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第1章
買い出し3
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基礎化粧品はすぐに盗られてしまう。
最近ははもう隠さなくなってきて、目の前で誰がもらうだの、誰の肌に合うだのやっていて辟易する。目と肌の肥えた彼女達は、教会の支給品では満足できないからだろう。
テオ君が持ってきてくれる教会の支給品もすぐに消える。こっちはただの嫌がらせだ。
基礎化粧品とアメニティグッズを三セットづつ買って、ホクホクだ。
◇◆◇
「困り事がどんどん減っていって、嬉しい!」
「最後は食料ですね、兄さん、約束だったロビリー菓子店に連れていって?」
「それは、かまわないけど……」
「あ、お菓子は日持ちするんで、とっても便利なの!だから……」
「とにかく!行きましょうか姫様!確かめたい事もありますし!」
暗い話題になりそうになると、いつもテオ君が声をかけてくれる。
気遣いのできる、良い子!!
ロビリー菓子店は目抜通りにある間口の広い大きなお店で、テオ君が行ってみたいと言っていただけあって、お菓子の量も圧巻だ。ちょっとした高級店の様で、焼き菓子も生菓子もフルーツもある。併設されたカフェで出すための軽食用に、パンやサンドイッチ、簡単なお惣菜まであって、人々で賑わっている。
テオ君は店員さんと何やら話し込んでいるので、私は日持ちしそうな焼き菓子と、フランスパン、ジャムなどをカゴに入れていく。
「姫様……荷物は僕が」
「ありがとうアラン君、そんな顔しなくても、大丈夫だよ?」
アラン君は、今にも泣きそうな顔をして籠の中を見ている。
「…………っ、ですが、しかし……」
「兄さ~~~ん!」
「テオ君が呼んでるね、行こっか」
「はい…………」
テオ君はニコニコした初老の店員と一緒に焼き菓子の並ぶカウンターで待っていた。
「お嬢様、こちらロビリー菓子店の店主さんです!」
テオ君が嬉しそうに笑って紹介する。
変に勘繰られないように、謎の姫様呼びがちゃんとお嬢様に戻っているあたり、本当に賢い子だ。
「あ、こんにちは。見せて頂いています……」
「いらっしゃいませ。いくらでも、何でもご用命下さいませ」
小太りの店員さんはニコニコして優しそうだ。
「お嬢様は小さなお菓子をニ十個、選んでくださいね!今日の分はこのまま持ち帰りますので!」
「えぇ、そんなに?ここのお菓子はすごく日持ちするの?」
「教会の孤児院の子達の分です!毎日小さなクッキーや飴を人数分配達して頂きます!毎日の、ちょっとしたおやつです。でもかなり……贅沢ですから……本当に小さな物でお願いします!」
「あ!それ良いね、すごく喜びそうだね!」
「はい!ありがとうございます。僕のお友達も沢山いるので嬉しいです!ついでにニ食分の食事を入れてもらう様にもお願いしました!孤児院まで毎朝配達してもらって、僕が受け取りに行きます!」
「わぁ!配達!その手があったね!!テオ君すごい!!」
「お前……」
テオ君は、えへへと笑ってうれしそうにしている。
うちの子が神童で可愛い!!!
提示された一月分の前金と、多すぎるチップを上乗せしてお店を出ると、店主さん自らお見送りまでしてくれた。
「姫様のお食事は特別豪華にと注文をつけましたし、後は飽きない様に上手くやってくれるでしょう!
あ、姫様用のお菓子もお任せでたっぷり継続注文いたしました!これでお茶の時間にお出しするお菓子に困りません!!最高です!!」
ふんすと両手を体の前で握りしめる小さな姿が可愛らしい。
「ふふふ、私の小さなお友達は頼もしいね」
「お前……」
アラン君は呆れながらも嬉しそうだ。
「ではシスター達が身支度に来る時間までに、お金を預けて帰りましょう!」
「そうだね、バレたら取り上げられちゃうから、新しい隠し場所、ほしいなぁ」
「あ!それなら僕の部屋が安全だと思います!お菓子の箱やプレゼントの空き箱に沢山虫を飼ってるので、たまに廊下まで悲鳴が聞こえてましたけど、最近は全く聞こえませんし、あさりに来なくなりました!
ちょっと時間かかっちゃいましたけど、僕の部屋に来ても空き箱と虫しかない事をやっと学習してくれたみたいです!
姫様が僕にもお部屋を下さったおかげです!」
「うわぁ…………それは……お気の毒に…………」
「テオ、お前まさか姫様のお住まいで寝てるのか!?」
「うん!お隣の部屋なんだよ!侍女の控室を頂いたんです!!内ドアで姫様の寝室とつながってるの!
いつも姫様の近くにいれて嬉しいです!」
「おまえ……孤児院のベットで寝ているもんだとばかり……勘弁してくれよ……」
アラン君は口をパクパクさせて顔が真っ赤になっている。
「どうしたの兄さん? 姫様!頂いたお部屋のおかげで隠し場所を作る事が出来ました!ありがとうございます!孤児院は大部屋ですから!」
「う、うん。む、虫かぁ。」
「可愛いですよ!ヘビもカエルもいます!」
お、おう………………初めて令嬢シスターズに同情した。子供の無邪気な攻撃、コワイ。
最近ははもう隠さなくなってきて、目の前で誰がもらうだの、誰の肌に合うだのやっていて辟易する。目と肌の肥えた彼女達は、教会の支給品では満足できないからだろう。
テオ君が持ってきてくれる教会の支給品もすぐに消える。こっちはただの嫌がらせだ。
基礎化粧品とアメニティグッズを三セットづつ買って、ホクホクだ。
◇◆◇
「困り事がどんどん減っていって、嬉しい!」
「最後は食料ですね、兄さん、約束だったロビリー菓子店に連れていって?」
「それは、かまわないけど……」
「あ、お菓子は日持ちするんで、とっても便利なの!だから……」
「とにかく!行きましょうか姫様!確かめたい事もありますし!」
暗い話題になりそうになると、いつもテオ君が声をかけてくれる。
気遣いのできる、良い子!!
ロビリー菓子店は目抜通りにある間口の広い大きなお店で、テオ君が行ってみたいと言っていただけあって、お菓子の量も圧巻だ。ちょっとした高級店の様で、焼き菓子も生菓子もフルーツもある。併設されたカフェで出すための軽食用に、パンやサンドイッチ、簡単なお惣菜まであって、人々で賑わっている。
テオ君は店員さんと何やら話し込んでいるので、私は日持ちしそうな焼き菓子と、フランスパン、ジャムなどをカゴに入れていく。
「姫様……荷物は僕が」
「ありがとうアラン君、そんな顔しなくても、大丈夫だよ?」
アラン君は、今にも泣きそうな顔をして籠の中を見ている。
「…………っ、ですが、しかし……」
「兄さ~~~ん!」
「テオ君が呼んでるね、行こっか」
「はい…………」
テオ君はニコニコした初老の店員と一緒に焼き菓子の並ぶカウンターで待っていた。
「お嬢様、こちらロビリー菓子店の店主さんです!」
テオ君が嬉しそうに笑って紹介する。
変に勘繰られないように、謎の姫様呼びがちゃんとお嬢様に戻っているあたり、本当に賢い子だ。
「あ、こんにちは。見せて頂いています……」
「いらっしゃいませ。いくらでも、何でもご用命下さいませ」
小太りの店員さんはニコニコして優しそうだ。
「お嬢様は小さなお菓子をニ十個、選んでくださいね!今日の分はこのまま持ち帰りますので!」
「えぇ、そんなに?ここのお菓子はすごく日持ちするの?」
「教会の孤児院の子達の分です!毎日小さなクッキーや飴を人数分配達して頂きます!毎日の、ちょっとしたおやつです。でもかなり……贅沢ですから……本当に小さな物でお願いします!」
「あ!それ良いね、すごく喜びそうだね!」
「はい!ありがとうございます。僕のお友達も沢山いるので嬉しいです!ついでにニ食分の食事を入れてもらう様にもお願いしました!孤児院まで毎朝配達してもらって、僕が受け取りに行きます!」
「わぁ!配達!その手があったね!!テオ君すごい!!」
「お前……」
テオ君は、えへへと笑ってうれしそうにしている。
うちの子が神童で可愛い!!!
提示された一月分の前金と、多すぎるチップを上乗せしてお店を出ると、店主さん自らお見送りまでしてくれた。
「姫様のお食事は特別豪華にと注文をつけましたし、後は飽きない様に上手くやってくれるでしょう!
あ、姫様用のお菓子もお任せでたっぷり継続注文いたしました!これでお茶の時間にお出しするお菓子に困りません!!最高です!!」
ふんすと両手を体の前で握りしめる小さな姿が可愛らしい。
「ふふふ、私の小さなお友達は頼もしいね」
「お前……」
アラン君は呆れながらも嬉しそうだ。
「ではシスター達が身支度に来る時間までに、お金を預けて帰りましょう!」
「そうだね、バレたら取り上げられちゃうから、新しい隠し場所、ほしいなぁ」
「あ!それなら僕の部屋が安全だと思います!お菓子の箱やプレゼントの空き箱に沢山虫を飼ってるので、たまに廊下まで悲鳴が聞こえてましたけど、最近は全く聞こえませんし、あさりに来なくなりました!
ちょっと時間かかっちゃいましたけど、僕の部屋に来ても空き箱と虫しかない事をやっと学習してくれたみたいです!
姫様が僕にもお部屋を下さったおかげです!」
「うわぁ…………それは……お気の毒に…………」
「テオ、お前まさか姫様のお住まいで寝てるのか!?」
「うん!お隣の部屋なんだよ!侍女の控室を頂いたんです!!内ドアで姫様の寝室とつながってるの!
いつも姫様の近くにいれて嬉しいです!」
「おまえ……孤児院のベットで寝ているもんだとばかり……勘弁してくれよ……」
アラン君は口をパクパクさせて顔が真っ赤になっている。
「どうしたの兄さん? 姫様!頂いたお部屋のおかげで隠し場所を作る事が出来ました!ありがとうございます!孤児院は大部屋ですから!」
「う、うん。む、虫かぁ。」
「可愛いですよ!ヘビもカエルもいます!」
お、おう………………初めて令嬢シスターズに同情した。子供の無邪気な攻撃、コワイ。
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