み上がり(っていうのが正解か分からないけども)という事もあり、お医者様が来られる迄の間、私は先程のノートへの追記と、これからの事についての思考時間とする事に致しましたの。


【見舞い客】
両親・妹;お礼述べる←済
ミーナとサリーナ;取り敢えず手紙/学園復帰後贈り物を添え口頭でお礼
殿下;︷  来なかったがリーナへはプレゼント
        私の所へは

【もし断罪・婚約破棄となった場合】

………………

「う~ん……。これは難しいわね。今世の私には、前世みたいに手に職がある訳でもないし、公爵家長女で嫡子ともなると簡単に 『ほな さいなら』は出来ないか。そもそも私は1ミクロンも悪くないのに、相手が王族だってだけで"私が悪者になる。”的な?婚約破棄され傷物になった公爵令嬢は断罪され、国外追放される……。鉄板過ぎて草生えるわ。これは断固拒否しないとだよね。若しくは、婚約破棄された公爵令嬢は断罪され、親から辺境の修道院行きにされる。うん。これだったら甘んじて受理出来るかな。でも、私に非は一切無い状態にも拘わらず、される・・・のは嫌だよね。だったら自主的に修道院へ入るにしちゃおうか。両親が止めても、両陛下から引き留められたとしても、自ら姿を消す・・・・・・。うんうん。それが美学だよね。」

そう考えました私は、

【もし断罪・婚約破棄となった場合】
辺境の修道院へ自ら赴く
修道院でスローライフを楽しむ
その地に素敵な殿方がおられたら、結婚も考えてみるのも可

と記載してノートを閉じましたの。

「さぁ忙しくなりましてよ?アンジー。神様は私の結婚運をゼロにし、生まれ変わった今世でさえ、とことんまで私を不幸にしたいご様子なので、幸せに暮らして行く為の準備を今日から、いえ、今この瞬間から致しましょう。見てらっしゃいな!これくらいの事でHPを削られる様なやわな私ではございませんわ。
一発逆転満塁特大ホームランを打って、神様へざまぁしてみせましょう!……くらいの気構えで参りましょうね。」

ノートを閉じながら自分自身にそう言う事で、自身を鼓舞致しましたの。
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