上 下
11 / 52
従魔になってみた

従魔としての生活が始まったらしい

しおりを挟む
 俺は従魔見習いになった、キィナもテイマー見習いらしい。お揃い。

 従魔になった俺は早速、飼い主となったキィナの家へとお呼ばれすることになった。なんでも、家族へ紹介したいとのことらしい。
 まぁ、ペット飼ったら親に説明しないといけないだろうしな。

 従魔となれば、モンスターである俺でも町中を出歩けると言われた為、キィナを乗せて王都の門まで堂々と飛んでみた。




 ...の、だが...




 王都の門番や見張りらしき人が、空を飛んでいる俺の姿を見るや否や、高い音のする笛をピーッ!と鳴らし出した。

 すると門から大量の兵がわらわらと出てきて、此方に槍や弓を向けている。人が背中に乗っているのが見えないのか?

 ...でもよく見ると武器を構えてるのはいいものの、兵達ほぼ全員の腰が引けてるのだが...それでいいのか王都の兵達よ。


 取り敢えず、距離を置いて着陸。従魔であることを説明して貰うことにしようと思い、キィナを降ろす。

 兵達の隊長っぽい奴に、キィナが俺のことを従魔だと説明するも、信じてもらえてないみたいだ、何故だ。

 なんか隊長っぽい奴が、伝承が~とか、魔王の使いだとか、悪夢だとか、って単語が聞こえるんだがなんの話だか俺にはさっぱりわからない。


 キィナが無害さをアピールして欲しい的なことを言い出したので、もう一度キィナを乗せてみたり、お手をしてみた。鳥の前足で優しく。

 オマケに一発芸のつもりで、虹色にはなれないが、PINPIN(約:ちん○ん)って感じで鳴いた後に上半身を超速でぐるぐるしてみたらかなりビビられて、矢を1本射られてしまった。

 ぐるぐるのついでに避けたし、多分動揺してて放った矢で威力も乗ってなかったから、当たっても羽毛に弾かれる程度の威力だったとは思われるが少しショックだった。文化が通じない、カルチャーショックだ。

 ビビってる生き物に激しい動きダメ、絶対。

 キィナは従魔としての繋がりがあり、俺の意志がある程度伝わってるせいか、すっごく笑いを堪えてる...この娘の笑いのツボ浅くない?息が苦しい?そんなんで大丈夫か、飼い主よ...PINPIN(約:ち○ちん)。

 あ、キィナ笑い死にそう()


 ...その後もなんとか他の兵相手に、愛らしく無害そうに振る舞ってみた甲斐あってか、人を襲わないことは信じて貰えたらしい。

 兵の中には信じられないとか言ってる声が複数聞こえるが。俺が何をしたというのだ。




 まぁ、なんやかんやあったけれども、やっと町に入ることが出来た。

 門を抜け街中を見渡すと、鎧を着て大きな武器を背中に背負ったファンタジーな姿な人とかが割りと普通にいる。
 俺の方が上半身が猛禽類、下半身ライオンでかなりファンタジーなのだが。

 それにしても矢鱈と注目される。従魔を連れてる人も俺ら以外にもかなり多くいるんだが...何故か俺を注目する人が多い。
 小さいドラゴンとかでかい触手とか、パンダみたいな従魔連れてる奴いるんだから、そっち見ろよ。

 因みに、ぬたぬたしたイソギンチャクみたいな触手モンスターを連れていて、禿げ頭のデブで日焼けをしていて、上半身裸のグラサン姿のおっさんは、周囲の女性から軽蔑の視線を一身に受けている。

 あれがどういう魔物なのか、初めて見たのに俺は察してしまった。察したくなかった。
 



 暫く歩いていると、キィナが、そろそろ家に着くとの事。
 たかが一般市民の家だろうと高を括っていたが...着いた先はなかなかの豪邸である。

 予想外の事に少し戸惑うも、キィナが中に入っていいと誘ってくる。
 室内にグリフォンを入れて良いのか疑問に思うも、本人は気にしてなさそうなのでお邪魔する事にした。家がデカいから俺でも入れる。

 中に入ると、執事服をビシッと決めたおじ様が表れる。俺の事はチラッと見ただけで、「お帰りなさいませ、お嬢様」とか言ってる。

 執事も雇えるとは相当な金持ちでは?と思いつつ執事の後ろから視線を感じたので、覗き込むようにして見てみると、20代後半位の顔をしていて(多分)、しっかりとした服を着た男女が此方を見ている。

 キィナがお父さんお母さんとか言ってるから家族だろう。俺もお辞儀をしてみる。
 父っぽい人が、「礼儀正しいじゃないか、一先ずは合格だ。」的な事を言ってる。娘を嫁に出す父親かお前は。俺は鳥だぞ、ペットだ。

 俺のお辞儀が功を成したのか、キィナの両親は俺をすんなり受け入れてくれたようだ。


 とまぁ、キィナの家族に受け入れられたのはいいんだが...
 俺、グリフォンは今、少し悩んでいる。執事に紅茶を出されたんだが...嘴でどう飲めと?


 俺は今、キィナの家にて紅茶を前にお話が始まった。これが貴族のティータイムとやらなのだろう。

 お話の内容は、どうやらキィナが森の中で黒いグリフォンに助けられた話を既にしていたらしくそのお礼っぽい。

 キィナの父がなんか感謝の言葉を述べてるっぽいけど、そんなことよりこの紅茶をどう飲めばいいのか...

  キィナの話は続き、一緒に組んでいた仲間に見捨て死にかけたところを話している。
 キィナの両親は憤慨しているも、どうやら相手の家の方が格が高いようで、どうしようもないらしい。

 キィナの家族は貴族らしいが、格は低い方なんだとか。俺、鳥頭だから男爵だとかなんとか言われても難しいことは覚えられない...

 とりあえず俺は話を半分くらい聞き流しながら、紅茶の飲み方を閃いたので、風魔法でカップを浮かせ、上を向いて口を開け、紅茶を口の中へ流し込む。
 軽いものなら持ち上げられるよう練習していた甲斐があった。

 そんな様子を驚いたように見る回りの人達。流石にマナーが悪かったかと思ったが、どうやら「今のは風魔法か!」「こんなに精密な動きが...」など言っているので魔法で物を浮かせたことに驚いているらしく、少し誇らしい。

 でも紅茶は少し熱かった。


 家族への紹介が済み、俺は巣に戻る事にした。
 庭に俺用の小屋を作ってくれるらしいが、まだ建設途中らしくキィナが謝ってきたけど、元々向こうの巣で暮らすつもりだったから問題ではない。

 こちらに作ってくれる小屋は、この家に滞在する必要がある時のみ使おうと思う。


 キィナは怪我で少し休んでいたが、明日から学校があるらしく、その授業で俺を呼ぶかもしれないから日中は起きてて欲しいとキィナから頼まれた。

 俺はそれに了承し、森に一度帰る為に屋敷の庭から森へ向かって飛び立った。




 おいそこの兵士、弓引くなや、あぶねぇだろうが。




 後日、兵からの謝罪と共に、門の外へ出る際には主人と共に門から出て欲しいと注意を受けた。

 町中で魔物が単独で行動するのは基本駄目らしい、次からはキィナが俺を巣に送還出来るように、巣に魔力でマーキングしてくれた。

 分かりやすく説明すると、テイマーの【サモンリターン】というもので、俺を巣まで送り返すことができるらしい。
 忘れてたみたいだけど、そんな便利なことができるなら、忘れないで最初からしてくれと思ってしまう。




こうして、なんやかんやあったけれども俺の獣魔生活が始まった、らしい。

______________________

一発芸、partyグリフォン(^(^(^q^)^)^)

○ケイ・ローズスピア
 キィナの父親の名前。主人公は人の名前を殆ど覚えてないから、気にしなくてもいい。一応男爵家当主。
 軽槍の使い手で、キィナに槍を教えた。そこそこ強い。


○ナーキ・ローズスピア
 キィナの母親の名前。キィナの名前は両親の名前を混ぜた感じにしたとのこと。
 体術が得意で、体の使い方をキィナに教えた。あと、過去に毒を盛られたことがあり、娘の状態異常も鍛えている。優しそうに見えて結構スパルタ。


○小さいドラゴンについて
 下位の竜ならば、金さえあれば買うことも可能。
 ただし、進化させるには特殊な条件を満たしたり、年月が必要だったり、多くの魔物を狩らせないといけない為、一般人では1回くらいしか進化させることが出来ない。
 なので、中位以上の竜種は滅多に見られない。

 購入する際には蜥蜴系の魔物と間違わないように。
 見分け方としては、大体の竜は手足と羽を合わせて6本、蜥蜴系は手足or羽と足で合わせて4本というのが定説である。
 蜥蜴系は大体細長くしなやかな体つきの種類が多い、体温調節が苦手、知能が低い、舌がチョロチョロして細長い、臆病で真面目なのが多い。
 竜の外見は種類による個性が強く見分けるのが難しいが、体温調節ができて、知能が高く、角が生えていたりとゴツいものが多い。大きくなると自分の力に酔い、傲慢になるのが多い。
 

○パンダみたいな従魔について
 ベアー系の魔物で、草食。大きめの魔物の中では飼いやすく、値段は高いが人気。
 力持ちで愛情次第で、力仕事を手伝ってくれたり、いざというときは飼い主を守ってくれることも。
しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

俺の娘、チョロインじゃん!

ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ? 乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……? 男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?  アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね? ざまぁされること必至じゃね? でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん! 「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」 余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた! え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ! 【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生墓守は伝説騎士団の後継者

深田くれと
ファンタジー
 歴代最高の墓守のロアが圧倒的な力で無双する物語。

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった! でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、 他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう! 主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!? はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!? いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。 色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。 *** 作品について *** この作品は、真面目なチート物ではありません。 コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております 重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、 この作品をスルーして下さい。 *カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。

婚約破棄された王女は最強

紅 蓮也
ファンタジー
世界で一、二を争う大国であるローズナイト王国の第一王女であるマリン・ローズナイトは留学先である隣国の学院を卒業式したので帰国し、王城でのパーティーで婚約者となった際の顔見せで一度のだけ会ったことのあるマルベール公爵令息に突然、身に覚えのないことを理由に婚約破棄だと言われた。 マリンとしても会ったのも一度だけだし、国王陛下である父に言われて婚約しただけで、恋愛感情皆無だったので、身に覚えのない噂が広がるのはよくないので婚約破棄の理由を看破した上で婚約破棄に応じた。 マリンは父である国王陛下に謝られたので、王族籍から抜けて冒険者になる許しをもらうことにした。 王位は王太子である兄がいるし、ローズナイト王国は女王も認めているけどマリンは興味がなかったし、兄にもしものことがあっても第二王子である弟がいるから大丈夫だろうと思っている。 国王の父、王妃の母、王太子の兄、第二王子の弟、王弟で宰相の叔父から反対されたがなんとか王族籍を残したまま冒険者をするならと認めてもらった。 翌日、冒険者ギルドに出向き冒険者登録を済まし、マリンの冒険者としての第一歩がスタートした。 不定期連載

友人に可愛い女の子紹介してって言ったら、グリフォンを紹介されました

鯨井イルカ
恋愛
 可愛い恋人を求める主人公の佐藤ヒロシが、友人の山本アツシに若干ずれた女の子(?)たちを紹介される、短いラブコメディ。

処理中です...