28 / 52
大氾濫!?魔物が攻めてきた!!
大氾濫の王都防衛戦らしい
しおりを挟む
「野生で...生き...れが...の望...ね?」
「記憶は......ふむ...」
「...どね、じゃ...体がピッタリ...な?」
「...ぐれも...気を..?転生......神はノータッチ...!」
大氾濫が起きると言われた当日の朝。キィナは寝坊してた。
よく覚えてないけど俺もなんか変な夢見た気がするし、わざと寝坊しようか悩んだが、俺らが遅れて犠牲者が増えたり町が滅んだらなんとなく嫌だし、仕方なくキィナの部屋の窓から〈乱声〉で起こしてやった。
キィナは 混乱し 訳もわからず ベットから 転げ落ちた!!
これは面白い、今度からこれで起こすか。とか考えてたら、俺の乱声の余波を受けたキィナの両親に怒られた。
キィナも従魔にちゃんと言い聞かせるよう怒られてた。ペットを躾ておきなさい的な感じのやつだな。キィナからしたら泣きっ面に蜂...なんかごめんな?
俺の下らない野望が潰えたが、それは置いて置く。
それより町の一大事の方が大切だ。可愛そうな目に逢ったキィナもあまり騒がず、俺に乗り込んだのでギルドに一度向かう為に飛び立つ。
道中(空中?)は特に何も起きなかった。流石にあの糞兵士も忙しいようだ。たぶん。
ギルドへ到着した。中に入ると、人は多くないようで、クール系な受付さんが俺らを見つけると、早速何処を防衛して欲しいかといった説明をされた。
ここにいない他の冒険者の皆は、もう配置についているようだ。
俺らが任されたのはこの国の西側。正面で激戦が予想される南側じゃなくて良かった。
しかも街道がある方向なので、後から来るといわれている援軍にも期待できる。
だが、斥候からの情報とやらを聞くと、西側の敵の数が2番目に多いらしい。正面の南側が一番多く東側が3番目に少ない。
因みに北側には魔物は確認されていないが、緑騎士や近衛兵などの強い人たちが王族などの護衛と兼ねて監視しているとのこと。
こんな感じで軽く情報収集をしたキィナは、早速俺に乗り町の西へ向かう。
先程も少し気になってたが空高く飛ぶと、ここから遠くの森の手前に、軍隊の如く展開する魔物の群れが見える。
まるで地平線のように広がってるが、情報通り南側の群れが厚く、東側が薄い。そして俺らの向かう西はその中間くらい。
ただ単に魔物が群れて偶々あの形になったのかと考えるには楽観的すぎるし、人間に敵対してるという魔族の指揮で意図的にああなったんだろうな...だが俺には何を狙ってるのかがよく分からない。
案外なにも考えて無かったりしてな、あのポッチャリ系魔族も頭悪そうに見えたし。
西側の城壁前に着陸すると、既に冒険者や兵士で人集りができていた。
彼らは俺が来ても混乱することなく、作業をしている。度々攻撃してきたあの糞兵士とは大違いだ。
なにか手伝えることが無いか、とキィナが近くの兵に聞くと、城壁から落とす武器として使う岩とか油の運搬をお願いされたので、俺とキィナも手伝う。
そして遂に、魔物の群れが押し寄せてきた。
城壁から大勢の兵や冒険者たちが、魔法や弓を使い遠くの魔物へ攻撃している。
しかし敵の数が多くて、焼け石に水のような錯覚を覚える。だが、少しでも減らさないとな。
俺も上空から〈眠羽〉を無差別にばらまき援護する。眠羽が2~3本刺さったゴブリンは数秒で眠りに至り、倒れる。
すると後続の魔物がそれを踏み潰すコンボが発生するので、実質即死攻撃となっている。
因みにキィナは、使い捨ての木製の槍を持って来ており、それを城壁から投げている。弓は上手く使えないらしい。
だが威力はそこらの兵の弓とは比べ物にならず、木製の槍なのに1本でゴブリンを2~3匹ぶち抜くときもある。
よくあんな遠くまで槍投げられるな...
そんな感じで押し寄せる魔物を減らしていたが、削りきることはできず、魔物が城壁を登ろうとし始める。
しかもこの距離まで近づかれたからか、投石までしてきやがる。うわ、よく見たらあの糞猿までいやがる...
投げる槍が既に無くなってたキィナは、本領発揮とばかりに、兵と一緒に城壁を登りきりそうな魔物を槍で突く。
俺は城壁を登ろうとしている魔物を、飛びながら〈乱声〉で混乱させ落としたり、爪で引き裂き、時には群れからゴブリンを拐い、上空で見せしめのように喰ったりした。
足だけ食って上空から落とすのがお勧め、いい感じに叫び声を上げ落下してくれるから、敵の恐怖心を煽れる。
味方の人間も少し恐怖してるけど、まぁ気にしないでおく。
そんなことをして目立ったからか、敵の投石が俺の方を狙いだした。
いいぞ、これも狙い通りだ、下手したら石ころ1つで死にかねない人間が狙われるより、当たってもあまり効かない俺が、遠距離攻撃を引き受けるのが一番良い。
俺は優雅に全ての石を避け、あえて挑発する。当たっても殆ど痛くないが、そんな素振りを見せたら「投げても無駄」と思われてしまいかねない。なので敢えて避ける。
魔物共は優雅に避ける俺に憤慨したのか、投擲物が多くなる。あっぶね!!○ンコ混ざってる!!あんの糞猿!!
上空で投擲物を避けながらも、時々低空飛行で乱声をぶちまけたり、そのまま魔物を1匹拐って地上に投げつけたりして、戦場を掻き乱す。
あっ、味方の攻撃が手薄なところ狙ってやってるから味方の邪魔には殆どなってないと思う。
そんな戦況がしばらく続くと、魔物の数が減ってきたからか、魔物の群れの奥の方が見えるようになってきた。
そこにはあのときのぽっちゃり系魔族が馬のような魔物に乗っており、その周囲には大剣を背負った筋肉質で屈強なオーガが1匹と、普通のオーガが10匹前後いた。
大剣を持った目立つオーガがどうしても気になったので、鑑定してみる。
Lv 90
名前:ガジェル
種族名:オーガジェネラル
体力:1100/1100
魔力:300
攻撃:850
防御:550
魔攻:350
魔防:350
速さ:600
スキル
身体強化Lv7 咆哮Lv4 指揮Lv3 腕Lv7
牙Lv3 大剣Lv4 格闘Lv5 投擲Lv5
毒耐性Lv3 状態異常耐性Lv3 気配錯誤Lv2
SPスキル
感覚 言語理解
EXスキル
荒れ地の元ボス
...うわぁ
やべぇ、今の俺より攻撃力が半端なく高い。よくわかんねぇスキルもあるし、多分王子の白竜とタイマンさせたら、いくら竜でも負けるんじゃないか?
しかも鑑定したからか俺に視線が向いてる。木を引っこ抜き出した...おい、ちょっとまて、まさかそれを投げぅぃぇあッ!?
...やべぇ、やべぇしか言葉が出てこない。俺に向かって投げられた木は、距離が遠かったこともあり、なんとか避けることができたが...そのまま城壁にぶっ刺さりやがった。
攻城兵器だろ最早!?
と、取り敢えず俺が狙われている以上、ここにいると背後の城壁が持たない。街道の方へ少し誘導しよう。
鑑定連打や、届かないが眠羽を飛ばすことで挑発しながら(眠羽は下の魔物の群れに時々刺さってるが)、街道の方へ飛んで向かう。
すると1匹で来ようとするオーガジェネラル...長いから名前で呼ぶか、ガジェル。そしてそれを引き留めようとする魔族。
だが、ガジェルは魔族の制止を振り切り、俺の方へ好戦的な笑みを浮かべ向かって来る。ちょっと恐い。
それに魔族とオーガ数匹、他には森で出会ったのと同じくらいの規模である、100体近い魔物の群れも着いてくるようだ。
なにその無理ゲー?正直俺だけじゃ勝てないと思う。
だが!上空から街道の方を見た際に、かなり遠くだったが援軍らしき人の群れが見えたのだ。
〈本能〉で軽く確認した感じだと、そこそこ強い人達が結構混ざっている。
時間を稼いで彼らと協力すればきっと勝てる、俺はそう思ったからこそ、奴等を街道の方へ引き付けることにしたのだ。
街道で向かい合う俺と、オーガのガジェル。
だがなんと、知性が低いはずのオーガが饒舌に喋り出した。
内容は戦いが楽しみだとか、俺は3大欲求全てが戦いだとか、お前のような戦い方もまた参考になるとか...どうでもいい戦いのことばかりだ。
声帯が鳥である俺は、取り敢えず「クエェ。」「キィキィ。」とでも相槌を打っておく。
時間稼ぎができれば、それはそれでこちらとしても嬉しいしな。
だが、やつは突然変なことを言い出した。
なにやら、神がどうのとか言い出したのだ。正直よくわからないし、見た感じこいつは神なんて信じなさそうなタイプなのに。
「俺は神同士の戦争の駒として、この世界に連れてこられた。お前もそうなんだろう?俺の〈感覚〉がそう言っているのだ。間違いない。」
神の戦争については全く知らない。だが、他の世界から連れて来られたと言うコイツは...
俺は前足の爪で素早く文字を書く、「お前も地球人だったのか?」と日本語で。
すると奴は難なく文字を読み、懐かしいとまで言ってのけた。
何年前に転生してきたのかはまでは分からないが、コイツは日本人のようだな。間違いない。
しかもこいつが言うには、どうやら奴を転生させた神と、俺を転生させた神は敵対関係にあるとのこと、それが解るのも奴の感覚というスキルの影響らしい。
俺の本能みたいなものか?俺も奴に対して本能に問いかけてみる。
『奴は破壊神の駒だ。創造神の駒であるお前は奴の敵対者、だが無理に戦う必要はない。神にお前が望んだ通り、自由に生きると良い。』
ほ、本能さんの長文初めてみた...ていうか破壊神?創造神?俺が神に望んだ?さっぱりわからない!?
俺としては、元日本人同士で殺しあいをする事に多少の忌避感が...うん、無いな。襲ってくるなら殺して喰う、それだけだ。
奴は、そんな俺の心境に気が付いたのか殺気に反応したのか、殺る気満々といった表情で大剣を構える。
こいつを放置しておいたら城壁も破壊され、町も魔物に蹂躙されてしまうだろう。
それに強い相手ほど旨いと言うジンクスもあるから、奴を喰ってみたくもある。
俺も覚悟を決めることにした。
どうやら俺は大氾濫との戦いだけでなく、元日本人とも殺し合うことになる、らしい。
俺の相手を喰らおうとする思考回路は、どちらかと言えば破壊神サイドな気がするけど、まぁどうでもいいか。
____________________
○オーガジェネラル
オーガの進化系。物理方面に超強化されており、討伐には多くのCランク冒険者か、Bランク冒険者を数人集める必要があるとされている。
オーガキングに纏められている群れのこの個体は、全身鎧を着て大剣や斧等の大きく鋭い武器を持っていることが多い。
亜人系統の魔物は、群にキングが現れると、ジェネラルに進化しやすくなる傾向があるとされているが、単体でも条件さえ満たせば問題なく進化することはできる。
肉はただのオーガより味はいいが、肉が硬い。ひたすら硬いため、常人なら薄切りにして煮込んで食べるレベル。
今回のオーガジェネラルであるガジェルは、洒落にならないくらい強く、ぶっちゃけ更に上位であるオーガキングに届きそうな強さがあったりする。
「記憶は......ふむ...」
「...どね、じゃ...体がピッタリ...な?」
「...ぐれも...気を..?転生......神はノータッチ...!」
大氾濫が起きると言われた当日の朝。キィナは寝坊してた。
よく覚えてないけど俺もなんか変な夢見た気がするし、わざと寝坊しようか悩んだが、俺らが遅れて犠牲者が増えたり町が滅んだらなんとなく嫌だし、仕方なくキィナの部屋の窓から〈乱声〉で起こしてやった。
キィナは 混乱し 訳もわからず ベットから 転げ落ちた!!
これは面白い、今度からこれで起こすか。とか考えてたら、俺の乱声の余波を受けたキィナの両親に怒られた。
キィナも従魔にちゃんと言い聞かせるよう怒られてた。ペットを躾ておきなさい的な感じのやつだな。キィナからしたら泣きっ面に蜂...なんかごめんな?
俺の下らない野望が潰えたが、それは置いて置く。
それより町の一大事の方が大切だ。可愛そうな目に逢ったキィナもあまり騒がず、俺に乗り込んだのでギルドに一度向かう為に飛び立つ。
道中(空中?)は特に何も起きなかった。流石にあの糞兵士も忙しいようだ。たぶん。
ギルドへ到着した。中に入ると、人は多くないようで、クール系な受付さんが俺らを見つけると、早速何処を防衛して欲しいかといった説明をされた。
ここにいない他の冒険者の皆は、もう配置についているようだ。
俺らが任されたのはこの国の西側。正面で激戦が予想される南側じゃなくて良かった。
しかも街道がある方向なので、後から来るといわれている援軍にも期待できる。
だが、斥候からの情報とやらを聞くと、西側の敵の数が2番目に多いらしい。正面の南側が一番多く東側が3番目に少ない。
因みに北側には魔物は確認されていないが、緑騎士や近衛兵などの強い人たちが王族などの護衛と兼ねて監視しているとのこと。
こんな感じで軽く情報収集をしたキィナは、早速俺に乗り町の西へ向かう。
先程も少し気になってたが空高く飛ぶと、ここから遠くの森の手前に、軍隊の如く展開する魔物の群れが見える。
まるで地平線のように広がってるが、情報通り南側の群れが厚く、東側が薄い。そして俺らの向かう西はその中間くらい。
ただ単に魔物が群れて偶々あの形になったのかと考えるには楽観的すぎるし、人間に敵対してるという魔族の指揮で意図的にああなったんだろうな...だが俺には何を狙ってるのかがよく分からない。
案外なにも考えて無かったりしてな、あのポッチャリ系魔族も頭悪そうに見えたし。
西側の城壁前に着陸すると、既に冒険者や兵士で人集りができていた。
彼らは俺が来ても混乱することなく、作業をしている。度々攻撃してきたあの糞兵士とは大違いだ。
なにか手伝えることが無いか、とキィナが近くの兵に聞くと、城壁から落とす武器として使う岩とか油の運搬をお願いされたので、俺とキィナも手伝う。
そして遂に、魔物の群れが押し寄せてきた。
城壁から大勢の兵や冒険者たちが、魔法や弓を使い遠くの魔物へ攻撃している。
しかし敵の数が多くて、焼け石に水のような錯覚を覚える。だが、少しでも減らさないとな。
俺も上空から〈眠羽〉を無差別にばらまき援護する。眠羽が2~3本刺さったゴブリンは数秒で眠りに至り、倒れる。
すると後続の魔物がそれを踏み潰すコンボが発生するので、実質即死攻撃となっている。
因みにキィナは、使い捨ての木製の槍を持って来ており、それを城壁から投げている。弓は上手く使えないらしい。
だが威力はそこらの兵の弓とは比べ物にならず、木製の槍なのに1本でゴブリンを2~3匹ぶち抜くときもある。
よくあんな遠くまで槍投げられるな...
そんな感じで押し寄せる魔物を減らしていたが、削りきることはできず、魔物が城壁を登ろうとし始める。
しかもこの距離まで近づかれたからか、投石までしてきやがる。うわ、よく見たらあの糞猿までいやがる...
投げる槍が既に無くなってたキィナは、本領発揮とばかりに、兵と一緒に城壁を登りきりそうな魔物を槍で突く。
俺は城壁を登ろうとしている魔物を、飛びながら〈乱声〉で混乱させ落としたり、爪で引き裂き、時には群れからゴブリンを拐い、上空で見せしめのように喰ったりした。
足だけ食って上空から落とすのがお勧め、いい感じに叫び声を上げ落下してくれるから、敵の恐怖心を煽れる。
味方の人間も少し恐怖してるけど、まぁ気にしないでおく。
そんなことをして目立ったからか、敵の投石が俺の方を狙いだした。
いいぞ、これも狙い通りだ、下手したら石ころ1つで死にかねない人間が狙われるより、当たってもあまり効かない俺が、遠距離攻撃を引き受けるのが一番良い。
俺は優雅に全ての石を避け、あえて挑発する。当たっても殆ど痛くないが、そんな素振りを見せたら「投げても無駄」と思われてしまいかねない。なので敢えて避ける。
魔物共は優雅に避ける俺に憤慨したのか、投擲物が多くなる。あっぶね!!○ンコ混ざってる!!あんの糞猿!!
上空で投擲物を避けながらも、時々低空飛行で乱声をぶちまけたり、そのまま魔物を1匹拐って地上に投げつけたりして、戦場を掻き乱す。
あっ、味方の攻撃が手薄なところ狙ってやってるから味方の邪魔には殆どなってないと思う。
そんな戦況がしばらく続くと、魔物の数が減ってきたからか、魔物の群れの奥の方が見えるようになってきた。
そこにはあのときのぽっちゃり系魔族が馬のような魔物に乗っており、その周囲には大剣を背負った筋肉質で屈強なオーガが1匹と、普通のオーガが10匹前後いた。
大剣を持った目立つオーガがどうしても気になったので、鑑定してみる。
Lv 90
名前:ガジェル
種族名:オーガジェネラル
体力:1100/1100
魔力:300
攻撃:850
防御:550
魔攻:350
魔防:350
速さ:600
スキル
身体強化Lv7 咆哮Lv4 指揮Lv3 腕Lv7
牙Lv3 大剣Lv4 格闘Lv5 投擲Lv5
毒耐性Lv3 状態異常耐性Lv3 気配錯誤Lv2
SPスキル
感覚 言語理解
EXスキル
荒れ地の元ボス
...うわぁ
やべぇ、今の俺より攻撃力が半端なく高い。よくわかんねぇスキルもあるし、多分王子の白竜とタイマンさせたら、いくら竜でも負けるんじゃないか?
しかも鑑定したからか俺に視線が向いてる。木を引っこ抜き出した...おい、ちょっとまて、まさかそれを投げぅぃぇあッ!?
...やべぇ、やべぇしか言葉が出てこない。俺に向かって投げられた木は、距離が遠かったこともあり、なんとか避けることができたが...そのまま城壁にぶっ刺さりやがった。
攻城兵器だろ最早!?
と、取り敢えず俺が狙われている以上、ここにいると背後の城壁が持たない。街道の方へ少し誘導しよう。
鑑定連打や、届かないが眠羽を飛ばすことで挑発しながら(眠羽は下の魔物の群れに時々刺さってるが)、街道の方へ飛んで向かう。
すると1匹で来ようとするオーガジェネラル...長いから名前で呼ぶか、ガジェル。そしてそれを引き留めようとする魔族。
だが、ガジェルは魔族の制止を振り切り、俺の方へ好戦的な笑みを浮かべ向かって来る。ちょっと恐い。
それに魔族とオーガ数匹、他には森で出会ったのと同じくらいの規模である、100体近い魔物の群れも着いてくるようだ。
なにその無理ゲー?正直俺だけじゃ勝てないと思う。
だが!上空から街道の方を見た際に、かなり遠くだったが援軍らしき人の群れが見えたのだ。
〈本能〉で軽く確認した感じだと、そこそこ強い人達が結構混ざっている。
時間を稼いで彼らと協力すればきっと勝てる、俺はそう思ったからこそ、奴等を街道の方へ引き付けることにしたのだ。
街道で向かい合う俺と、オーガのガジェル。
だがなんと、知性が低いはずのオーガが饒舌に喋り出した。
内容は戦いが楽しみだとか、俺は3大欲求全てが戦いだとか、お前のような戦い方もまた参考になるとか...どうでもいい戦いのことばかりだ。
声帯が鳥である俺は、取り敢えず「クエェ。」「キィキィ。」とでも相槌を打っておく。
時間稼ぎができれば、それはそれでこちらとしても嬉しいしな。
だが、やつは突然変なことを言い出した。
なにやら、神がどうのとか言い出したのだ。正直よくわからないし、見た感じこいつは神なんて信じなさそうなタイプなのに。
「俺は神同士の戦争の駒として、この世界に連れてこられた。お前もそうなんだろう?俺の〈感覚〉がそう言っているのだ。間違いない。」
神の戦争については全く知らない。だが、他の世界から連れて来られたと言うコイツは...
俺は前足の爪で素早く文字を書く、「お前も地球人だったのか?」と日本語で。
すると奴は難なく文字を読み、懐かしいとまで言ってのけた。
何年前に転生してきたのかはまでは分からないが、コイツは日本人のようだな。間違いない。
しかもこいつが言うには、どうやら奴を転生させた神と、俺を転生させた神は敵対関係にあるとのこと、それが解るのも奴の感覚というスキルの影響らしい。
俺の本能みたいなものか?俺も奴に対して本能に問いかけてみる。
『奴は破壊神の駒だ。創造神の駒であるお前は奴の敵対者、だが無理に戦う必要はない。神にお前が望んだ通り、自由に生きると良い。』
ほ、本能さんの長文初めてみた...ていうか破壊神?創造神?俺が神に望んだ?さっぱりわからない!?
俺としては、元日本人同士で殺しあいをする事に多少の忌避感が...うん、無いな。襲ってくるなら殺して喰う、それだけだ。
奴は、そんな俺の心境に気が付いたのか殺気に反応したのか、殺る気満々といった表情で大剣を構える。
こいつを放置しておいたら城壁も破壊され、町も魔物に蹂躙されてしまうだろう。
それに強い相手ほど旨いと言うジンクスもあるから、奴を喰ってみたくもある。
俺も覚悟を決めることにした。
どうやら俺は大氾濫との戦いだけでなく、元日本人とも殺し合うことになる、らしい。
俺の相手を喰らおうとする思考回路は、どちらかと言えば破壊神サイドな気がするけど、まぁどうでもいいか。
____________________
○オーガジェネラル
オーガの進化系。物理方面に超強化されており、討伐には多くのCランク冒険者か、Bランク冒険者を数人集める必要があるとされている。
オーガキングに纏められている群れのこの個体は、全身鎧を着て大剣や斧等の大きく鋭い武器を持っていることが多い。
亜人系統の魔物は、群にキングが現れると、ジェネラルに進化しやすくなる傾向があるとされているが、単体でも条件さえ満たせば問題なく進化することはできる。
肉はただのオーガより味はいいが、肉が硬い。ひたすら硬いため、常人なら薄切りにして煮込んで食べるレベル。
今回のオーガジェネラルであるガジェルは、洒落にならないくらい強く、ぶっちゃけ更に上位であるオーガキングに届きそうな強さがあったりする。
0
お気に入りに追加
378
あなたにおすすめの小説
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
★恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
連載希望のコメントをいただきましたので、
連載に向け準備中です。
*他サイトでも公開中
日間総合ランキング2位に入りました!
あれ?なんでこうなった?
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、正妃教育をしていたルミアナは、婚約者であった王子の堂々とした浮気の現場を見て、ここが前世でやった乙女ゲームの中であり、そして自分は悪役令嬢という立場にあることを思い出した。
…‥って、最終的に国外追放になるのはまぁいいとして、あの超屑王子が国王になったら、この国終わるよね?ならば、絶対に国外追放されないと!!
そう意気込み、彼女は国外追放後も生きていけるように色々とやって、ついに婚約破棄を迎える・・・・はずだった。
‥‥‥あれ?なんでこうなった?
ドアマットヒロインはごめん被るので、元凶を蹴落とすことにした
月白ヤトヒコ
ファンタジー
お母様が亡くなった。
それから程なくして――――
お父様が屋敷に見知らぬ母子を連れて来た。
「はじめまして! あなたが、あたしのおねえちゃんになるの?」
にっこりとわたくしを見やるその瞳と髪は、お父様とそっくりな色をしている。
「わ~、おねえちゃんキレイなブローチしてるのね! いいなぁ」
そう、新しい妹? が、言った瞬間・・・
頭の中を、凄まじい情報が巡った。
これ、なんでも奪って行く異母妹と家族に虐げられるドアマット主人公の話じゃね?
ドアマットヒロイン……物語の主人公としての、奪われる人生の、最初の一手。
だから、わたしは・・・よし、とりあえず馬鹿なことを言い出したこのアホをぶん殴っておこう。
ドアマットヒロインはごめん被るので、これからビシバシ躾けてやるか。
ついでに、「政略に使うための駒として娘を必要とし、そのついでに母親を、娘の世話係としてただで扱き使える女として連れて来たものかと」
そう言って、ヒロインのクズ親父と異母妹の母親との間に亀裂を入れることにする。
フハハハハハハハ! これで、異母妹の母親とこの男が仲良くわたしを虐げることはないだろう。ドアマットフラグを一つ折ってやったわっ!
うん? ドアマットヒロインを拾って溺愛するヒーローはどうなったかって?
そんなの知らん。
設定はふわっと。
異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。
そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。
【カクヨムにも投稿してます】
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?
水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが…
私が平民だとどこで知ったのですか?
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる