取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール

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「──。」
 
「──、ここまでくるのに随分かかったな」
 
 ドアを隔てているため、くぐもっていたが、それが兄とクラウスのものだということはすぐにわかった。
 
 クラウスが兄のもとへ遊びにきていると聞いたアリシアは、兄の書斎の前に来ていた。翌日行われるある侯爵家の夜会に、クラウスが参加するか聞きたかったのだ。
 デビューから2年間、取り巻きの一人としてクラウスの傍にいたアリシアだけれど、兄とクラウスが親しい関係である、ということだけで他の令嬢よりも一歩リードしていると思っていた。
 
 クラウスは誰にでも優しく、女性とデートをすることもあるらしいが、1人の女性と何度も外で会ったりはしないらしい。大抵が1度や2度遊ぶ程度という話だ。─その1度や2度で、ベッドを共にしたと吹聴する女性もいなくはないが、アリシアは気にしないことにしていた。
 かく言うアリシアもデビューしてすぐの頃に1度だけ、買い物に連れていってもらったことがある。2年前の1回だけの思い出だけど、アリシアの心の中には色褪せることなく残っていたし、その時に買ってもらった髪飾りは大切に保管している。
 
 常に女性が周りにいるクラウスでも、夜会以外で何度も会った女性は他にいない。
 兄の元へ遊びにきたときに挨拶をして少し会話を交わすことができるのはアリシアだけに与えられた特権なのだと優越感に浸っていた。
 
 だから今日も、このドアを開ければ、アリシアに気付いた兄が少し呆れて、クラウスは優しい笑顔で、迎えてくれると思っていたのだ。
 
「アリシアとの婚約を受け入れていれば、もう少しスムーズだったんじゃないか?」
 
「──両親のことがあるから、どうしても政略的な結婚には抵抗を感じる」
 
 クラウスの声が聞こえた瞬間、兄の部屋のドアにノックをしようと握っていた手が固まった。兄の言葉、クラウスの言葉を頭の中で反芻する。
 
──わたくしとの縁談の話があったの? そして、クラウス様はそれを断ったの……?
 
 年頃の男女で、どちらかが思いを寄せているのであればそういった話の一つや二つ、出ていてもおかしくはない。アリシアがクラウスに熱を上げているのは公爵家内でも周知の事実。婚約の打診があったことなんて普通に考えればわかりそうなことだった。ただ、アリシア自身あまり結婚に対する具体的なイメージがなかったためか、兄とクラウスの会話は衝撃だった。
 
──クラウス様はいつか、誰かと……自分で選んだ誰かと結婚をするのね。
 そしてわたくしも、いつか……クラウス様以外の男性と結婚をしないといけないのだわ……。
 
 貴族としては当たり前のこと。まして公爵家に生まれた以上、いずれは婚姻によってどこかとの縁をつなぐ必要がある。それでもアリシアは、初恋に浮かれるあまり現実を見ずに過ごしてきた。
 例えその他大勢のうちの一人だったとしても、クラウスの傍にいられるだけで夢見心地だった。
 
「──、─。
 没落寸前だった伯爵家を自分の力だけでここまで立て直すとは感服したよ。 執念の力か?」
 
「まだ足りない。
 あとは隣国との貿易で──」
 
 所々くぐもっているが、アリシアが茫然としている間も中の会話は進んでいく。3年前……クラウスが異例の若さで爵位を継いでから、没落しかけていた伯爵家を立て直したのは知っていた。社交界でも有名な話だ。
 だからこそ、最近はクラウスの評判は上がり、令嬢たちからの人気もとどまることを知らないほどだった。
 
 貿易、という言葉でアリシアは一人の侯爵令嬢を思い浮かべた。いつもクラウスの傍にいる、アリシアと同じく彼に思いを寄せる令嬢の一人だ。彼女の実家である侯爵家は、領地に港を持ち貿易にも強かった。
 ほかにも。一人一人、いつも共にいる令嬢の顔を思い浮かべる。クラウスの傍にいるのは、事業が成功している家や、幅広い人脈を持つ家の令嬢ばかりではないか。
 そして、アリシア。王の覚えめでたい、国内でもっとも力のあるクリスフォード公爵家の娘だ。
 
──クラウス様がわたくしに、わたくしたちに優しくしてくださったのは理由があったからなのね。
 
 勿論、クラウスを恨む気持ちなんてない。ひどい騙された方をしたのであれば、なんだかんだで妹に甘い兄が黙ってはいないだろう。クラウスはただ、利用価値のある家の娘を無下に扱えなかっただけだ。
 それに、アリシアは幼いころから兄と親しかったクラウスが苦労をしていた事も知っている。ある年齢になるころからアリシアとクラウスの距離は“未婚男女の適切な距離”にまで開いてしまったけれど、小さいころはたくさん話をしたのだ。
 彼が利益のためだけに他人を利用するような人でないことはアリシア自身が持つ優しい彼との思い出が証明している。
 
──わたくし、クラウス様を困らせていたのかしら……?
 
 夢ばかり見ていたアリシアにとって、兄たちの会話は衝撃だった。とりとめもなく考えて、ふらふらとしたまま……結局兄の部屋のドアを叩くことなどできずに、自分の部屋に戻った。
 
 ぼんやりと過ごしたまま、翌日の夜会を迎えたアリシアは、クラウスと可憐な令嬢の掛け合いを見て……自分の立ち位置─取り巻きの一人に過ぎないこと─を再度思い知ることになる。
 
 
 
*****
 
 
 
「わたくし、今までどれだけ社交をさぼっていたのか思い知らされたわ」
 
 品の良い調度品。カーテンなどの備品も乙女の部屋らしい可憐な花柄でまとめられている室内。
 一部の主と親しい人にだけ入ることが許された、王宮の奥の一室。この国の第一王女の私室にある猫足のソファに座りながら、アリシアは項垂れた。降嫁した王妹を母に持つアリシアと、王家の第一子である第一王女は従姉妹にあたる。
 デビュー2年目にして、初めてまともに社交に勤しんだ昨日の夜会。あそこまで多くの人間と言葉を交わしたのは、それこそ王宮のデビューのときだけだった。その時は、父公爵に促されるまま父旧知の貴族と挨拶を交わすだけだったので、疲労でいうとデビューのとき以上だろう。
 
「ず~っとクラウス様以外目に入っていなかった公爵令嬢が社交を始めただなんて、周りの方はさぞ驚いたでしょうね。
 ああ、私もこの目で見たかったわ。気軽に夜会に参加できないこの身分が恨めしい……!」
 
 握りこぶしをつくって悔しがる少女を半眼になって睨めつける。
 
「ローズ、面白がってるわね……?」
 
 ローズと呼ばれた少女。この国の第一王女である、ローズマリーは悪びれる様子もなく悪戯っぽく舌を出した。
 
「私としては、公爵令嬢ともあろうものが一伯爵の取り巻きをしていた時点で相当面白いと思っていたわ。
 その他大勢に甘んじなくても、貴女の身分とパトリックとクラウス様の友人関係を駆使すれば、晩餐に呼ぶなりデートの約束をとりつけるなり出来たでしょうに」
 
 ふふふと含み笑いをしながら王女が紡ぐ言葉にアリシアは頬を膨らませる。理由をつけて距離を縮めることを今まで考えたことがなかったわけではないが、なんとなくズルい気がしてできなかったのだ。
 そんな内心を言ったところで、恋愛にズルいも何もあるわけないじゃない!と笑われるのは目に見えているので言わないけれど。
 
「それで、結婚相手に良さそうな候補は見つかったの?
 ……見つかってないでしょうね、ふふふ」
 
 王女の笑いは収まらないようだ。紅茶を飲もうとカップを持ち上げた手が震えている。
 確かに昨日の夜会での収穫はなかった。兄パトリックの友人たちと挨拶を交わして、ダンスを踊ったがそれだけだった。皆、普段は別行動でフロアにいない兄妹に面白がって近づいてくるだけだった。王女の言っていることはまごうことなき事実だったのだが、肯定するのも面白くなくて思わず口を尖らせた。
 
「何でわかったのって顔をしているわね。
 ……考えなくてもわかるわよ。ねぇ、カーラ?」
 
「はい。少なくとも、パトリック様のご友人をご結婚相手の候補にするのは無謀かと」
 
 カーラと呼びかけられた侍女は姿勢を正したまましれっと告げた。歳の頃はアリシアよりも2つ上、榛色の髪の毛とエメラルドのような瞳。顔立ちはそんなに似ていないが、クラウスと全く同じ色彩を持つ、彼の異母妹である。
 
「……カーラ、今日はやけに静かなんだけど何かあったの?」
 
「お茶菓子のつまみ食いが侍女長にバレて、次に粗相をしたら3か月減給って言われてるのよ。
 だから今はこの子の中で淑やかに過ごす期間みたい」
 
 なるほど彼女ならやりそうだと納得した。元々伯爵家の庶子である彼女は、幼いころに市井で過ごしたためか貴族令嬢らしからぬ行動をとることが多々ある。行突貫の淑女教育を施したものの、貴族令嬢として社交に当たるのは少々心もとなかったために伯爵家と懇意にしていた公爵─つまりはアリシアの父─の口添えで、デビューだけ済ませるとすぐに礼儀作法を徹底的に学ばせるために王宮にあげられた。そんな彼女は、本来王族の専属侍女になる身分でも実力でもないのだが、面白そうなものが大好きな第一王女が自分付きにした経緯がある。
 
「カーラがしおらしいと調子が狂うわ」
 
「そうね。今は私たちしかいないもの。
 私が許します。カーラ、一緒にお茶にしましょう。
 アリシアが持ってきたタルト、先月隣国から出店を始めた人気のパティスリーのものなんですって」
 
「いいんですか? やった!」
 
 先ほどまでの侍女らしさを脱ぎ捨てて、いそいそと自分の分の紅茶を入れている。
 辛うじて敬語ではあるものの、王女や公爵令嬢に気安く軽口をたたく姿を、お堅い侍女長が目撃してしまったら卒倒するだろう。
 王宮に上がって数年で、一応は使用人らしく繕うことを覚え、公務に付く間くらいは問題なく仮面をかぶり続けられるそうなので、王女自身も容認している。使用人の鑑みたいな侍女ばかり傍に置いていたらつまらないから、というのが本音だけれど。
 
「というか、焦って婚活しなくてもアリシア様なら縁談くらい来てるんじゃないですか?」
 
 もぐもぐとタルトを頬張りながらカーラが問いかける。淑女としては勿論減点であるが、アリシアもローズマリーもいちいちそんなことを気にしていない。カーラの破天荒さには既に慣れっこになっていた。
 
「いいえ、聞いたことがないわ。
 わたくしも17歳になるのだし、政略結婚をするのであれば既に婚約者がいてもおかしくないもの」
 
 この国の女性の結婚適齢期は、20~23歳頃。基本的に政略結婚だった時代から変わり、今では貴族も半数程度は恋愛結婚をしている。政略結婚が主流の頃よりは適齢期も遅くなったとはいえ、10代の頃に婚約をして20を超えるかどうかで結婚をするパターンが一番多くなってきた。
 更に言えば、政略的な意味合いを持つ結婚であればデビュー付近……15歳前後で婚約を結ぶのが基本である。
 
「だから自分で相手を見つけようとしたわけね。
 でも、どちらにしてもパトリックの友人との縁組は難しいと思うわ」
 
「お兄さまにも同じことを言われたわ。
 まだお兄さまの周りには独身も多いと思うのだけれど……」
 
 昨日声をかけてきた兄の友人たちを思い浮かべる。ダンスや会話はしたものの、ダニエルを筆頭に明らかに脈のない印象の人ばかり。それぞれ、面白がる様子を見せても熱のこもった目で見てくる男性は一人もいなかった。
 
「例えば、ローズマリー様の大ファンの男性が婚活していたとして、アリシア様なら自分からアピールします?」
 
 カーラの質問にアリシアは思い浮かべる。性別に関わらず長子継承制のこの国の第一王女であるローズマリーの伴侶は将来王配になるため、吟味を重ねているところであるが、未だ公式には婚約者未定ということでその座を求める貴族男性は多い。
 権力を求める者もいるが、中にはローズマリーを純粋に慕い伴侶の座を射止めたがっている者もいる。つまりは、ローズマリーは身分抜きにしてもかなりモテるのだ。
 
 そんな人が彼女を諦めて婚活したとしたら。
 
「たとえ優良物件でも躊躇するわね……。
 たいして関わりのない令嬢に思慕していたならまだしも、友人に焦がれていた人ってなんとなく抵抗あるわ……」
 
「殿方も一緒よ。
 ……まあ、それだけじゃないでしょうけれど」
 
 ローズマリーはどこか含みのある感じで呟いた。どういうこと?と首をかしげると、カーラが代弁するように続ける。
 
「鉄壁ガードってことですよ。
 凄そうですもん、公爵家」
 
「そんなこともないと思うけれど……」
 
 実際は、父公爵のところでいくつかの縁談が突き返されていることをアリシアは知らない。もちろん、知らないのは彼女だけで、無駄に野生の勘が働くカーラや社交会に明るいローズマリーは勘づいている。
 
「そんなにすぐに婚約したいなら、うちのユージンなんてどう?
 王位はあげられないけど中々将来有望よ」
 
 ユージンとは、王家第二子にして長男の、第一王子である。金糸のような滑らかな髪と青い瞳、早くから身に着けていた王子としての振舞いは将来有望だ。確かに有望ではあるのだが
 
「……ユージン殿下は10歳じゃない」
 
 適齢期を気にする令嬢からしたら、如何せん若すぎる。
 
「ユージンが17になるころにはアリシアは24でしょう?
 適齢期のうちに結婚できると思うけれど。
 
 それに、なぜかユージンったら姉である私以上にアリシアになついているし……あんなに可愛がったのに弟甲斐ないわよね」
 
 ローズマリーは納得がいかない様子で頬を膨らませる。ただ、ユージンが姉よりもアリシアを慕う理由は、ひとえにローズマリーがちょっかいをかけすぎたからだ。
 まだまだおてんば王女だったころ、庭園にある池で捕まえた小さなカエルをユージンの背中に入れて泣かせたり、お気に入りの帽子を幼児の手の届かない木の上にひっかけたりして弟の反応を楽しんでいた。そういうことをするたびに、可哀想な第一王子は一緒にいたアリシアに泣きついてきたのだ。時代・身分に関わらず可愛いものほど苛めたい心理というのは、可愛がられる側にとっては非常に理不尽なものである。
 
「どちらにしても、今のままでは自力で結婚相手なんて見つからないわよ。
 私がひと肌脱いであげるわ!」
 
 従姉妹であり友人であるアリシアに対する善意、というよりは100%面白がる様子で王女が胸をたたいた。任せても本当に大丈夫か不安になるが、今のままでは多分前に進めないであろうことはアリシアにもわかっている。
 
 兄の友人たちからは結婚相手として見られていないことは勿論あるが、もしパトリックとクラウス共通の友人と結婚する可能性を考えると、結婚後も頻繁にクラウスと顔を合わせることになる。
 ただでさえ必死に蓋をしている初恋。傍にいるままでは断ち切れるものも断ち切れない。いつまでも他の男性を思いながら結婚だなんて器用なこと、アリシアにできる気がしなかった。
 
「来週、王宮で舞踏会をするでしょう?
 小規模なものだからエスコートは身内や婚約者でなくとも大丈夫なのよ。
 だから、私の騎士を1人貸してあげるわ」

 そう提案する王女の微笑みは、否を言わせない圧力があった。
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