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トルコ編〜イスタンブールの遊郭「ミラーボール」での日々〜

お母さんと妹②

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「お父さんね。二人をここに出してから、まじめに働くようになって、前みたいに穏やかなお父さんに戻ったの」

 お母さんは、そういいながら私たちがフランスを出てからの四年間の話をしてくれた。

 そして、一年前。ハルさんがフランスで、初めてお父さんに会ったときは、すごくイキイキしていたという。

「テッサちゃんと、エマちゃんの話をしたら、遊郭でもいいところがあるんだねって、すごく嬉しそうにしていて、それと同時に、二人に申し訳ないから会えないって言っていたんだ。でも、亡くなる一週間前に、病気が見つかって、死ぬ前に会いたいって言って、移住を決断してくれたんだ」

「移住することが、生きる希望になってたんだけど、進行が早くて、一週間後に亡くなってしまったわ」

 妹たちは、泣きながらその話を聞いてて、口々にこう言った。

「お母さんを殴っていたときのことは、今でもすごく覚えているけど、最後の四年間は、すごく優しいお父さんだった」

「お姉ちゃんたちに謝れなかったお父さんが可哀相だった」

 それを聞いた私とエマは、数少ない優しかったころのお父さんを思いだして、大号泣をした。

 ハルさんは、翌日フランスの大学に帰るという。でも、四月に卒業をしたらイスタンブールに、家を構えると言っていたので、また会えると思う。
 
 私とエマは、お母さんと二人の妹を養うために、このままミラーボールで、お世話になることになった。


 改めて、私のお母さんと、まだ紹介していなかった妹たちを紹介したい。

お母さんのアンナは四五才、優しくて、女性らしくて私の憧れの存在だ。イスタンブールに移住してからは昔やっていたアパレルの仕事をやるという。

三女のエミルは十歳。私たちが、ミラーボールに来たときは、まだ五歳だった。
四女のアニーは、八才。三歳のころに会ったきりなので、私やエマのことは覚えていないかと思ったけど、すぐに懐いてくれた。
エミルとアニーは、フランスで学校に通えていなかったため、四月から一年生として、イスタンブールの小学校に通うことになっている。

お母さん、エミル、アニーはミラーボールのすぐ近くに部屋を借りて、親子三人で、暮らすことになった。私とエマは、休みのたびに外出許可を取り、会いに行くことができた。本当は、お母さんがアパレルで働かなくても、私のお給料で生活できるのだが、お母さんが働きたいと言ったので、エミルとアニーの教育費だけを支払うことになった。


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