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トルコ編〜イスタンブールの遊郭「ミラーボール」での日々〜
怖い夜①
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ミラーボールにきて三年が経ち、私は十七歳。エマは、十六歳になっていた。
エマとアメリアさんは、年齢のこともあり、まだ裏方の仕事をしているが、私は、昨年の春から、ヘルプの業務に入ることが出来た。エマも、16歳なので、きっとすぐにヘルプになると思う。
「それじゃ、朝の報告を始めます」
ヘルプと客引きは、朝十時ごろに集められて健康観察後に、昨夜の報告などをする朝の報告を、行う。
朝の報告の司会をしている支配人のマリアさんは、三十歳。支配人になる五年位前まで、ミラーボールの客引き(お客さんの相手をする人)で、ナンバーワンの成績を収めていた人だ。
今日は、月に一度の昇格発表の日。私は、他人事のようにして昇格発表を聞いていた。
「テッサ」
急に私の名前が呼ばれ、なにごとかと思いながらも、元気よく返事する。
「今日から、客引きへ昇格とします」
「え?!」
私も驚いていたが、それよりも他のヘルプの先輩方の方が驚いていた。そして、私をよく思わない先輩が、居たのも事実である。
入った時に聞いていた、十九歳以上の役割である客引きを、入って二年、十七歳で任されるとは、思っていなかったが、冷静に考えて、とりあえず頑張らなくてはと責任に燃えていた。
夜になり、ミラーボールにお客さんが入ってくる。ミラーボールは、完全予約制なので、朝のご報告の時に、支配人が決めたお客様と夜に対面する形となる。
「テッサです」
私がご相手をするのは、四十代の新規のお客様で銀行のオーナーをしているお金持ちの方だった。
「君がテッサちゃんか。支配人から十七と聞いたときは驚いたが、綺麗でとても大人びている」
「ありがとうございます! お飲み物はどうされますか」
「それじゃ、ワインをもらおうかな」
そこから二時間が経ち……。
お客様は、いい感じに酔われて、支配人を呼んだ。お帰りかな? と思ったが、そうではなかった。
「テッサちゃんと二人で過ごしたいから個室を用意してくれ」
私は、その意味が分からなかった。この時まで、客引きが何をするのか分からなかった私は、遊郭は、お客様がお酒を飲む相手をする場所と思って信じて疑わなかったのだ。
二年前、怖がっていたのはお酒に酔った客がお父さんみたいに、暴力を振るう場所と思い込んでいたからで、まさかあんなことになろうとは、思いもしなかった。
確かに、お客様とキャストが消えることは良くあったが、自分のことで忙しかったため考える余裕もなく、ほかのキャストにそのことを、訪ねることもなかったため、今日まで、別室に行っていたことすら知らなかった。
「かしこまりました」
支配人は、そう言うと私とお客様を、二階の個室へと案内した。
その個室には、ベッドが一つ置いてあるだけだった。
エマとアメリアさんは、年齢のこともあり、まだ裏方の仕事をしているが、私は、昨年の春から、ヘルプの業務に入ることが出来た。エマも、16歳なので、きっとすぐにヘルプになると思う。
「それじゃ、朝の報告を始めます」
ヘルプと客引きは、朝十時ごろに集められて健康観察後に、昨夜の報告などをする朝の報告を、行う。
朝の報告の司会をしている支配人のマリアさんは、三十歳。支配人になる五年位前まで、ミラーボールの客引き(お客さんの相手をする人)で、ナンバーワンの成績を収めていた人だ。
今日は、月に一度の昇格発表の日。私は、他人事のようにして昇格発表を聞いていた。
「テッサ」
急に私の名前が呼ばれ、なにごとかと思いながらも、元気よく返事する。
「今日から、客引きへ昇格とします」
「え?!」
私も驚いていたが、それよりも他のヘルプの先輩方の方が驚いていた。そして、私をよく思わない先輩が、居たのも事実である。
入った時に聞いていた、十九歳以上の役割である客引きを、入って二年、十七歳で任されるとは、思っていなかったが、冷静に考えて、とりあえず頑張らなくてはと責任に燃えていた。
夜になり、ミラーボールにお客さんが入ってくる。ミラーボールは、完全予約制なので、朝のご報告の時に、支配人が決めたお客様と夜に対面する形となる。
「テッサです」
私がご相手をするのは、四十代の新規のお客様で銀行のオーナーをしているお金持ちの方だった。
「君がテッサちゃんか。支配人から十七と聞いたときは驚いたが、綺麗でとても大人びている」
「ありがとうございます! お飲み物はどうされますか」
「それじゃ、ワインをもらおうかな」
そこから二時間が経ち……。
お客様は、いい感じに酔われて、支配人を呼んだ。お帰りかな? と思ったが、そうではなかった。
「テッサちゃんと二人で過ごしたいから個室を用意してくれ」
私は、その意味が分からなかった。この時まで、客引きが何をするのか分からなかった私は、遊郭は、お客様がお酒を飲む相手をする場所と思って信じて疑わなかったのだ。
二年前、怖がっていたのはお酒に酔った客がお父さんみたいに、暴力を振るう場所と思い込んでいたからで、まさかあんなことになろうとは、思いもしなかった。
確かに、お客様とキャストが消えることは良くあったが、自分のことで忙しかったため考える余裕もなく、ほかのキャストにそのことを、訪ねることもなかったため、今日まで、別室に行っていたことすら知らなかった。
「かしこまりました」
支配人は、そう言うと私とお客様を、二階の個室へと案内した。
その個室には、ベッドが一つ置いてあるだけだった。
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