上 下
2 / 4

これが…主人公

しおりを挟む
「ふぅ…」
「やっと今日で半分くらいですね」
「そうですね。意外とはやいですね。まだ期間はありますし疲れたでしょう。今日は一日休んでも毒の霧もここに来なさそうですし」
「えぇ。そうしましょう」


 ~翌日~
「そろそろ行きましょう」
「はい」
「うん」
「…予定よりはやく着きそうですね。今回はゆっくり休めたし…樹、大丈夫か?」
「どうして?」
「お前はまだ子供なのに、無理させたんじゃないかって思ってな」
「そんなことないよ!正直に言うとね、大変だったよ?でもね、お兄ちゃんは僕のこと気にしながら急がなきゃいけないのに休憩させてくれたから大丈夫だよ!ありがとう!」
「ふっ…そうか…」
「(今…笑った?)お兄ちゃん」
「ん?どうした?」

 ピロン
 ピロン
 ピロン
 ピロン
 ピロン

 [《ユニコーン》が目を見開いて驚いています]
 [《翼をもち大空を駆け回る馬》が目を見開いています]
 [《曲がったくちばし》が目を見開きながら『気のせいか?』と思っています]
 [《愛や性愛の神》が〔もう一度〕っと言っています]
 [《愛と美と性を司る神》が〔見間違いか?〕と思いながら二度見しています]

「(ん?なんだ?なに驚いてるんだ?新しい神様まで…俺何かしたか?)」
「あ!そこじゃないですか?」
「あ…そうみたいですね。生き残った人達が集まってるみたいです」
「残り時間もまだ六日間あるね!」
「えぇ。樹くんも頑張ったおかげではやく着けましたね!」
「うん!」

【[指定された場所に避難せよ]クリア達成 報酬:600コイン】
 ざわざわ…

「(ん?なんだ?あっちが騒がしいな…)」
「あっちの方が騒がしいですね…」
「…そうですね…行ってみましょうか」
「はい」
「うん」

 ぎゅ

「ん?どうした?」
「ううん!僕が手を繋いでいたいだけ!」
「そうか…」

 人が集まっているところまで行くと見たことある人物とその仲間たちと思われるメンバーがいた。

「あれは…」
「?冷泉さん、知り合いですか?」
「お兄ちゃん?」
「…お前たちはゲームをやっていないからわからないか…まぁ…簡単に言うと“主人公”やつさ…あのシャルぺが言ってただろう…“ある人物を守りながら進行しろ”ってな…」
「「……」」

「おい…あいつって…」
「そうよ…あのゲームにいたあの方よ!」
「てことは、少なくともあいつの傍にいれば助かるのか!?」
「確率はたけぇ~な!」
「しかも、あのメンバー達も一緒よ!」
「あの方達を助けないといけないからむしろ一緒に行動した方がいいし、一石二鳥じゃない!!」
『行きましょう!/行こうぜ!!』


「(…はぁ…何度回帰してもこれだ…なぜ知っているのか知らんが俺といれば助かると思っているのか…はぁ…疲れる)」
「大丈夫?」
「あぁ…」
「へっ!やっぱお前はどこにいても人気者だ!こんなにお前を知ってる奴がいるなんてよ!」
「そうですね…それにしてもこの人達はどうして知っているのでしょう?僕たちにも会ったことはないと思うんですけど…」
「さぁ…それは私にもわかりません…」
「フン、どうでもいい。どうせ死ぬことには変わりない(どうして知っているのかはどうでもいいが、傍迷惑な奴らだ…俺と一緒にいても死ぬことには変わりはない…)」

 近づく者達がいる中、無視し続ける一同…しかしある人物を見た時止まった…

「?どうしたの?」
「(あれは誰だ?前の世界線にこんな奴らはいなかった…いや…気づかなかっただけか?とりあえず見てみるか…)」

 [専用スキル【真実の目】を発動します]

 ピロン

「(…あの女はこいつと同じようなスキルか…成長すれば生き残れはするだろう…)」

 ピロン

「(あの子は…今まで見たことないスキルだな…だがなぜだ?なぜ前の世界線にいなかった?…とりあえず考えるのは後にしよう)」

 ピロン……

「(最後はあいつだが…〈ズキッ〉うっ!?」

 [【真実の目】の発動に失敗しました]

「!どうしたの!大丈夫??」
「あ、あぁ…大丈夫だ…(…なぜ見れない?あいつはなんなんだ…)」

 [専用スキル【シークレット】が発動しました]

「(ん?あぁ…やっぱり使ってきたか…【真実の目】…)」


「…おい」
「…」
「…おい」
「?…俺ですか?」
「そうだが?」
「…なんですか?」
「お前…誰だ?」
「…悪いんですけど、初めて会った貴方になぜ名前を言わなければいけないんですか?(それに知ってるから別にいいしな…)」
「……」
「(それに会うことはあまりなさそうだしな…あるとすればお前の仲間達が死ぬイベントの時に少し手助けして死なせないようにすることだけだ)」
「なんだよお前…無愛想だな」
「なんだお前!お兄ちゃんにそんなこと言うな!」
「あぁ?ったくなんだよ、このガキ…本当のこと言っただけだ。それの何が悪いんだよ?」
「今日初めて会ってお兄ちゃんのこと知らないくせに何言ってんだよ!」
「い、樹くん、落ち着いて!!」
「貴方もですよ…全く子供相手に…それにこの子の言うことも最もですよ?第一印象で勝手に決めてはいけません」
「…ッチ」
「君も…」
「いや…いい。確かにこちらが悪かった。俺は…」
「月城 紅」
「「「「!?」」」」
「知ってるよ?お前…いやお前達のことなら…」
「貴方は花染 葉糸、さっき樹と喧嘩してたお前が黒瀬 陸上そしてフ二人の喧嘩を止めたお前が橘 文月」
「…お前…何もんだ?」
「さぁ?でも、お前達のことを知っている人たちはたくさんいると思うぞ?」
「「「「!!」」」」
「お前達も気づいているだろう?…ほら来た」

 冷泉は巻き込まれないように樹と朝宮を連れ離れた。

「ふぅ…」
「あの…」
「うん?」
「さっきはなんで…それになぜ初対面のはずなのに知っていたんですか?」
「…あぁ…貴方も知らないんでしたっけ?実は…」

 冷泉はゲームのことを話したが、自分が最後まで攻略できたことは言わないことにした。

「そういうことでしたか…」
「えぇ。今集まっている人たちはあの月城紅と一緒にいた方が助かる確率が高いと考えているんでしょう…」
「じゃ、じゃあ…私たちもついて行った方が…」
「いや、それはお互い後悔することでしょう…」
「どうしてですか?」
「あの月城紅は今一緒に行動している者達ですら仲間意識がないに等しいんです。なぜ信用しきれていないのかはわかりませんが、ただこの世界を救うための人材を集めているようなものです。悪くいえば道具のようなものですね」
「つまり、仲間とは思っていないけど守るべき者ではある…」
「はい。主人公ですからね。この世界を救うために回帰というスキルで何度も同じ世界線のルートを繰り返して来たんでしょう。だけど、責任感が強いため目が届く範囲の人たちは守りたいという思考なんでしょう」
「…」
「しかも、精神が弱いというのが弱点…目の前で助かる命が死んでいくのを見ればいくら他人でも精神崩壊が徐々に進んでいきます。一応仲間意識はなくとも認めているあの人達が死んでしまえば精神ダメージは大きくなるでしょう」
「それは、あの月城さんの精神を安定な状態に保ちなおかつその三人も助けなければならない…」
「それに、月城紅は主人公です。自分から困難な道を選び一秒でもはやくこの世界を救いたいはずです。そして、その主人公という立場からはやく逃れたい…」
「……」
「だから逆に危険なんですよ。困難な道とは危険が伴います。力の弱い人達が月城紅に集まったとて巻き込まれて死んでしまうのがオチ…月城紅も人です。そんな一人であんな人数を守れるわけがない…」
「…」
「(…さて、一応見とくか)」

 [専用スキル【リサーチ】を発動します]

 〈人物情報〉
 名前:月城 紅(つきじょう くれない)
 年齢:22歳
 加護:???

 専用特性:回帰者(神級)
     超速成長(伝説級)
     ▶︎詳細

 専用スキル:[一撃必殺;Lv10][真実の目:LvMAX]
      [剣技Lv:14][集中突破:Lv3]
      [雷鳴の剣舞:Lv1][断罪の烈光:Lv1]
       ▶︎詳細

 総合能力値:[体力:Lv15][筋力:Lv21]
      [機敏:Lv13」[魔力:Lv5]

 総合評価:現地点で見ることをお勧めしません。安全地帯で観覧できま    
     す。

「(さすが主人公…まだ序盤なのにスキルのレア差もレベルも段違いだな…次は…)」

 〈人物情報〉
 名前:花染 葉糸(はなぞめ はいと)
 年齢:21歳
 加護;???

 専用特性:魅了(準伝説級)
     ▶︎詳細

 専用スキル:[誘惑:Lv9][自然治癒:Lv10]
      [治癒Lv:Lv10][魔力回復:Lv1]
       ▶︎詳細

 総合能力値:[体力Lv:Lv6][筋力Lv:Lv2]
       [機敏Lv:Lv8][魔力Lv:Lv9]

 総合評価:現地点で見ることをお勧めしません。安全地帯で観覧できま            
     す。

「(やはり朝宮さんと同じ回復系か…しかしこの魅力…何回プレイしても嫌だったな…俺が苦手なタイプだ…)」

 〈人物情報〉
 名前:黒瀬 陸上(くろせ くがうえ)
 年齢:19歳
 加護:???

 専用特性:オタク知識
     闇使い(準伝説級)
     ▶︎詳細

 専用スキル:[ポイズンスモッグ:Lv6][闇の鎧:Lv1]
      [ダークスペース:Lv1]

 総合能力値 : [体力:Lv20][筋力:Lv14]
                       [機敏:Lv3][魔力:Lv4]

   総合評価:現地点で見ることをお勧めしません。安全地帯で観覧できま           
                  す。

「(…やっぱり俺のもろ苦手なタイプだ…)」

 〈人物情報〉
 名前:橘 文月(たちばな ふづき)
 年齢:20歳
 加護:???

 専用特性:陰陽師
     式神使い(伝説級)

 専用スキル:[召喚:Lv10][呪術:Lv7]
       [結界:Lv2][疾風怒濤:Lv1]

 総合能力値:[体力:Lv5][筋力:Lv4]
       [機敏:Lv10][魔力;Lv9]

 総合評価:現地点で見ることをお勧めしません。安全地帯で観覧できま            
     す。

「(へぇ~陰陽師…確かにゲーム線でも橘ってやつは神社の育ちだったか?なかなかいいスキルだな…)」

 ピロン

 [専用スキル【リサーチ】がレベルアップしました]

「お、レベルがアップしたか(あ~この二人とあの四人のステータスを一気に見たからか)」

 それから六日がすぎた…

「(はぁ…やっと次のクエストか…あの月城紅からのへんな視線から解放される)」
「皆さん!お久しぶりです!あ、初めての方達もいらっしゃいますね!今までは皆さんバラバラになり何人か案内役を配置しましたが、ここに集まったと言うことでこれからはここの地域全体は私シャルぺになります。他の案内人は私が用事を外せない時などに代理としてお願いしています。さて次のクエストはこちらです!」

 パチンッ

 ピロン

 [チームを組み現地よりもっと安全な場所に避難してください]
 三人以上のチームを組み、地上にどくが充満する前に安全な場所に避難してください。
 分類:メイン
 難易度:D
 制限時間:2週間
 報酬:1000コイン
 失敗した場合:死亡

「避難場所は毒が充満していないこのエリアのみです!毒がこのエリアに達しても少し吸っただけでは気分が悪くなる程度なので充満する前に見つけてくださいね!それでは皆さん!ご武運を!」

 シュン!

「(三人以上…ちょうど樹と朝宮さんと俺で三人だしこのチームでいいだろう)」

 コツコツ

「(…ん?なんだ?なんであいつこっちに来るんだ?)」
「…ちょっといいか?」
「…なんですか?」
「このクエスト、俺たちと一緒にやらないか?」
「…はぁ?なんで?俺たちはもう三人揃ってるし、お前もだろう?それに、お前達と行きたそうな奴らがたくさんいるんだから人数が必要なら他の奴らを…」
「いや、お前がいい」
「はぁ?」

 話に割ってきてまで一緒に行きたいらしい

 ピロン
 ピロン

 [《愛や性愛の神》が目を見開いています]
 [《愛と美と性を司る神》が固まっています]

「(なんだ?まぁいい)…とにかくお前と一緒に行く気はない。じゃあな」
「…」
「…(助け舟を出した方がよさそうね…)」

 ピロン

 [専用スキル【誘惑】を発動します]

「あの…どうしてもダメですか?私達だけでは不安なので…」

 上目遣いで見つめてくる花染葉糸。

「…」
「(ふん。お姉、スキル使ってるな…お姉のこのスキルが効かないのは月城だけだしな…こいつも落ちるな)」
「(はぁ…花染さんも人が悪い…月城さんのためとはいえ無理矢理感があって僕はあまり好きではないんですが…仕方ありませんね…)」

 ピロン

 [専用スキル【精神の壁】が発動しました]

 ピロン

 [【誘惑】の発動に失敗しました]

「え?」

「…すみませんが、遠慮します」
「「「「!?!?」」」」

 勇希はいつもの無表情で答えた。

「(そ、そんな…このスキルが効かないのは月城くんだけのはず…!)」
「(おいおい…まじかよ。こいつ本当にナニモンなんだ?)」
「(花染さんのスキルが効かないなんて…やはり面白い人ですね)」
「……」

 ピロン

 [《ユニコーン》が安心しています]

 ピロン
 ピロン

 [《翼をもち大空を駆け回る馬》が安心しています]
 [《曲がったくちばし》が安心しています]

 ピロン

 [たまたま見ていた【海の中歌で人を惑わせる者】が安心したと同時に貴方を褒めています]

 ピロン

 [《海の中歌で人を惑わせる者》がポイント1を支援しました]

「(ハハ…なんでそこまで安心するかな…てか《海の中歌で人を惑わせる者》に関しては拗ねてたんじゃないのか?)…ふう…そう言うことだから、またどこかで」
「待て!」

 ガシッ

「!!」

 その場を去ろうとしたが、なぜか月城紅に手首を掴まれた。

 ピロン
 ピロン

 [《愛や性愛の神》が興奮しています]
 [《愛と美と性を司る神》がキラキラした目で見ています]

 ピロン
 ピロン
 ピロン
 ピロン

 [《ユニコーン》が蹄を地面に叩きつけ怒りを表しています]
 [《翼をもち大空を駆け回る馬》が翼を激しく動かし威嚇しています]
 [《曲がったくちばし》が目を鋭くさせ睨んでいます]
 [《海の中歌で人を惑わす者》が拗ねて海の中に潜りました]

「(なんだ?急に??神様達と神獣達の反応がすごいな??)」
「…」
「…」
「…その…せめて俺がお前と一緒に行くと決めた理由だけでも聞いてくれないか?それでも嫌だと言うなら諦める」
「…わかったよ」
「感謝する。まず正直に言うとお前のことが怪しくてついていこうかと最初は思った…だが今はこの状況だ。疑うよりも協力していくべきだと考えた。簡単に言うと…お前に興味が湧いたからだ」
「…興味…だと?」
「あぁ…なぜだろうな…なぜかお前がいたらこの世界を救えるような気がしてな…」
「…(確かに俺はこの結末を知っている…だがこいつは知らないはずだ…主人公の勘ってやつだろうか…)」
「気持ちは変わらないか?」
「…ちょっと待っててくれ」
「あぁ…」

 ここでやっと手を離してくれた月城紅。

「樹、朝宮さん」
「はい?」
「なに?お兄ちゃん?」
「このクエストが最低でも三人以上が必要です。なので、俺たちは条件を満たしています。でも、あちらの四人の方が一緒に行きたいそうですが…二人の意見を聞きたいと思いまして」
「そうですね…私は人数が多い方が安全性は高くなると思います。でも、最終判断は冷泉さんの判断に従います」
「僕もお兄ちゃんと一緒なら大丈夫!」
「そうですか。わかりました」






「お待たせしました」
「いや、大丈夫だ」
「俺の仲間からは人数が多い方が安心と言っていたので今回は一緒に行動しましょう」
「!!そうか…感謝する」
「…いえ」
「…ちゃんとした自己紹介がまだだったな」
「それなら俺は大丈夫ですよ。貴方達のことは知っているので」
「いや…俺がちゃんとしたいんだ」
「…わかりました」






「僕、樹日向です!」
「私は朝宮岬です。よろしくお願いします」
「…」
「お前は?」
「…え?」
「お前の名前はなんだ?」
「…冷泉…冷泉勇希だ」
「そうか…改めて名乗ろう。俺は月城紅だ」
「私は花染葉糸。よろしくお願いします」
「俺は黒瀬陸上だ。ま、よろしくな」
「僕は橘文月です。よろしくお願いいたします」
「…こちらこそ…それでは行きましょうか」
「そうだな。ここにいても毒が充満するだけだ」
「そうですね」
「…行こう」
「あぁ」

 ギュ

 樹はいつものように冷泉の手を握る。

 しばらく安全な場所を求め歩き続ける。

「毒が充満するのは時間の問題…でもそんな中で安全な場所があるんですか?」
「その姉ちゃんの言うとおりだよな~」
「どこかに保護できる場所があるなどとは言いませんでしたからね。あの案内人という生物…」

 しばらくある続け、樹が人を見つける。

「…ねぇ…お兄ちゃん…」
「どうした?樹」
「あそこ…人倒れてない?」
「え?」

 樹の言葉にみんな一斉に樹がいう場所に目を向けた。そこには女性と思われる人が倒れていたのでみんなが駆け寄る。

「う…」
「大丈夫ですか?」

 最初に声をかけたのは朝宮。怪我をしているようだ。

 [専用スキル【治癒】を発動します]

 朝宮のスキルが発動し、倒れている彼女の傷を癒す。すると、小さな傷は治っていた。だが今の朝宮のスキルのレベルでは小さな傷を治す程度。大きな傷は治らない。

「まだ怪我が…」
「私がやってみましょう」

 [専用スキル【治癒】を発動します]

 すると大きな怪我が見るみる治っていく。

「(さすが、主人公の仲間ってところか…)」
「すごい!!」

 だが、ここで新たな問題が生じる。

「!!毒が…この人毒にかかっています!」
「…もう一度やってみましょう」

 [専用スキル【治癒】を発動します]

「…ダメだわ。私でもこの毒は治らない…」
「…お兄ちゃん…この人死んじゃうの?」
「しょうがねぇだろ…もうこの世界はそうなっちまってるんだ…」
「…こればっかりは黒瀬さんの言うとおりですね…花染姉さんのスキルが効かないとなると…悔しいですが…」
「……」

 もはや諦め状態となってしまった一同。

「…ッたす…けて…」
『!?!?』

 まだ息があった女性は必死で助けを求めていた。それを聞いた一同は胸を痛めた。

「(!!そういえば…ユニコーンと契約する時伝授されたスキル…確認していなかったな…)」

「(ステータスオープン)」

 ピロン

 〈人物情報〉
 名前:冷泉 勇希(れいぜい ゆうき)
 年齢:20歳
 加護:???

 専用特性:冷静沈着
     世界を知るもの(幻級)

 専用スキル:[通暁Lv.1][リサーチLv.1]
      [適応Lv.1][精神の壁Lv.MAX]
      [瞬間記憶Lv.1][シークレットLv.MAX]
      [浄化(D)]
       ▶︎詳細

 総合能力値:[体力Lv.5][筋力Lv.5]
      [機敏Lv.15][魔力Lv.9]
       ▶︎詳細

 総合評価:詳細

「これだな…」

 ピッ

 [浄化(D)]
 汚染された水や空気までもを浄化する。ランクは低いが、軽傷の毒も浄化することができる。

「(…よし。さすが神獣…これならいける)」

 冷泉が動く…

「俺がやってみましょう」
「…お前治癒スキルを持っているのか?」
「…一つ…ですが一度も試したことがないので上手くできるか…」
「…頼むぞ」
「…はい」

 [専用スキル【浄化(D)】を発動します]

 冷泉がスキルを使うと、白い光が彼女を包み毒を消していく。それだけでなく周りの空気も綺麗になっていく感じがした。

「……」
「綺麗…」

 月城はただただ不思議そうに見ており、朝宮が思わず感じてことを口に出していた。樹も目をキラキラさせながら見ており、黒瀬や橘も静かにその光景を見ていた。ただ一人…花染はその様子を何を考えているのかわからない表情をしながら見ていた。

「うっ…ふぅ…」

 そして、女性の毒が消え女性の顔色も良くなり呼吸も安定していた。

「ふぅ…」

 タタタタ…

「お兄ちゃん?大丈夫?」
「あぁ。初めてだから魔力の扱いに慣れてないけど…大丈夫だよ」
「おめぇ、姉さんにも治せなかった毒をそんな最も簡単に…」
「それに周りの空気も澄んでるいるように感じます」
「…貴方はとても素晴らしいスキルを持っているのですね」
「いや…こんなのは運だ。スキルなんて自分で選べないからな…」
「うっ…」
「あ!大丈夫ですか??」

 朝宮が駆け寄る。

「えぇ…貴方達が助けてくれたの?」
「見つけてくれたのは樹くんで怪我と毒を治してくれたのは花染さんと冷泉さんです」
「お姉ちゃんも怪我治したよ!」
「!!ふふ。そうだね」
「あ、ありがとうございました!助けていただいて感謝しています」
「いや、こうなった以上助け合う必要がある。気にするな」
「あ、あなたは…」
「…お前も俺を知っているのか?」
「えぇ…でも、私は話を聞いただけで…」
「話?」
「えぇ…◼️◼️◼️◼️◼️◼️…」
『!?!?』
「あんだって??」
「え?ですから…◼️◼️◼️◼️◼️◼️…」
「…どうやら何者かが情報を知られないように邪魔をしているようです」
「え?でも、冷泉さんが私たちに話してくれたときは何もなかったですよね?」
「…おそらく月城紅や花染葉糸、黒瀬陸上そしてたちばな文月…この人たちには
 例のあれを知られるわけにはいかないんでしょう…」
「一体なんのために…」
「…さぁ…それは俺にもわかりかねます…」


「とにかく本当にありがとうございました!それで…このまま安全な場所まで一緒に行っていただけませんか?」
「それは構いませんが…貴方の仲間はどこですか?今回のクエストは三人以上のチームでクリアのはずですが…」
「実は…私がこの状況になったのは訳があって…蛇のような魔物に襲われて…色は…赤…でした」
「(蛇のような?この時期にそんな魔物は…ブラックマンバ型モンスターのブラックヘドパーか!…でも色は黄色のはず…もしかしたら色が違う魔物がいるのか!)」

 ピロン

 [専用スキル【通暁】が新しい知識を得たことによりレベルアップしました]

 ピロン

「専用スキル【瞬間記憶】のレベルがアップしました]

「(【通暁】と【瞬間記憶】レベルアップか…この二つは連帯して成長するのか…今までのゲームで得た知識に新たな知識を得るとレベルが上がるのか…)」

「蛇のような魔物…ですか…」
「おそらくブラックヘドパーだろうな」
「ブラックヘドパー??しらねぇな。お前はどっからそんな情報得てるんだよ…」
「……たまたまだ」
「あーそうですか」
「それで、どうしたんですか?」
「はい。それで、逃げていたんですけど…私が転んでしまって…それで仲間達はそのまま私を置いて逃げてしまって…その魔物に噛まれてそのまま倒れてしまったんです…」
「なんてこと…」
「…とんだ野郎どもだな」
「全くです…」
「(…ブラックヘドパーは毒が非常に強い魔物で軽いものではないはずなんだが…まだ赤ちゃんのブラックヘドパーだったのか?)」
「事情はわかりました。一緒に行きましょう」
「ありがとうございます!」
「あとは安全な場所だが…」
「それならあるぞ」
「!本当ですか?月城さん!!」
「あぁ。今向かってる先がそうだ」
「なんだ。そうだったのかそれならそうとはやく言ってくれよな~柄にもなく真剣に考えちゃったぜ」
「黒瀬さんにそもそも考えるという頭はないでしょう?」
「なんだと!橘てめぇ!」
「それで、月城くんそれはどこなの?」
「「地下」」
『!!』
「…やはりお前もわかっていたか」
「あぁ。というかこのさきにはあの地下鉄しかないからな」
「お兄ちゃんも分かってたんだ!やっぱりお兄ちゃんはすごいね!」
「でもよ。地下鉄に入っても入り口から毒の霧が入ってくるんじゃないのか?」
「黒瀬さんにしてはいい質問ですね」
「お前はいちいち一言多いんだよ!」
「それなら問題ないはずだ」
「おそらく、あのシャルぺが何か対策してるはずなので…多分結界か何かでしょう」
「…おい。橘、あの二人なんか息あってねぇか?」ボソッ
「…確かに…初めてあったもの同士とは思えませんね…」ボソッ
「……」
「今はその場所しか思い浮かばないですし、とりあえず行ってみればわかることでしょう」
「そういうことだ。ぐずぐずしてないで行くぞ」

 コツコツ

「あ!待ってよ!お兄ちゃん!!」
「「待ってください!」」
「あ、おい!待て!」
「はぁ…全く…」
「……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺

るい
BL
 国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。

本当に悪役なんですか?

メカラウロ子
BL
気づいたら乙女ゲームのモブに転生していた主人公は悪役の取り巻きとしてモブらしからぬ行動を取ってしまう。 状況が掴めないまま戸惑う主人公に、悪役令息のアルフレッドが意外な行動を取ってきて… ムーンライトノベルズ にも掲載中です。

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

総受けルート確定のBLゲーの主人公に転生してしまったんだけど、ここからソロエンドを迎えるにはどうすればいい?

寺一(テライチ)
BL
──妹よ。にいちゃんは、これから五人の男に抱かれるかもしれません。 ユズイはシスコン気味なことを除けばごくふつうの男子高校生。 ある日、熱をだした妹にかわって彼女が予約したゲームを店まで取りにいくことに。 その帰り道、ユズイは階段から足を踏みはずして命を落としてしまう。 そこに現れた女神さまは「あなたはこんなにはやく死ぬはずではなかった、お詫びに好きな条件で転生させてあげます」と言う。 それに「チート転生がしてみたい」と答えるユズイ。 女神さまは喜んで願いを叶えてくれた……ただしBLゲーの世界で。 BLゲーでのチート。それはとにかく攻略対象の好感度がバグレベルで上がっていくということ。 このままではなにもしなくても総受けルートが確定してしまう! 男にモテても仕方ないとユズイはソロエンドを目指すが、チートを望んだ代償は大きくて……!? 溺愛&執着されまくりの学園ラブコメです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

処理中です...