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第一章 苦しい思い出
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凌平から一方的に別れを告げられ(捨てられ)た翌日から、私はずっと部屋に引きこもっていた。
いつもは家族で過ごすはずの年末年始だったが、部屋から出られなかったんだ。
それは三学期が始まっても続いた。
失恋で職場を休むだなんて社会人として恥ずかしい事だ。
だが、出勤しようとしても、身体が拒否をするかのように吐き気や激しい頭痛に見舞われる。
私の根性無し!
しっかりしろ、悠香里!貴女には可愛い生徒達がいるでしょう!
と自身を叱咤激励するも、
何度か凌平からメールや電話が来たが、全て無視をした。
両親も部屋から出てこない私を心配して声をかけてはくれたが、部屋から出たら私から凌平を奪った茉莉奈がいると思うと、出る事が出来なかった。
それでも一週間後、なんとか気力を振り絞り、私は学校へ行った。
校長先生も教頭先生もとても心配して下さったし、職員室でも先輩先生や後輩先生達にも心配されてしまい、申し訳なく思った。
凌平が何度か私に近づこうと、話しかけようとしてきたのは分かっていたが、彼に関わりたく無かったから、さも忙しそうにして完全に避け続けた。
だが、学校では凌平が、家に帰れば茉莉奈がいる事が、私の神経をとことんまで疲弊させる。
私は、毎日コンビニやスーパーでお弁当や惣菜を買って部屋で食べたり、ファストフードやファミレスで食事をとる等して、茉莉奈がいる実家のダイニングには入らなかった。
そんな食生活が半年続いた。
高カロリーの外食が続いたが、元々食べても太らない体質の私だった為、体重が増加する事は無かった。が、ストレスから肌が荒れ、髪もパサついてきてしまった。
そんなある日
日増しにやつれていく私を見るのが忍びないと、いつも仲良くして下さっている先輩先生の凛子先生が食事に誘ってくれた。
「さぁ、今夜はじゃんじゃん飲んで食べちゃおう!」
と明るく言ってくれた凛子先生に、久しぶりに飲んだアルコールの力を借りて、辛い出来事と苦しい胸の内を全て話した。
「そっかぁ~。辛かったね悠香里ちゃん。」
そう言って凛子先生は私を慰めてくれた。
嬉しかった。
有難かった。
号泣してしまった。
その日、私は凛子先生のアパートに泊めてもらった。
生まれて初めて朝帰りをしたが、両親は茉莉奈の時とは違い、私が居なかった事にさえ気付いていなかったようだ。
まぁ私も、実家にいる時は、部屋に閉じこもる生活をしていて家族を完全に避けていたし、私の扱いに困っていた両親は、腫れ物に触るかのように私に接してきていたから、私が居ても居なくても気にしないようにしていたのかもしれない。
いや違うな。
茉莉奈は可愛いから、変な虫に捕まらないか心配だったが、私は不細工だからそんな事を心配する必要が無かっただけだ。
そういえば、よく言われたな。
「お前は茉莉奈と違ってしっかりしているから安心だ。」
と。
可愛い茉莉奈は、可愛いというだけで無条件に愛されていたのに、不細工な私は、しっかりしなければ、頑張らなければ、両親は私を認めてくれなかった、褒めてくれなかった。
「しっかりしなければ認めてもくれなかったじゃない。でも……それと反対の事をしても、気にかけても貰えないとか……。所詮私なんて、彼等にとってそんな存在なんだわ。ならこんな家、こんな家族なんて要らないわね。」
いつもは家族で過ごすはずの年末年始だったが、部屋から出られなかったんだ。
それは三学期が始まっても続いた。
失恋で職場を休むだなんて社会人として恥ずかしい事だ。
だが、出勤しようとしても、身体が拒否をするかのように吐き気や激しい頭痛に見舞われる。
私の根性無し!
しっかりしろ、悠香里!貴女には可愛い生徒達がいるでしょう!
と自身を叱咤激励するも、
何度か凌平からメールや電話が来たが、全て無視をした。
両親も部屋から出てこない私を心配して声をかけてはくれたが、部屋から出たら私から凌平を奪った茉莉奈がいると思うと、出る事が出来なかった。
それでも一週間後、なんとか気力を振り絞り、私は学校へ行った。
校長先生も教頭先生もとても心配して下さったし、職員室でも先輩先生や後輩先生達にも心配されてしまい、申し訳なく思った。
凌平が何度か私に近づこうと、話しかけようとしてきたのは分かっていたが、彼に関わりたく無かったから、さも忙しそうにして完全に避け続けた。
だが、学校では凌平が、家に帰れば茉莉奈がいる事が、私の神経をとことんまで疲弊させる。
私は、毎日コンビニやスーパーでお弁当や惣菜を買って部屋で食べたり、ファストフードやファミレスで食事をとる等して、茉莉奈がいる実家のダイニングには入らなかった。
そんな食生活が半年続いた。
高カロリーの外食が続いたが、元々食べても太らない体質の私だった為、体重が増加する事は無かった。が、ストレスから肌が荒れ、髪もパサついてきてしまった。
そんなある日
日増しにやつれていく私を見るのが忍びないと、いつも仲良くして下さっている先輩先生の凛子先生が食事に誘ってくれた。
「さぁ、今夜はじゃんじゃん飲んで食べちゃおう!」
と明るく言ってくれた凛子先生に、久しぶりに飲んだアルコールの力を借りて、辛い出来事と苦しい胸の内を全て話した。
「そっかぁ~。辛かったね悠香里ちゃん。」
そう言って凛子先生は私を慰めてくれた。
嬉しかった。
有難かった。
号泣してしまった。
その日、私は凛子先生のアパートに泊めてもらった。
生まれて初めて朝帰りをしたが、両親は茉莉奈の時とは違い、私が居なかった事にさえ気付いていなかったようだ。
まぁ私も、実家にいる時は、部屋に閉じこもる生活をしていて家族を完全に避けていたし、私の扱いに困っていた両親は、腫れ物に触るかのように私に接してきていたから、私が居ても居なくても気にしないようにしていたのかもしれない。
いや違うな。
茉莉奈は可愛いから、変な虫に捕まらないか心配だったが、私は不細工だからそんな事を心配する必要が無かっただけだ。
そういえば、よく言われたな。
「お前は茉莉奈と違ってしっかりしているから安心だ。」
と。
可愛い茉莉奈は、可愛いというだけで無条件に愛されていたのに、不細工な私は、しっかりしなければ、頑張らなければ、両親は私を認めてくれなかった、褒めてくれなかった。
「しっかりしなければ認めてもくれなかったじゃない。でも……それと反対の事をしても、気にかけても貰えないとか……。所詮私なんて、彼等にとってそんな存在なんだわ。ならこんな家、こんな家族なんて要らないわね。」
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