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第2章
最終話 フレルヴェ領の儀式
しおりを挟むセフィロス様から沢山のプレゼントと一緒に儀式用のドレスが届いた。
聖法衣の生地なのにパーティー用のデザインで、チューブトップが共布の大きなリボンになっていて凄く可愛い。
マーメード型のスカート部分には金の刺繍がふんだんに入っていてとっても豪華だ。ブーケをそのままドレスにしたような素敵なドレスでテンションが上がる。
「聖法衣の工房にお嬢様専属のデザイナーを雇ったとか。猊下も粋ですねぇ。聖法衣は教会以外が作る事を禁止されております故」
——心踊る時となる事を祈って
黒華の聖女へ
貴方の兄より
「ねぇじいや、この黒華の聖女って私の事だよね?」
「聖典に新しく載ったそうですよ。お嬢様のお名前をそのまま載せる訳にはいかないのでその様な通り名がつけられたのでしょうねぇ。イレイの花を持ち、黒のリボンで髪を飾るお姿だそうです」
「……………………最悪だ」
「ふぉっふぉっふぉっ。新刊の聖典は既に売り切れだとか。坊ちゃまが取り寄せておりました故、公爵家にも一冊届いているはずでございます」
「………………………………すぐさま封印して」
「ふぉっふぉっふぉっ」
◇◆◇
「セフィロス様!」
フレルヴェの主教会の聖堂前で、セフィロス様とフレルヴェ騎士団の方々が礼の姿勢で出迎えてくれたので思わず駆け寄った。
「ようこそおいで下さいました。泣き顔ではないお顔が拝見できて、安心致しました」
「セフィロス様のおかげです!」
「わ~駆け寄っちゃった~!猊下の株あがっちゃってるね~!これはマズイ~どうやったらここまで好感度あがるのさ~!」
「今回リリ嬢の気持ちに一番寄り添われたのは猊下ですからね。経験値が違います」
「猊下まで狙ってんのかよ!?うそだろ……あんな大物誰も勝てねぇよ!!俺の運命なのに!!」
「姫様……あれ多分猊下の事割と好きになってませんか……?」
「兄貴枠だろ、クソが」
「どうだかな。シェイド以外で駆け寄る男はアイツだけだな。お前が妬いてるのも、アイツだけだ」
「……………………………………チッ」
「リリ様、グラセン公は儀式前にフレルヴェの騎士団と打ち合わせがありますのでその間私たちは湖のガゼボでお茶を致しましょうか」
「はい!懐かしいです!」
「はは、あの場所がお好きなご様子でしたので、私の主催させて頂く儀式はフレルヴェからと、決めていたのですよ」
「ふふふ、ありがとうございます。嬉しいです」
「ドレス、よくお似合いですよ。美しさでフレルヴェが浄化されるようですね」
やっぱりセフィロス様は前と比べてスッキリしたお顔をしている気がする。
余裕があるというか。
こっちのセフィロス様の方が彼らしい。
「可愛いドレスをありがとうございました。儀式にも楽しみができて嬉しいです」
「貴方の為なら私はなん『では、私の婚約者をよろしくお願いします。義兄さん』
シェイド様がずいと間に入って来て驚く。
「おや、あなたに言われずとも彼女の幸せが私の幸せですので」
シェイド様、青筋たっててめっちゃ怖い!!セフィロス様笑顔なのに全然目が笑ってない!セリフは穏やかなのに、視線で喧嘩してる!!ほんとに仲悪いな!!
「喧嘩しないで?」
「してねぇ」
「しておりませんよ」
「ふふふ、シェイド様、心配しないで?」
「…………チッ、護衛はつけるからな?いい子にしてろ」
「はーい」
「僕がつく~!猊下の技を間近で見たい~!」
「僕も……」
「アホか、お前らはこい。思春期小僧、お前がつけ。傷一つつけるな」
「よっっっしゃ!!!」
「え~~フレルヴェの騎士団、むさいからやだ~」
「野郎の巣に行くより俺もこっちがいい」
「はぁ、アレックス殿まで。参謀が行かなくてどうするんですか。私もこちらがいいですが」
「うちは馬鹿ばっかりだな!!!」
「ふふふ、いってらっしゃい。フレルヴェの団長様が待ってますよ?」
「はぁ、これが国内最強の騎士団とは……義弟君、急ぎなさい」
「………………チッ」
◇◆◇
セフィロス様主催の儀式はもう会場から全てが違っていた。
聖堂の中央にガラスの祭壇が設置されていて、金刺繍の聖協会の模様が入ったベール生地の様な布が天蓋からかけられて、私はその中で祈る様だった。
百合に似た花がたくさん飾ってあって、祭壇の奥に天使の像が手を下方に伸ばした姿で設置され、祭壇に肘をおいて跪くと、ちょうど私の頭の上に天使様の手がかざされる位置にある。
薄暗い聖堂のそこかしこにガラスの灯籠が浮かび、神秘的な空間ができあがっている。
「セフィロスさま、すごい……」
「はは、儀式は元々教会の得意分野ですから。気に入っていただけたなら何よりです。さぁ、イレイの花束をお作りになるのでしょう?」
「ん~、ここまでご準備下さってあればいらないかも?あれは神饌の……捧げ物のつもりでした。もしお酒と小麦があれば祭壇に置いて下さいますか?」
「すぐに準備いたしましょう。では、これを」
そう言って渡してくれたのは、ガラスでできたイレイの花の枝だった。
花の部分は透き通る黒いガラスが使われていて、細い枝葉の部分は透明でキラキラと光が反射している。
「すごく可愛い!」
「私から黒華の聖女へのプレゼントです」
「いつも沢山いただいているのに……」
「ほんの気持ちですよ。兄は妹が可愛いのです」
「ふふふ、セフィロス様がお兄様なら、幸せですね」
セフィロス様にエスコートされて祭壇に進む。
フレルヴェ騎士団のシルバーの鎧を着た騎士様が魔熱患者一人につき一人しっかり付いて見張っている。
聖堂の壁付近にはグラセン騎士団の騎士様もいて、シェイド様たちは祭壇に近い所で後ろ手に手を組んで警備について下さっていた。
シェイド様が天蓋の布を持ち上げて下さったので、中に入り跪く。
ガラスのイレイの花がチカっと光ってクルクルと腕に巻きつく形状に変わったので、そのまま腕を組んで祈りを捧げる。
ガラスの花が私の魔力に反応してオレンジ色に灯り、目の前に淡い光の輪ができた。
キラキラとした黒い光が聖堂中を包んで空中に泡の様に消えていく。
フレルヴェの騎士様たちがワッと沸く声が聞こえた。
いつもより、迷う魂がいない様に感じる。魔の魂も、手の込んだ会場の気遣いや供物がわかるのかもしれない。
目眩をなんとかやり過ごそうとしていると、シェイド様が天蓋の中に入ってすぐに抱き上げて下さった。
ここに来てからずっと眉間に皺がよってる、私の大好きな人。
「シェイドさま……こっちむいて?」
「大丈夫か?すぐ休めるところにつれ……んむっ!?!?」
私からキスを贈る。
琥珀色の瞳が大きく見開かれて止まっている。
「魔力、くれないの……?」
「~っ!いま、やる……」
「ん、いっぱい、欲しい」
「~~~~~~~っっ……」
「もっと」
「~~~~~~~~!!!!!?????」
◇◆◇
「わ~!一瞬で団長の機嫌なおったね~!」
「結局何をしてもリリ嬢は団長しか見えておりませんよ」
「シェイドの機嫌が一瞬でなおるなら、戦闘中もいつもそばにいて頂きたい」
「アレックスさん、天才じゃ~ん!僕らの寿命が大幅に伸びるね~」
「くそ!!ここからどう俺を売り込めば!!?」
「ルーファス、諦めろ……姫様は一生ああだと思う」
end
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作者はアレックス押しです!(聞いてない)
番外編でアレックスの恋をいつか追加したい!
最後まで読んで頂きありがとうございました!!
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