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地下鉄での戦闘

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 ~◯◯◯駅~
「…着きましたね」
「はい。着きました」
「何か貼ってある…」

 地下鉄の入り口に着くと結界のような薄い膜のようなものが貼ってあった。

「これは…結界…ですね」

 すかさず結界などに詳しい橘が確認し結論する。

「結界が貼ってあると言うことはどうやら正解だったな」
「あぁ」

 俺と月城が最初から知っていていたかのように呟く。

「早速入ってみるか」
「ここに入ったらクエストもクリアってことだろう?」
「えぇ。そうね」
「てことぁ、このチームも今日で終わりか?」
「いいえ。次のクエストが何になるのかによってチームを解散すうかどうかが決まってきますね」

 などと黒瀬、花染、橘が言っているが冗談じゃない。このクエストが終わったら即刻…即刻解散していただく!

「…とりあえず行くか」
「行こう!お兄ちゃん!」
「…そうだな」

 ギュ

 樹はいつも通り俺の手を繋ぎ歩き始まる。

 コツコツ…

 階段を降りていく。すると俺たちの前に到着したと思われる人たちがたくさんいた。おそらくあのゲームを知っているものたちが大半だろうが運よくここにたどり着いたものもいるだろう。

 ピロン

【[チームを組み現地よりもっと安全な場所に避難してください]クリア達成 報酬:1000コイン】

「!あ、貴方は!」

 一人の男が月城をみて顔を明るくさせた。

「貴方はもしかして月城紅さんですか!!」
「…あぁ。そうだが」
「よかった!貴方が来てくれれば百人力です!あ、こちらへどうぞ!ここに避難してからずっと俺たちを助けてくれた今ではリーダーのような存在のあの人のところへご案内するのでぜひ会ってください!」

 あの男は俺たちに目もくれず、月城達だけを連れていくようだ。ま、いいんだがな。これで自然にチーム解散できるしな。

「待て」
「?どうしましたか?」
「あいつらも一緒に連れていく」
「!?」

 あいつは何言ってんだ?いや、絶対に行かないぞ?おいお前何がなんでも止めろ。

「あ、いや…あまり大勢では場所も狭いので…その…」

 よし。いいぞ。断れ。

「それなら俺とこいつだけで行く」

 と月城が俺を指しながら言った。いやいやおかしいだろう。どうみてもお前達にだけ来てほしいんだろう!見ろあの男の顔!困っているだろうが!

「あ~いや…俺も疲れてるし遠慮するよ…」
「ならお前が休憩したら会う」

 だからなぜそうなる!

「…いやどうみてもお前達にようがあるから話しかけてきたんだろう?それなら今すぐ行ったほうがいいんじゃないか?」
「いやここの情報も含め代表が一人聞いたほうがお前もいいと思うが?これからチームが解散するかしないかは置いといてだ」

 …回帰したやつが何言ってるんだ…だが、一理あるな…俺がやっていた時はこの地下鉄には一回もないいつも同じ所だったしな…もし話を聞いて同じ内容だったのならそれならそれでいいが違う内容だったのなら知る必要があるしな…

「…確かに一理ある。わかった。行こう」
「ふっ。構わないか?」
「え?あ、はい。あなた様が言ったことならあの人も許すと思います」
「そうか」
「てことだ。樹、朝宮さん、それに佐織さん。ちょっと話を聞きに行ってくるので待っていてください」
「「「うん/はい」」」
「お前達も待ってろ」
「「「えぇ/はい/おう」」」

 男に連れられある拠点に入る。

「碓氷さん!すごい人が来ましたよ!!」
「ん?誰を連れ得てきたんだい?」
「この方ですよ!ささ、どうぞ!!」
「!!貴方は月城さん!!」
「……」
「(こいつもプレイヤーか…)」
「まさかここに来てくださるなんて…ところで…貴方は…」
「冷泉勇希だ」
「冷泉さん…ですか…はじめまして。…こんなやつゲームの中にはいなかったと思うんだが…(ボソッ)」
「(…やっぱり…)」

 そんな小声で言っても俺は耳がいいから聞こえるぞ。

「ところで月城さん!このあとはどうするつもりで?今はなぜか僕がリーダーのような存在になっていますが、貴方がいるならリーダーは貴方の方が相応しいかと!」

 あからさまに態度が違うこの男…

「(月城の反応はと…ってえ?どうしたんだ…その顔…)」

 月城はなんというか…目元の皺が増え、嫌そうな顔…をしている。

 ピロン

 [月城紅は現在【専用スキル:真実の目】を発動しています]

「(??【真実の目】を発動??ということはステータスに何か??……俺も見てみるか)」

 ピロン

 [専用スキル:【リサーチ】を発動します。

 〈情報人物〉
 名前:碓氷 政(うすい つかさ)
 年齢:27歳
 加護:???

 専用特性:詐欺師
     ▶︎詳細

 専用スキル:[罠仕掛け:Lv10][巧み:Lv10]
       ▶︎詳細

 総合能力値:[体力:Lv2][筋力:Lv1]
      [機敏:Lv5][魔力:Lv4]
       ▶︎詳細

 総合評価:現地での観覧が可能です。

「(ここだと見れるのか…まぁ…そんなことより…なるほど…月城が嫌がっていたのはこれが理由か…)」

 詐欺師…ゲームだと確か…攻撃スキルや防御スキルがない代わりに人を甘い言葉で囁き自分の手中に収め、自信を守るように誘導する卑怯な奴らだ。最悪、仲間を盾にしてでも生き延びようとする。…それにしても…レベルを見る限り、少なくともここにいる駅全員には仕掛けてるな…

「いや、いい。遠慮する」
「そうですか…」

 …こいつのこの反応は真実なのか?俺は月城と同じようなスキルを一つ持っているがあいつは【真実の目】…俺の【リサーチ】とは違い全てを見通せるからな…

「ちょっと!あんた達!やっと見つけた!」
「お、お前、生きてたのか!?」
「えぇ!残念ながらね!この方達に助けてもらったのよ!」
「そ、そうなのね!よかった!無事で!」
「無事でよかった??よくそんなこと言えたものね!私を迷いもなく見捨てたくせに!!」
「佐織さん!落ち着いて!!」

 どうやらそとが騒がしい…何か争っているようだ。

「どうしましたか??」
「う、碓氷さん!いや…これは…」
「どうした?お前達?」
「あん??いや、この姉ちゃんがこいつらを見た瞬間走り出してよ」
「!!冷泉さん!!」

 佐織さんがこちらに戻ってくる。

「どうしたんですか?」
「あの人たちです。私を置いていったのは!」
「…あいつらが??」
「!!あんたは月城紅!!」
「え?月城紅ってあんたが話してたあの??」
「あぁ。そうだ!よかった!これで助かるぞ!!」
「……」

 月城は慣れた様子だが沙織さんは怒りを表しているようだ…まぁ…当たり前ではあるが…

「そうですか…そんなことが…」

 碓氷と言うやつは事情を聞いたようだ。

「佐織さん。事情はわかりました。しかし、あの状況では仕方なかったとも言えます。どうか怒りをおさめてくれませんか?」
「……何も知らないくせに……」
「……そうですね…しかし…」
「もういいです!わかりました!その代わりこれからは絶交します。貴方達とは今後一切関わりません!さようなら」

 佐織さんはそう言い切るとその場を離れた。

「…っち。本当にうざい女だな…あの時死んでくれればよかったんだよ」
「本当ね…」

 …そんな小さい声で言っても聞こえてるやつには聞こえてるぞ…

「さて…ところでひとまずクエストもクリアしたから一旦このチームは解散します」
「…あぁ…」

 俺はステータスの詳細も早く知りたかったので落ち着ける場所を見つけ、見ることにした。

「ふぅ…よし」

 ピロン

 [専用スキル【リサーチ】を発動します]

 〈人物情報〉
 名前:月城 紅(つきじょう くれない)
 年齢:22歳
 加護:???

 専用特性:回帰者(神級)
     超速成長(伝説級)
     ▶︎詳細(観覧可能)

「よし。それじゃあ、見てみるか」

 ポチッ

【回帰者(神級)】
 死んでも何度でも回帰する。その際、自分自身の記憶はあるが仲間になった者やその他の者達は記憶がリセットされる

【超速成長(伝説級)】
 回帰するたびに今までの知恵により急成長することができる。そのため他の者よりレベルが上がりやすい傾向にある。

(ちっ。やっぱり回帰者だな…だが…このせいでメンタルが弱いことも事実だな)

 ピッ

【一撃必殺】
 隙を見て急所めがけての必殺技を繰り出す。だが、外したらゲージが溜まるまで使うことはできないため注意する必要がある。

【真実の目】
 その人のステータスや発言までものがこの真実の目の前では嘘をつけない。嘘をついても必ず使用者が使用すればすぐに見破ることができる。

【剣技】
 剣に優れている。レベルが上がるたびに鋭く、強く、重くなる。剣技を使うたびにレベルはどんどん上がる。

【集中突破】
 一撃必殺と一緒に使えば無敵。だが高度な技術なので今は魔物などの群れを抜ける時や剣技を使うときに使用すると効果的。

【雷鳴の剣舞】
 ある神から伝授された。だが今の元々持っていたスキルのレベルが低いため使いこなすことができない。使用した場合しばらく動くことは不可。

【断罪の烈光】
 最近新しく覚えたスキル。これは本当の悪にしか使えず、善の者を切ろうとしても効果はない。まさに悪に断罪を与える者。

(もう、こんなスキルを持っているのか…この【雷鳴の剣舞】…どんだけ気に入ってるんだよ…その神は…)

 ピッ

【総合能力値】
 魔力が上がらない分、体力、筋力、機敏が補っている。魔法系より物理などの攻撃が得意なため魔力はなかなか上がらないが、その他三つは専用特性の【超速成長】により上がりやすい。

(魔力以外が急成長とか…バケモンだな)

 ピッ

【総合評価】:回帰したもの。何回目の回帰かは不明。本人しか知らない。
      だが、その成長は人種を超えており、仲間にすれば心強い。
      唯一の欠点はメンタルが低いこと。そのため精神攻撃をする
      敵には遭遇しないことをお勧めする。もし、精神を支配され
      のっとられてしまった場合…最悪の事態になる可能性がある
      誰か止めてくれる人がいれば別であるが…

(……いや、こいつを止められるやつなんているわけねぇだろ!!…強いて言うならいつか恋人になった花染ぐらいか…とりあえず精攻撃をしてくる敵に合わない方が賢明だな)

 次は…一番知りたかった月城は見たから…うん、これから共にするであろう二人、いやもしかしたら三人か…それは彼女に任せるが見てみるか。

 ピッ

 〈人物情報〉
 名前:樹 日向(いつき ひなた)
 年齢:10歳
 加護:???

 専用特性:虫博士(レア)
     ▶︎詳細(観覧可能)

 ピッ

【虫博士(レア)】
 虫オタク。虫が好き好きすぎて自信専用の図鑑を作り出してしまうほど。新しい虫を見つけると特徴などを学ぼうとする。

(…虫好き…図鑑までなんてすごいな…)

 ピッ

【虫使い】
 神経を使い頭の中で自分に従えと命令すればどんな生き物も操れ友達になれる。レベルが高くなるほどよりランクの高い魔物を操れる。

【図鑑】
 今までの虫が載っている。この世界の新しい虫を見つけるとその特養を観察し学ぶことで図鑑に登録され、レベルも上がる。

【意思疎通(虫限定)】
 ある神から伝授された。友達になった虫達と会話することができる。虫達を動かし戦闘に加勢させることができる。

(これはまた…すごい子を味方にできたな…俺…)

 ピッ

【総合能力値】
 体力はさすが子供と言うべきかレベルが高い。体力以外の三つ目は今後の活躍により伸び代があると感じられる。

(…ま、そうだな)

 ピッ

【総合評価】;虫好きはたくさんいるがこの特性とスキルを持ったものは
      なかなかいない。見応えのある人物である。ただ、総合能力
      値が低いので油断していると怪我やそれ以上する可能性があ   
      るので、信頼できる仲間と常にそばにいることをお勧めする

(…どうりで俺と手を繋ぎたがる訳だ…でも俺より月城の方がいいとおもうんだが…)

 次は朝宮さんだな

 ピッ

 〈人物情報〉
 名前:朝宮 岬(あさみや みさき)
 年齢:24歳
 加護:???

 専用特性:医療知識(レア)
     ▶︎詳細(観覧可能)

 ピッ

【医療知識(レア)】
 病院に勤めていたので医療に関しては知識が豊富。しかも医療に関する書物を読み理解すればスキルを習得できる。

(うわお。それじゃあ治療系の書物を読ませてあげればいいのか…)

 ピッ

【自己回復】
 自身の怪我を治すことができる。現地点では軽症の怪我しか治せないがレベルが上がるほど重度の怪我を治すこともできる。

【治療】
 神から伝授された。他人を治療することができる。軽症の怪我ならすぐ治せる。重度の怪我でも時間をかけて治すことができる。

【総合能力値】
 機敏が一番優れており、魔力もそこそこ優れている。体力や筋力はなかなか上がらない体質だが、機敏と魔力が上がれば治癒師としてかなり優秀になる可能性がある。

(花染とはかなり違うな…)

【総合評価】:医療に優れており、勉強熱心なことから知らないことがある
      と理解するまで書物などを読む。その集中力は周りの音が聞
      ず、話しかけられても全然反応しないほど。敵が近くにいる     
      時、仲間が近くにいない時は要注意。

(まじかよ…これは気をつけないとな)

 次は…佐織さんも見ないとな)

 〈人物情報〉
 名前:佐織 華月(さおり かづき)
 年齢:25歳
 加護:???

 専用特性:侍の末裔(伝説級)
     ▶︎詳細(観覧可能)

 専用スキル:[風の刃Lv1][断ち切りLv1]
      [恩返しLv1]
       ▶︎詳細(観覧可能)

 総合能力値:[体力:Lv9][筋力:Lv3]
      [機敏:Lv9][魔力:Lv1]
       ▶︎詳細(観覧可能)

 総合評価:現地での観覧が可能です。

(侍の末裔ってマジかよ!でもその割にはレベルが低いな…今まで逃げてきただけなのか…)

 ピッ

【侍の末裔(伝説級)】
 侍の血が流れている。善が強く、どんな状況になっても人を助けるという信念を持つ。侍の血筋にかけて裏切る行為は絶対にしない。

(へぇ~かっこいいな)

【風の刃】
 刀に風を纏わせ敵を斬りつける。風が纏うことによって低レベルの敵なら刀を傷つけることはできない。

【断ち切り】
 刀を一振りするだけで物理的にも空間さえも断ち切ることができる。攻撃として使うこともできれば他のことに使うこともできる。

【恩返し】
 ある神から伝授されたもの。侍は助けられたらその恩を忘れない。それを評価されこのスキルを得た。

【総合能力値】
 侍の末裔であるため、実家では稽古をしていたようだ。体力と機敏が一番高い。筋力に関しては伸び代があるが、魔力に関しては少し伸びが悪いので努力が必要である。

 総合評価:侍の末裔という素晴らしい称号があるが、自身に自信がなく、
     相手任せにすることが多いため、レベルがなかなか上がらない
     自分が余計なことをすると周りに迷惑がかかると思っている。
     ただ、一度自信をつけると侍の血が目覚め、頼もしい仲間に
     なる。そして裏切られると必ずその報いを受けさせる。

(…こわ……とにかく一度自信をつけさせないといけないのか…どうしたものか…)

 次は…こいつらか…と言いたいが…どうやら一度休憩しなきゃいけないらしいな…

 ピロン

 [地下鉄に忍び込んだブラックヘドパーを倒せ]
 地下鉄にブラックヘドパーの群れが現れた。協力してブラックヘドパーを追い払え。
 分類:サブメイン
 難易度:D
 制限時間:3時間
 報酬:1000コイン
   治癒のポーション
 失敗した場合:死亡

 ふん…追い払え…ね…このゲームは最終的に魔獣と共存させるのが目的だからな。倒してもいいが全滅させるとそのままクリア失敗になる…

「おい」
「ん?」
「行くぞ」
「は?どこに」
「ブラックヘドパーの群れがくるのはおそらく線路だかな。そこに行くぞ」
「…お前達の仲間と行けばいいじゃないか」
「いや、お前も前線の方がいい。お前は使えるからな」

 …使えるって…俺は道具かよ…

「はぁ…お前達はここにいろ」
「え?でも…」
「大丈夫だ。樹。取りこぼすこともあるからそれを倒してほしい。それでここを守ってくれ」
「…うん!わかった!」
「よし。二人もよろしくお願いします。」
「「はい」」

 ドドドドドド…

「こりゃ相当の数だぞ?」
「えぇ。そうね」
「というか朝宮さんはあちらの方がいいのでは?」
「ここにも回復できる人が一人いれば安心でしょう?」
「それもそうですね…」
『(…いやどう見てもあっちの方がいいだろ…ここにても回復するのに時間かかるしフォローするのも大変なんだが…ん?)」

 朝宮が月城のことをじーと見ている…

「(あぁ…そういうことか…)」
「来るぞ。準備はいいか?」
「「「あぁ/えぇ/はい」」」
「お前は?」
「…大丈夫だ。言っとくがただ倒すだけじゃダメだぞ…わかってるとは思うが」
「あぁ。わかっている」
「月城さん!頼りにしてます!」
「私達のことも守ってください!」
「……」
「(はぁ…うるさいな…お前らもそんなこと気にする暇があるなら戦ってんだ)」

 “シャアーーー!!”

「く、来るぞ!」
「(ブラックヘドパーの弱点は…)」

 ピロン

 [専用スキル【通暁】を発動します]

 ピロン

 〔ブラックヘドパー〕
 ブラックマンバ型モンスター
 ベースカラーは黄色だが突然変異で赤色のものもいる。
 鱗はヘドロのように溶けたような形状。牙は紫色。
 相手に巻きつき、舌でまず麻痺毒を浴びせ、痺れている間に鋭い牙で毒を体内に注入することで死に至らせる。その威力は大きさによるが中型のモンスターをも仕留めてしまう。人間なら一瞬であの世行きだろう。

「(はぁ…そうだ。毒って一番厄介なんだよな…攻略法は…)」

 〔ブラックヘドパー〕
 一番効率がいいのは炎で一気に燃やすこと。そうでなければ剣で首をひとおもいにはねることが効率がいい。

「(そうなんだよな…炎で一気に燃やすのが効率がいいが…一気に倒してしまうとクリアにならない…)」
「おい!!あまり炎技は使うな!使うとしても最小限にしろ!!」

 …やっぱり一度はやったことのあるプレイヤーだとわかるか…他の人は不服そうだが、従った方がいいと察したのか素直に言うことを聞いている。

「ふんっ」
「ヒャッホー!!」
「式神!!」

 …さすが主人公一同…動きに無駄がないな…

「はぁ…」

 ザシュ

 まぁ…俺もそこら辺にあった刃物で首をひとおもいに切っているが…それにしてもどうしよか…この場合…親玉を見つけるのがいいんだが…

 “シャア!!”

 ガブッ

「!?」

 手が痺れる…

「うっ」
「!!」

 ザシュ!!

「おい!大丈夫か!」
「ふぅ…」
「大丈夫ですか!!」

 花染が治してくれるが…

「どうしましょう。毒は今の私では治せません。冷泉さん、あなたがあの時使ったスキルで治せますか?」
「治せるとは思いますが、おそらく大丈夫です…」
「え??それはどういう…」

 ピロン

 [専用スキル【適応】が発動します]

 シュゥゥゥゥゥ…

「「!?」」

 ピロン

 [毒の抗体の生成に成功しました。【毒の抗体《初級》】を獲得しました]

 ピロン

 [専用スキル【適応】がレベルアップしました]

「ふぅ…大丈夫です」
「そ、そう…」
「……」

 それから毒に浸されるプレイヤーも出てきて人数が減っていく。ブラックヘドパーの数が多すぎて俺のスキルも使う暇がない。親玉は…この奥…のはず…

「…おい。月城」
「なんだ?」
「わかっているだろう?この奥に親玉がいる」
「あぁ…」
「奥に進む。一緒に来い」
「…しかし、毒の抗体が数分間つくポーションがなぜか手に入らなかった…この状態で行くと流石の俺でも無理だ」
「いいや。俺がいる」
「!!」
「…一つ俺のスキルを教えるとしたら異常状態になると免疫・抗体が生成される。うまくいけば俺には毒は効かない」
「…だが…」
「お前が毒に浸されたなら俺のスキルで治してやる」
「……」
「とにかく今は俺たちが全滅することもブラックヘドパーが全滅することも許されない」
「……そうだな……お前に賭けてみるか」
「…よし」
「お前達…俺たちはこれから奥に進む。援護を頼む」
「おい!嘘だろう!?この奥に!?今蛇やろうがうじゃうじゃいるのにか!?」
「あぁ。それしか方法はない」
「……でも、危険よ。もう少し様子を見た方がいいんじゃない?」
「いいや。時間の問題だ。こいつと親玉を探すからその間ここを守れ」
「なに!?こいつと??」
「……でも」
「わかりました」
「!?橘くん!!」
「その方法しかないのならあなた達に賭けてみます。それしか僕にも思いつきませんしね…」
「…ま、そうだな」
「……」
「行ってください!ここは大丈夫です!」
「あぁ…よし、行くぞ!」
「おう」

 シュ!

 俺たち一斉に走り出した。月城は剣で周りのブラックヘドパーを切り裂き、俺は切り裂きながらも月城に噛みつこうとした小さいブラックヘドパーに向かって自分の腕を噛み付かせなるべく月城には目的地まで毒に侵されないようにした。今ここで毒に侵されてもうじゃうじゃいる中スキルを使うことはできなからな。

「「はぁはぁ…」」

 一部壊れていた壁を見つけそこに入り込み、奥へと進むと開けた場所にでた。目の前にいたのは…

 《おや…よくここがわかったね…》

 実体のある首が一つと毒の煙でできた首があり、まるでヤマタノオロチのようだが、この魔獣は…

 ピロン

「専用スキル【通暁】が発動します]

 〔ヤマタノタイカガシ〕
 ヤマカガシ(突然変異)型モンスター。
 背中に大きな棘があり、そこに7つの生命器官を持っている。棘のそれは毒エネルギーを使い遠隔操作をすることでまるで大蛇のような動きで相手を追い詰める。神に近い魔獣。
 毒のエネルギーを全て放出さすることができれば活動は停止する。
 だが、その方法は現在不明。

「(マジかよ!そんな方法があったのか!!それならあんな苦労しなくて済んだのに!!)」

 と心の中でぶつぶつ言っていると、また話しかけてきた。

 《ほう…これは面白い…お前はなんとも面白い力を持っているな…しかしその力のせいで弱い部分がある…そしてお前は…そもそも異端だな》

 はぁ俺が異端?何言ってるんだ…この蛇は…

「はぁ?誰が異端だって??」
「……」

 いきなりの俺の口調に月城は呆れた顔をした。

 《アハハハ!我にそのような口を聞くとは面白い。お前に興味が湧いてきたぞ。若き者よ》
「…そりゃどーも」
 《しかし、其方は無表情よのぉ~隣の彼もよくみないとわからないがお前はそれ以上に…お前の過去はどのようなものだったのだ?知りたいのぉ~》

 シュゥゥゥ…

「「!?」」

 毒の霧が今いる空間に充満してきていた。

「ゴホッゴホッ!」
「うっ…」

 ピロン

 [専用スキル【適応】が発動しました]

 ピロン

 [専用スキル【適応】のレベルが低いので免疫・抗体の生成に失敗しました]

 ピロン

 [再度、発動します]

 ピロン
 ピロン
 ピロン……

 さっきから通知がこればかりだ…流石にここにくるの早かったか…

 ピロン

 [専用スキル【適応】が大幅にレベルアップしました]

 ピロン

 [専用スキル【適応】を発動します]

 ピロン

 [毒の抗体の生成に成功しました。【毒の抗体《中級》】を獲得しました]

「ふぅ…」
 《ほう…我の毒に耐えるか…面白い…》

 毒の霧が消えていく…

「うっ…」
「!?おい!!」

 月城が毒に侵され危険な状態だ。

 《その男もよく耐えたものだ。お前のような力もないというのに。だが、そのままだと此奴は死んでしまうだろうの》
「ちっ」

 ピロン

 [専用スキル【浄化(D)】を発動します]

 ピカッ

「(今のランクでこの毒を消せるか…いや…今こいつに死なれては困る…こうなったら俺の魔力を全部使ってでも治す!!)」

 俺は今持っている魔力を全て使う勢いで注いだ。

 ピッカッ!!

「!!」

 俺でも驚くぐらいすごい光が放出され、月城にかかった毒をどんどん消えていく。

「はぁはぁ…消え…た…」
 《我の毒も消すか…やはりお前は異端だな》
「さっきから…はぁ…その異端って…はぁ…なんだよ…はぁ…」
 《ふむ…今は答えられぬ。だが…お主がもう一度我に会うことがあれば少しくらいは答えてやろう》
「え?」
 《もう一度会えたならお主のその無表情な顔ではなく笑顔が見てみたいのぉ》

 シュルシュル

「!?」

 いつの間にか小さいブラックヘドパーが集まってきていた。

 《お主のその勇気を讃え一度身を引こう。なに、我の毒に耐えた褒美と思え》

「……」

 《ではな》

 シュルシュル…

 ヤマタノタイカガシは後ろにあったもう一つの穴に入っていく。ブラックヘドパーもそれに続いて穴に入っていく…

 なんだよ…親玉を倒さなくても良かったのかよ…

 ピロン

 [専用スキル【通暁】と【瞬間記憶】がレベルアップしました]

「(レベルが…上がった…)」

 バタン

 俺は疲労と魔力の使いすぎもあり、そのまま倒れた。
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