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すごくヤバい特別講師とダンジョンで修行

特別講師との死闘らしい

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 学校の訓練所で戦闘態勢の俺と、その背に乗って槍を構えているテイマーのキィナ。
 正面には全身黒い鎧で禍々しい大剣を両手で構え、腰にはエグい形の鉈を2本装備している特別講師。

 て言うかあの腰の2本の鉈、近くでよく見てみたところ、もしかしたらソードブレイカーとか呼ばれる類いの武器かもしれない。
 鉈のような形状ながら両刃で分厚く、片刃には切れ込みが沢山入っている。

 もし、あのギザギザ部分で切られたらズタズタにされるだろうな...

 てか、鞘着けろよ物騒だなおい!モ○ハン見たいな謎魔力か何かで腰にくっついてるのが良く解らん。
 背中に背負ってる大剣も、禍々しくトガトガしててて合う鞘がないのかそのまま背負ってるし...




 向かい合っていた俺らだが、最初はこちらから攻撃して構わないとのことで攻めることにした。
 まずはいつもの〈眠羽〉を、広範囲にばら撒く。鎧の隙間とか狙ってみたが、全て大剣で弾かれ鎧にすら当たらない。しかも幾つかこちらに打ち返して来た!
 しかも俺が放った時よりも、威力が上がってるじゃないか。これを受けたら俺の羽毛でも痛そうだ...!

 打ち返された眠羽を避けていると、特別講師が大剣を構えて突進して来た。
 全身鎧なのにかなり早い、なんとか右前足の爪で大剣を横から払うように弾く。

 そのまますれ違うように位置を入れ換える。その瞬間、背中のキィナが槍による連続突きを放つも、槍の先端に大剣の突きを合わして相殺される。

 とんでもない技量だなオイ!?大剣の突きで素早く飛ぶ蝿を的確に突くより難しいんじゃないか!?
 しかも威力の調節をして、キィナでも受け止められる範囲に押さえてやがるなこれ...!


 正直もう降参したい。だか、今回の授業は強者と戦うことで経験値を得るというコンセプトらしい。
 俺がキィナとしていた手合わせと同じだが...自分がやられる側に回ると、絶望感がとんでもないな。

 特別講師の背後に回るように動き、爪で何度か引っ掻くように攻撃を仕掛ける。しかし、それらは全て大剣で受け流され、しかも1発ごとにカウンターされて大剣の腹で殴られる。いてぇ。

 俺が何度か殴られた瞬間に、タイミングを見計らったキィナが俺の背から跳び上がり、特別講師へ上空から襲いかかる。
 それを見た臨時講師は大剣でそれに応じようとするも、俺が手数優先とばかりに〈羽矢〉を放ちながら再び爪で攻撃し、それらを大剣で受け止めざるを得ない状況を作る。
 すると特別講師は左手だけで大剣を盾にし、右手で腰の鉈を取り上空のキィナを迎撃する。

 思いっきり槍を突き立てようとするキィナ、その槍の先端に向けて鉈を振るわれる。
 すると、全体重を乗せていた一撃にも関わらず、片手で振るわれた鉈の威力に吹き飛ぶキィナ。俺が爪と嘴で攻めるも左手1本で大剣を上手く盾にし、ダメージが通らない...。

 ...もしかしてこいつ、片手で大剣振り回せるんじゃ...?

 とか更に絶望的なことが頭をよぎるも、一度間合いを取った特別講師は、右手の鉈を腰に仕舞い、両手で大剣を構え直す。
 片手で大剣を使うには負担が大きいのか、それとも俺ら相手に片手で大剣を振り回す必要すらないと思われているのか...後者でないことを祈ろう。


 吹っ飛ばされたキィナが戻ってきたが、今度は無謀にも特別講師に真っ向から向かっていった。
 槍を横に振るうキィナ、それに対して大剣を盾にする特別講師。
 槍を防がれたキィナはそのまま距離を詰め、ほぼ密着状態で防がれた穂先の逆、つまり槍の石突きで殴りかかる。
 しかしそれは届かず、腹を蹴られてしまい再び吹っ飛ばされる。

 だがめげずにまたすぐ復帰するキィナ、また真っ向から挑もうとしているので、今度は俺も手を出してみる。
 特別講師の後ろに俺が回り込み、正面をキィナに攻めて貰う...つもりが俺の方を向く特別講師。
 そりゃデカイ俺の方を警戒するか、と思いつつも爪で攻撃を始めるが全て防がれ、時々大剣の腹で痛い一撃を貰う。
 反対側のキィナの攻撃はほぼ避けられ、鎧による殴る蹴るの暴行を受けている。涙眼になって来てて、ちょっと可愛そう。

 とか考えていたら、一瞬特別講師がキィナの方を見て動きを鈍らせた。
 よく解らんがこれはチャンスと思い、立ち上がり前足で頭上から攻撃...に見せ掛け頭上を警戒させ、相手からしたら正面から放たれる後ろ足での前蹴りをお見舞いする。
 大剣での防御は間に合わず、腕でガードする特別講師。
 だが俺との体格差もあり、今度は特別講師が数メートル押し出される。

 てかフルフェイスな鎧のせいで大きく見えていたが、蹴った感じあまり中身は重くなさそうだし、よく見たらそこまで身長もそこまで大きくないな...中身は170cm未満くらいか?

 俺がなんとか一撃入れたところで、特別講師が俺らとの戦いの終了を宣言する。
 これ以上続けると、手加減しても重症を負わせてしまうかもしれない、とのこと。
 これを言うのが大したことない奴なら虚勢だと嗤えるが、ガチもんの実力者に言われるとマジ怖い。


 キィナも俺も打撲まみれなので、学校に勤めている回復魔法の使える人に癒して貰う。
 白い服を着た、保健室にいそうな歳上お姉さんタイプな先生が回復してくれた。

 特別講師も少しだけ回復魔法が使えるらしく、自身を軽く回復しているようだ。


 俺らの出番は終わり、特別講師は次に第2王子を指名し戦い始めている。
 第2王子と白竜と白狼VS特別講師、いくらなんでも人数差がキツそうだが、特別講師は大剣を背中に戻し、腰の鉈2本の二刀流で王子らを圧倒している。

 それにしてもあの鉈、随分と分厚いな...下手したら並のロングソードに近い重さはあるんじゃないか?


 第2王子チームは、なんとか白竜と白狼に足止めをさせ、〈ライト・ボール〉を撃ちまくり当てることに成功...した?
 実際は特別講師が裏拳でライト・ボールを弾いてたんだが、一発受けた扱いで構わないとのこと。

 第2王子はあまり納得してないみたいだが、特別講師としては鎧で攻撃を受けてしまったら終了、という扱いらしい。

 因みに、魔法を撃つ王子を守ろうとした白竜は大剣で殴られ、横から割り込んだ白狼は拳で吹き飛ばされ、距離を詰められた第2王子も何発か殴る蹴るの暴行を受け、そこに白竜たち従魔が割り込んで...と言った感じの試合内容だった。
 俺らと試合した時に比べて、王子達も更に強くなってたんだがな...

 それにしてとあの特別講師、王族にも容赦ないな。
 ...まぁ俺も第2王子との試合の時には睡眠毒盛りまくったけど。


 他の選ばれた人達は、俺とはあまり関わりのない人が多かった。だが、そこそこ強い人たちみたいだ。

 その中にキィナの知り合いが数人混ざってたらしく、大剣を使う鎧を着た茶髪の少年 槍を使う白髪の少女、もしゃもしゃした黒髪をツインテにした三角帽子の魔法使い系な少女達はキィナも認める実力者らしい。特に茶髪の大剣君はキィナと良い勝負ができるんだとか。

 キィナはテイマーメインな筈なのに、ガチガチの戦闘職と喜んでタイマンしてるのすげぇよな。

 彼ら3人が組んだチームは、結果的に見れば特別講師へなんとか1発だけ攻撃を当てていたが、ボコボコのアザだらけにされていた。
 彼らは一見、しっかりとした立ち回りに見えたけど、型通りな動き過ぎて対人ではバレバレと指摘されていた。子供に求めるレベルが高すぎる。


 そうそう、あの性格悪そうな弓使いの女も特別講師から選ばれてた。
 だけど、一緒のチームだった屑共は選ばれなかったらしく、1人で特別講師と戦う...予定だった。

 だが、そこに自分等が選ばれなかった事を認めない生徒が現れた。そう、あの屑共である。
 何をとち狂ったのか、全校試合の時弓女と一緒のチームだった屑共(屑な戦士風の男と、頭可笑しい魔法使い女と、サイコパス盗賊系女)と美味しそうな太った第1王子が無理矢理弓女のチームに加わり、特別講師に挑みかかったのだ。

 お前ら、俺らの戦い見てなかったの?

 特別講師も実力差を解っているからか、呆れを通り越して哀れみの視線を彼らに向けているようだ。

 結果は言わずもがな。即落ち2コマである。

 それでも弓女は屑共を上手く盾として扱い、弓で攻撃し、近づかれてもナイフで少しだけど粘ってたから、俺としては少し驚いた。
 あの女も俺らとの試合の時より、結構強くなってるみたいだ。

 だが結局屑共を盾にして放った矢は全て片手間に弾き飛ばされ、屑共が全員ボコボコにされた後に距離を詰められ、何回か殴られてしまい、自棄糞で振ったナイフが特別講師の鎧に掠り、なんとか1回攻撃を当てることはできていたが...あの特別講師の拳、男女平等すぎる。

 あ、屑共(+デブ王子)は結局不合格らしい。せめて前衛が守りに徹して、後衛が攻撃を当てられるよう努力すれば、特別講師も及第点位与えてやろうかと思っていたらしいが、まぁアイツ等には無理よな。殴られ損である。




 特別講師が全員との手合わせを行い、試合はこれにて終了となった。

 これからも、鍛えるために何回か手合わせしてやるとのことと、望むのであれば鍛えるための課題も出してやるとのこと。

 うへぇ、また剣の腹で殴られるのかぁ...キィナはあんだけ殴る蹴るの暴行を受けて、吹き飛ばされたのに嬉しそうにしてる。いろんな意味でヤバイ人ドM&戦闘狂にしか見えない。


 早速、キィナが強くなるために課題を欲しがり特別講師の元へ向かう。
 そこで何回か言葉を交わし、キィナが2枚の紙を貰ってきた。

 内容を覗いてみると、1枚目は今日から1週間行う、全校生徒の志願者全員が参加できる特別講師による特訓メニュー。
 2枚目はどうやら冒険者ギルドでの依頼で、今回選ばれた人の中で志願者のみ受注可能な、ダンジョンの探索をするといった内容の物らしい。

 2枚目のに関しては、「なんでこんなものを特別講師が持ってるんだ?」と疑問に思ったが、キィナが言うには「先生が発注してくれたのよ。」とのこと。

 この先生は態々一部の学生限定の依頼を作って冒険者ギルドに出し、しかも条件を達成できれば報酬もくれるんだとか。
 しかも、失敗したときのペナルティも無しと言う激甘設定。あれ?めっちゃ優しい...?

 「いや、騙されるな!きっと内容が極悪なんだ...!」、と思い中身を読んでみると、クロムラック王国近辺のダンジョンである〈姫と騎士の密やかな逢瀬〉というダンジョンの魔物の間引き、可能であれば最深部でボスの撃破という内容だった。
 しかも教育の為か、条件として黒騎士(特別講師)が同行し、指導を行うと書かれている。


 ...んーと、つまりはあれか?一部の学生限定の他国への修学旅行みたいなもんと考えればいいのかな?






 どうやら俺達は他国へ修行の旅に出掛けることになる、らしい。

____________________
○ラッツ・ブラーウ
 大剣を使う茶髪の少年。全身鎧と手甲による守りが硬く、年齢の割には珍しく守り重視な重戦士型の役割を果たしている。
 屑共のメンバーが、権力でキィナを強引にチームへ入れられ怪我をさせたと聞き、身分差もあり助けられなかったことを後悔し、チュラル、ローシャと共に屑共へ試合を申し込み、1度ボコボコにした気合いのある人。
 その後キィナを自分達のチームに誘うも、戦闘スタイルが合わないからと断られ少し落ち込んでる。

 キィナと同じ学年だが違う組で、キィナの担任の冴えない顔の先生であるガリウス・ブラーウの息子。


○チュラル・パールスピア
 槍を使う白髪の少女。キィナをお姉さまと慕っており、あの屑共にもキィナを解放するようにと、よく突っ掛かっていたらしい。
 キィナと似た戦闘スタイル、というか意識してキィナの真似しており、軽装で軽めの槍を振り回す戦闘スタイルである。
 しかし、テイマーとしての素質は無く、馬を使った騎乗戦闘で妥協している。
 でも生き物は好きで、ペットとしてコトリグリフォンという魔物を家で飼っている。

 キィナの家であるローズスピア家とは遠い親戚であり、血筋故かその身体は平坦である。


○ローシャ・ジスト
 もしゃもしゃした髪質の黒髪をツインテにした三角帽子の魔法使い。年齢にしては豊満な身体を気にして、ゆったりとした紫のローブを気に入っている。
 普段は大人しい性格だが、闇属性魔法の素質が高く、魔力が減るに連れて性格がハイに、攻撃が苛烈になる事から、周囲に距離を取られていた。ラッツに誘われてチームに入れて貰えたときは凄く喜んだんだとか。

 テイマーとしての素質も少しあり、黒猫とかカラスのような魔物をテイムしている。その為、魔女感が凄い。因みに家族も皆魔女っぽい。


○コトリグリフォン
 パッと見、ただの小鳥だが実はグリフォンのように足が4本ある。ただ、上半身はもふもふした小鳥、後ろ足はネズミからウサギ位までの小動物の体であり、基本的にあまり強くはない。身体の大きさは雀より大きい20cm~ウサギ位の40cm程度。
 普段は、そのもふもふの体に後ろ足をしまっている為、ただの鳥と見分けるのは難しいが愛玩動物として需要が高いらしい。




○ダンジョンについて
 一般的には、魔力の溜まった迷路や、塔等の建物のことを指す。
 元々あった洞窟等の空間がダンジョン化したり、唐突に地面に穴が開いて出来たり、手付かずの山に洞窟が出来たりするタイプがよく見られるが、稀な例として塔や神殿が地面から生えてきたり、時空の切れ目から亜空間への入り口が現れ、ダンジョンとしてその場に止まることもあったりする。

 中は階層で区切られており、最深部に向かう為には、ダンジョンによって上るのか下るのかが違う。
 大体洞窟型は下へ、塔型は上が最深部とされている。

 内部には魔物が住み着いており、入ってきた冒険者を餌として喰らおうと、若しくはダンジョンの糧にしようと襲ってくる。
 また、ダンジョンには魔力や餌となる魔物等が豊富なので、外の魔物も誘き寄せられ入っていくことが多い。


 浅い層には弱い魔物が出て、深い層には強い魔物が出る。
 これには理由があり、深くへ潜れば潜るほどダンジョンを漂う魔力の濃度が上がり、餌も豊富となるからだ。

 魔物としては、多くの魔力を吸収し、沢山の餌を喰って体を強くして行きたいという願望がある為、餌も魔力も豊富な地下へと誘き寄せられる。

 しかし、魔物がダンジョンの許容量を越えて増えすぎると、ダンジョンから魔物が吐き出され氾濫に繋がってしまう。
 その為、冒険者はダンジョンを見つけたらギルドに報告し、ギルドが時々冒険者を送り込むことで氾濫を防いでいる。

 一定階層毎にボスとなる魔物が現れ、冒険者の行く手を阻む。
 それらのボスを撃破し最深部へと辿り着くと、ダンジョンコアと呼ばれている魔石のような宝石と、それを守るボスモンスターがいる。

 コアを破壊すると迷宮に溜まる魔力が失くなり、魔物が沸き出ることもないただの洞窟(建造物)となる。

 コアも生きており捕まえようとすると抵抗してくる為、ダンジョンから持ち出すには基本的には割らなければならない。
 しかも一度壊してしまうと直すのはほぼ不可能とされる。
 壊れたダンジョンコアはただの魔石として扱われ、ダンジョンの踏破と引き換えで手に入るにしては安値で取引されてしまう。

 なのでダンジョンは最深部まで攻略しても、邪魔な立地だったり、間引きが難しい場所、放って置くには危険でなければ、繰り返し魔物が湧く資源として残しておくのがセオリー。

 新しく見つかったダンジョンの勝手にダンジョンコアをギルドの許可無く破壊すると、厳重注意や謹慎、もし有効活用できるダンジョンなら罰金。
 街の近く、低難易度でよく利用され、資源もよく取れるようなダンジョンのコアを勝手に破壊すると罰金の上、冒険者資格の剥奪、最悪奴隷落ちの刑に処される。また、その街の領主に処刑される可能性もある。

 尚、ダンジョンコア破壊禁止の通達は、ダンジョンに挑む冒険者全てにギルドの受付が説明する義務があり、ダンジョン前にも受付のある所だと、毎回口煩く言われる。


及第点きゅうだいてんって読むの初めて知ったキンドル氏(^q^)
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