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第1章
眠り2
しおりを挟む「しぇ、いど、さま?」
「——ッ、起きたか?俺の妖精は眠りの妖精だったのか?」
「シェイド、さま」
「開けてくれるか?」
「開ける?」
「やっぱ、無意識だったか……リリ、頼む。俺に、会いたいか?」
「あい、たい…………」
パキィイィーーーーン!と何かが割れる音が響いた後、目の前に転移装置が出現した。
愛しいあの人がつくる、雑な転移装置。
「リリ」
低くて優しい声。
「もう全部終わったよ、つらかったな」
無意識に、彼に両手を伸ばしてしまう。
「すぐに来てやれなくて、悪かった」
膝をついて私を抱きしめてくれたシェイド様は、たくさんのキスをくれた。
「っん、は、ん。シェイドさま……?」
「公爵邸に戻ろう」
◇◆◇
シェイド様に抱かれて戻った場所はグラセン領の公爵邸だった。
ばあやにお風呂に入れてもらってると、ケイトさんが来て、二人にまったりお世話される。
「お嬢様……おかえりなさいませ。もうみんな公爵邸に来ておりますからね、心配いりません」
「ばあやがみっっちりぼっちゃまを叱ってさしあげます!!」
「何か、あった?私、里帰り中?」
「「………………」」
「シェイド様に、会いたいの……」
「坊ちゃんはお嬢様と違ってひどい有様でしたからね、お嬢様に会えるように湯浴みをさせておりますからもうしばらくお待ちくださいねぇ」
楽な絹のドレスに着替えさせてもらったあとは、なぜかお医者さんの診察があった。
「ばあや、私、頭が痛かったけど、今はもう平気だよ?」
「念の為でございますよ。ばあやを安心させて下さいまし」
「それなら、かまわない、けど……」
——コンコンと酷く慌てたノックの音が響く
「メイル、終わったか?」
安心する彼の声に涙が溢れる。
こんな事が前にもあった様な気がする。
「終わりましたよ、あらあら、シェイド様をお待ちですわ」
「リリッ——!!」
「シェイド……さま」
珍しく焦った声のシェイドさまにぎゅうぎゅう抱かれて、涙が止まらない。
あぁ、安心の匂いがする。
幸せの、匂い。
私の心地よい場所。
「私、どれくらい眠っていたの……?」
「四ヶ月だ」
!!!!!!!?????
「え?」
「リリはドームの中で四ヶ月眠ってた」
「そんな事……」
「本当の事だ。あとでゆっくり話してやる。もうリリは公爵邸にいていい。ずっとだ」
「え?ほんとですか?」
「お前の大切な者はみんな連れてきた、心配するな」
「……みんな?」
「姫様っっっ!!!」
パタパタ走る音と共にテオ君がベットの私の膝元に飛び込んできた。後ろでシェイド様が私を支えてくれる。
「テオ、君?」
「はいっ!はいっ!姫様、お待ちしておりました、僕、僕……」
この子の泣いた所を初めて見た。大切な、私のお友達。
「テオ君、背が少し伸びた?私、本当に四ヶ月も……?」
テオ君につづいて、クリストフさん、アラン君、おじいさままで!最後に部屋に入ったじいやがそっとドアを閉めるとみんな口々に話し出す。
「リリ嬢、おかえりなさいませ。これでやっと団長が仕事してくれます」
「姫様、ご無事で良かった……!!テオと毎日ドームの前をお守りしておりました!」
「リリちゃん姫の紅茶が早く飲みたいのぉ、次回の授業からは公爵邸の図書室だの。おかえり、かわいいかわいいわしの孫娘」
「おかえりなさいませお嬢様、じいやとばあやは幸せ者ですな。またお嬢様のお世話ができます」
「みんな…………ありがとう。私、一日だけ眠るつもりだったのだけど……」
「ああ、何か少しでも食べてくれたら、ゆっくり話してやるから」
「おなかは、あんまりすいてない、よ?」
「だろうな————おまえら、もういいだろ、持ち場に戻れ。俺の分まで仕事しろ」
みんなブーブー言いながらも嬉しそうに部屋を出ていく。
ケイトさんが持ってきてくれたスープをシェイド様が後ろからスプーンで口に運んでくれた。
「二人とも下がってくれ、後は俺がやる」
「さぁ、どこから話すか……」
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